【知っておきたい陸上選手】①クリスチャン・コールマン編

陸上選手紹介, 10倍楽しい陸上知識

陸上を見る上で知っておきたい選手を独断と偏見で紹介するシリーズ。

第1回目の今回は
短距離界の新星クリスチャン・コールマン
についてご紹介します。

東京五輪、そしてその先のパリ五輪で競技者として最も脂がのる選手で、この選手を抜きに陸上は語れません。

カール・ルイス
モーリス・グリーン、そしてウサイン・ボルトといった100mのチャンピオンは各世代の陸上競技の顔です。なかでもやっぱりボルトは別格。陸上なんて興味ない人に『100mといえば?』と聞けばボルトと答えると思います。それほどに実力も知名度もバツグン。

そんなボルトも2017年に引退。ボルトがいなくなって初の2019年世界陸上ドーハ大会100mでは23歳のクリスチャン・コールマンが優勝しました。
コールマン、どれだけの人が知っているでしょう?たぶん陸上ファン以外は知らないと思います。

 

 

クリスチャン・コールマンとは?

まずはざっくりとコールマンの紹介です。

写真:https://www.worldathletics.org/

生年月日:1996年3月6日(東京五輪時点で24歳)
国籍:アメリカ
出身大学:テネシー大学
所属:ナイキ

身長:175cm
体重:70Kg

主な実績:
世陸ドーハ100m優勝、世陸ロンドン100m2位、室内60m世界記録保持者

自己ベスト

100m:9秒76(+0.6)(2019年世陸ドーハ決勝、世界歴代6位)
200m:19秒85(-0.5)(2017年)
走幅跳:7m29(+1.1)(2015年)
4×100mR:37.10(2019年世陸ドーハ決勝)

専門は100mなので幅跳びは参考です。
100mは世界歴代6位で、200mでも世界歴代35位の記録を持っています。

2017年から2019年まで100m世界ランキング1位!!

コールマンは毎年安定して好記録をマークしています。
自己ベストの推移はこんな感じ

記録 ランク 備考
2016 9.95 15位 初9秒台
2017 9.82 1位 世陸ロンドン2位
2018 9.79 1位  
2019 9.76
(PB)
1位 世陸ドーハ優勝

2016年に世界ランキング15位となる9秒95をマークすると、2017年には現役のボルトやブレークを差し置いてランキングトップとなります。
2017~2019年までシーズンランキングで1位をキープし、現役世代では最強と言えるスプリンターです。

世陸ドーハで100m初優勝!

コールマンの名前が一躍有名になったのが2017年の世陸ロンドンです。この大会はボルトの引退試合となっており、世界中の注目が男子100m決勝に集まっていました。

このレースで優勝したのはアテネ五輪(2004)・世陸ヘルシンキ(2005)でも優勝したジャスティン・ガトリン。ガトリンは12年ぶりの世陸優勝でした。
これはこれでドラマではあるのですがとりあえず置いておいて、注目は2着と3着。
なんと、絶対王者ボルトは3着となり、ボルトに2着にはこれまで実績のなかったコールマンが入ったのです。この時コールマンは21歳。
ボルト引退と同時に現れたのがコールマンなのです

ボルトがいなくなるという悲壮感があった男子短距離でしたが、このニュースターの誕生によって『短距離新時代』が始まったのです!!

 

室内60mの世界記録保持者だ!

100mでは世陸ドーハが初優勝ですが、室内の60mではコールマンが世界記録を持っています
コールマンのもつ世界記録は6秒34で、世界歴代2位はモーリス・グリーンの6秒39。また、コールマンは6秒37を3度マークしているためパフォーマンスでは歴代1~4位までが全てコールマンの記録。このことからもコールマンは『前半に強い』スプリンターであることがわかります。

コールマンの走りの特徴は?

コールマンの特徴についてご紹介します。
まず、身体的な特徴は背が低くてガタイが良いことでしょう。コールマンの身長は175cmしかありません

前に身長と100mの記録の関係についてちょっとだけ調べました↓


世界歴代のトップランカーで175cm未満の選手はマイク・ロジャースだけでした。で、ロジャースに次いで小さいのが175cmの選手達で、モーリス・グリーンコールマンが175cmです。
つまり、コールマンの175cmというのは世界のスプリンターの中では最小クラスなのです

とにかくスタートから速い

コールマンの走りの特徴としては、前半の速さが上げられるでしょう。
レースの動画を観てもあんまり分からないかもしれませんが↓

一般的には小さい選手の方がスタートが得意だと言われています。
現に60mではコールマンが世界記録保持者で、コールマンと同じく175cmのグリーンが世界歴代2位です。そして195cmあるボルトはスタートが苦手だとされていました。実際には100分の数秒差なのですが、短距離走ではこの差がデカイのです。

コールマンも例によって前半型のタイプ。
ボルトのように前半遅れてもラスト40mで一気に伸びて来るような走りではなく、最初からリードを奪ってそのまま守り切るというレースがコールマンの走りです。
2017年の世陸ロンドンでも80m付近まではトップを走り、ラスト10mでガトリンに捲くられるという展開でした。
レース展開としてはボルトのハラハラする感じの方がおもしろいかも?

上半身を大きく揺らして走るフォーム

スプリンターの走り方はそれぞれ特徴があるのですが、コールマンは上半身のの動きに特徴があります。
上半身が左右に大きく揺れるフォームがコールマンの走りです。
左右のバランスが悪そうな印象の走りなのですが、前半のスピードの乗りは上半身の揺れによるものなのかもしれません。
あえて揺らしているのか?それともブレているだけなのか?まだ20代前半なのでこれからのフォームの変化にも注目していくとおもしろいかもしれません。

アメリカのニュースター3人のひとり

100mのコールマン、200mのライルス、400mのノーマンという3人が次世代の短距離界をリードするアメリカのスター選手です。
ライルスとノーマンについてはまた別の機会に紹介しますが、なかでもやっぱり陸上の花形である100mのコールマンに集まる注目は別格。

そんな3人のうち、コールマンとライルスが直接対決した2019年のダイヤモンドリーグには世界中の陸上ファンが注目しました。

このレースはコールマンとライルスの走りの特徴が非常によく出ているレースで、前半からぶっ飛ばしているコールマンに後半型のライルスがラストで追いつめるという展開。
同じようなタイムで走る両選手でも、レースの展開の仕方が全然違うのがわかります。このレースは今の短距離界のおもしろさが詰まった名レースではないでしょうか。

ドーピングが怪しいのが不安…

大丈夫だとは思うのですが…
世陸ドーハの直前にドーピング検査ですったもんだがありました。
ザックリ言うと、居場所の申告をミスって抜き打ち検査を3回もすっぽかした
ドーピング検査を逃れるために逃げたのか?あるいは単純に申告を甘くみていたのか?実際のところどうなのかはわかりませんが、普通は3回すっぽかすとドーピングとみなされて大会への出場が出来なくなります。
コールマンはうまいことやってドーハに出場。そして100mで優勝しましたが、一歩間違えればドーピングで東京五輪も含めて出場停止処分を受けるところでした。

 

 

 

世陸ドーハを制したコールマンはこの先10年の陸上界では常にその名前を目にする存在になったはず。ジャマイカの時代が終わり、アメリカがスプリント大国として復活した今、そのアメリカを代表する選手こそがコールマンなのです。

次回は、同じくアメリカを代表する選手で、200m担当のノア・ライルスを紹介します…






Twitterで更新をお知らせしています↓