【レビュー】ナイキのズームJA3はクセはあるけどスパッと高反発で気持ちいい!!
ナイキのスパイク、気にはなるけどなかなか手が出ないと思います。
たぶん90%以上の人はミズノかアシックスのスパイクを履いていることでしょう。
ナイキに手を出すのはいろんな意味で危険ですから。
わたくし、ナイキのスプリントモデルであるズームJA3を購入いたしましたので、簡単にレビューしてみようかと思います。
最初に…
わたくし、なかなか長身な元跳躍選手です。大学時代までそれなりにやってましたが、足をブチっとやりまして、社会人になってからは平凡な人生を送っています。当時は細マッチョでしたが、今はゴリマッチョ気味で80kg弱のパワー系です。ちなみに体脂肪はほぼ1ケタです。
余暇をすごす最近の私は現役時代に一度も履かなかった海外メーカーのスパイクを中心に購入しています。
持ち記録?そんなヤボなことは気にすんな。
ズームJAフライ3はこんなスパイクだ!!
まずは外観からみていきましょう…
最大の特徴はその見た目
ミズノ・アシックスのスパイクがクソダサく見えるほどナイキのスパイクはかっこいいッス。
左右非対称 アシンメトリーアッパー
過去にこれほどまでアシンメトリーなアッパーはあったでしょうか?
両足ともつま先に行くほど左に寄っていきます。紐穴はインクス的なワイドなタイプで、締めあげると薄く紙のような硬さのある感触のアッパーが寄って足をつつみこみます。
右足は締めつけると土踏まずがフィットしてくる感じ。左足は締めても土踏まずが上がってこない。
紐がめちゃくちゃ締めにくいですが、見た目に反して右足のフィット感は相当高い!!
そして想像通り左足のフィット感は非常に悪い!!
もはや意味不明なソール
全体がハニカム的なアミアミ構造になった超奇抜なプレート。
意味があるのか?
ただかっこいいいからか?
アミアミ自体も結構とがっていてひとつひとつが昔のミズノの固定ピンくらいの感じだ。
これだけでもそこそこグリップしそう。
そして期待通りの硬いタイプのプレートは土踏まず部分が異常なほどくびれている。
が、細いのは外側のプレートだけでインソールは通常のものと変わらないので足入れは細めではあるものの見た目ほどは細くない。
それでいてなんの工夫もない2-2-4の超オーソドックスなピン配置!!
まあ、とりあえず履いてみましょう…
期待通りの履き心地
あなたはナイキに何を期待してますか?
ナイキ・アディダスって国産スパイクに何か物足りなさを感じる人が手に取るのではないでしょうか?
スムーズな重心移動とか生ヌルいことばっかり気にしてないで、たまには激辛にいってみたくなるのでは?たぶんこのスパイクならその期待にはこたえてくれます。
硬い。それがいい。
このナイキズームJAフライ3を履けば今まで食べていたものはママがふぅふぅしてくれていたお子様カレーだったことに気づくでしょう。
立った瞬間からアキレス健への攻撃が始まり、歩くだけで怪我の予感がします。
ただし、硬さ自体は国産最強クラスと同等くらいの硬さであってそこまで極端に硬いわけではない。足へのストレスはプレート単体ではなく、かかと周りの造りの影響も大きいと思われる。
プレートの感触は意外にもしなり系だ。単純な硬さではズームセラーの方が硬かった気がする。
反発ってこれだよなぁ
陸上をやっていても、反発ってなんだろうっていう人は結構多いと思います。特に最近はフラットなスパイクが多いので、そればっかり履いていると高反発に触れることなく引退する人もいるのではないでしょうか?
サイバーブレードの反発は
ビニョーン!ビニョーン!
ソニックスプリントエリートが
ビヤーン!!ビヤーン!!
JAフライ3は
バッ!!!バッ!!!
