【レビュー】アシックス|ソニックスカイプロ 『厚底』でも跳び出しやすくて欠点なし!?
トラックスパイクも厚底化が進むなか、幅跳び用スパイクではナイキが唯一厚底スパイクをリリースしていました。
2024年、アシックスはメタスピードSPを頂点として、下位のソニックスプリント、ジェットスプリントを厚底化!同時に、幅跳びスパイクもメタスピードSPの形状を踏襲した新型モデルへと大幅リニューアル!!
ってことで今回は
【レビュー】アシックス『ソニックスカイプロ』は