意外にも反発の強さ自体はずば抜けたものではない印象。強さそのものではなく、ソリッドという言葉がピッタリな、一切の溜めもなく全然粘らない反発特性が国産との違いを感じさせる。
ソニックスプリントエリートは一瞬クッションされる感覚があるが、JAフライ3はもっとソリッドで超短時間に集中した反発がくる感じだ。その瞬間を逃すとイマイチ反発が返ってこない。押しこんで走るっていう感じではなくてバンバン回して走る感じ。
多分、反発がなんだかわからないっていう人が履いても『反発やばすぎ』って感想が出てくる感じのトゲのある反発のスパイク。
優しさは感じない
『ナイキを履くと怪我する』ってのは陸上あるあるでしょう。ほんとそれ。
アシックスのスパイクはどんなに高反発なモデルでもハムストリングスとか大きい筋肉を使って走ってるのを感じられるのですが、ナイキのスパイクは下肢のバネが強靭でないとハムを使うところまで行かないでしょう。
うまくやらないとスパイクと下肢だけがピョコピョコ跳ねて体が乗らない。
アシックスは
適当な接地をしてもスパイクがパワーポジションにもっていってくれるのでただ蹴れば反発を受けられる
のに対して
ズームJAフライ3は
踏んだ力はそのまんまの方向にしか反発しない
高反発なモデルに対しては『スパイクを使いきれない』という表現をよくするが、まさにそれ。上手く踏まないと行きたい方向に反発してくれない。
逆に、うまく乗れればロスなく力が戻ってくる。
国産のような優しさはなく、完全自己責任なスパイクで、良く言えば自分の走りがダイレクトに走りに繋がる。
意外にもピッチ型?
反発のところにも書いたけど、接地が非常に短いタイプのスパイクだと思う。
後列4本配置のピンだけど、ニードルのヌケを生かして高回転で回すには使いやすそう。パワーがある人がピッチを使って走るには良いのではないだろうか。
逆に、ストライドで持ってくるタイプで接地が長かったりフラットな走りだと反発のおいしいところを使えないかも。
そういう意味でもやっぱりナイキは黒人系のバネを使った走りにジャストフィットなんだろう。
グングンっていうかんじではなくてシュタタタタっていう感じで走る方が向いてそう。
200~400mが適性距離?
意外にもパワータイプではない印象のズームJAフライ3。
もちろん反発は強烈だし短スパに求められる要素は全て満たしている。
が、100mに特化したスパイクではない。
アッパー形状からもわかるとおり、コーナーで使うことを想定というか前提としてつくられている感がある。
最近のピンの少ないタイプとは違った昔ながらの2-2-4のピン配置が強烈なグリップを発生するおかげで、コーナーでのパワーロスは少ない。
さらにプレートが異様に細いおかげなのか足底のねじれには寛容な面がある。
前述のように、直線では力の向きを矯正してくれない印象があるが、コーナーリングを邪魔をしないような印象だ。
こんな特徴から、ショートよりではあるものの、走力のあるロングスプリンターには悪くないと思われる。
ズームJAフライ3を比較する
とりあえず今履いている中で一番定価が高いであろうモデル、アシックスのソニックスプリントエリート(ちょっと古いモデル)との比較を。
硬さと傾斜は同じくらい
まずは気になる硬さと走り心地に直結する硬さを比較。
硬さだけならソニックスプリントだが…
前述のように、硬いながらも意外にもしなり系であったズームJAフライ3。
実際、手で曲げた硬さだけでいえばカーボン入りのソニックスプリントエリートの方が硬い。
ただ、不思議なもので履いた感触はズームJAフライ3のほうが全然硬い。
もっといえば、かかとまで全部硬いのがナイキで、アシックスは全体に柔らかく、かかとにはむしろ柔らかさを感じる。
このあたりは実際のところよくわからない。本当は硬いのにその硬さを感じさせないのはアシックスの靴づくりのノウハウによるものなんだろう。
硬さを感じさせないのはアシックス、硬さをダイレクトに感じられるのはナイキ、というところか?
硬い感触が好きならナイキの方がいいかも。
傾斜はほぼ同じ
これはもう見てください。ほぼおんなじです。
ただ、走るとNIKEの方が傾斜がキープされている感じがある。
戦闘力はJAフライ?
結局どっちが良いスパイクなのか?
反発感はズームJAフライ3
こればっかりは走り方にもよるかもしれません。
ズームJAフライ3は硬さを感じると書きましたが、そのまんま反発感にもつながります。
ソニックスプリントエリートはグっと押し込むような、接地時間が長い分パワーを伝えられる印象。
ハムをはじめとする全身の太い筋肉をつかって走っているような感覚になるのですが、一方でスパイク自体からの反発というのはあまり感じません。
スームJAフライ3はもっと普通というか、スパスパ足を切り替えていく感覚で、スパイクが勝手にパンパン跳ねて進んで行くような感じ。
その分一歩一歩のパワー感は弱い?
反発にうまく乗って行く感覚はズームJAフライ3に分があるように思う。
接地感覚の良さはズームJAフライ3
ソニックスプリントエリートは固定ピンが平行なせいもあってか刺さりが悪いのと、小指球のところのピンの突き上げ感がかなりあるおかげで接地は全然繊細じゃあない。
接地した後にパワーでもって行く感じ。
まあ、ピンが違うので比較できないところもありますが。
対してズームJAフライ3はオーソドックスなピン配置で、足をスッと降ろすだけの自然な感覚で接地できました。
パワーをかけていてもかけていなくてもちょっとした動きにしっかり応えてくれる。見た目のワイルドさとは裏腹にスムーズな接地が可能。
ただ、ソニックスプリントエリートなら体重さえあればフラット接地もできるが、ズームJAフライ3では難しいと思う。フラットに踏むことはできるけど、フラットだと反発感がなんかイマイチな気がする。
フォアに置く方が反発がくるような感じで、乗り込みさえ習得していればナイキでも問題ないと思うが、フラット接地を重視するならやっぱりアシックスのほうが良さそうかも。
ここがダメだよズームJAフライ3
いい点はなんとなくわかったと思いますが悪い点もあります。
造りがクソ粗い
信じられないくらい造りが粗い。もちろんメイドインチャイナだ。
アッパーを見てほしい。
これは履いてしわが寄ったわけではない。
アッパーは適当にカットされた硬めの薄い布が雑に貼り付けただけなのだ。
丸みのあるものに平たいものを縫い付けるのが難しいのはわかるが、国産のシューズでこんなにレベルの低い商品はなかなかない。
まあシワなんか実際はどうでもいいんだけど、縫い付けの下手なアッパーで走れば爪が痛くなる。
国産のような丁寧なカットと裁縫に慣れていると不良品かと思ってしまうかもしれない。
つま先だけではない。特殊な構造の土踏まずにもアッパーは全然対応できていない。
土踏まずの部分は生地がかなり張ってしまっている。
これのせいかわからないが、変な紐と相まって左足の土踏まずは全くフィットしない。
ナイキを選ぶ際に肝に銘じてほしいのは国産のような造りの良さをナイキに求めるべきではないということだ。
ズームセラーも縫い付けはクソだった。
これはもう足型うんぬんとは別の次元の話である。まさしくアメリカ人が考えて中国人が作った製品。
ただ、定価1万円ちょっとであることを考慮すれば許せる範囲というかむしろこれでいいのかもしれない。
ナイキの本気はズームエリートの方なのだから。
左足が致命的に変
もはやこれに尽きるかもしれない。足型とかプレートなんてどうでも良くなるくらい左足がダメ。
両足とも左側に紐が寄った超アシンメトリー構造のアッパーのせいで左足だけはいくら締め付けても土踏まずが上がってこない。
おかげで左右の感覚が全然変わってしまうため、特に左足には違和感しかなかった。
このアシンメトリー構造は少なくとも直線を走るときにはデメリットでしかない。
両方とも右足みたいな感じならけっこうよかったであろうに。
まあ、慣れればそこまで気にならないかもしれない。
足は痛くなる
これは個人差あるかもしれない。
本当にピッタリ足が合う人は大丈夫なのかもしれないが、
個人的には
①爪(人差し指と親指がブレーキをかけたときにアッパーに当たっていたくなる)
②かかと周り(硬いプレートによってかかとからふくらはぎへの負担がすごい)が痛い。
試着レベルでは問題なくても実際に走ってみると攻撃性がすごかった。
ズームセラーもかかと周りへの攻撃性は高かったので、良く言わていれる『ナイキはアキレス健にきつい』というのはひとつ事実だろう。
【追記】
履き慣れてきたらだんだん痛くなくなってきましたが、アキレス健に来るっていうのは変わりません。
ズームJAフライ3はおススメか?
結論から言えば
普通に買うならやめておけ!!
変わったのほしいなら買っておけ!!
反発のあるスパイクが欲しいだけならインクスの方がなにかといいと思う。
ズームJAフライ3はスパイク自体のスペックが特別高いわけではないし、足は痛くなる。致命的に怪我しやすいような印象は受けないが、他のスパイクをもっていないのにわざわざこれをメインにするのはちょっときびしい印象を受けた。
一通りのスパイクを経験していて、たまには違うやつ履いてみたいっていうならこれ以上にいいスパイクはない。ルックスも履き心地も国産とは全然違う。これを履くだけで一気に趣味感が出て来るだろう。
1足だけならやめておけ!!
2足以上あってちょっとでも気になってるなら何も考えず買え!!
が結論だ。
1万円で買えるからコスパは最高に良いのでは?
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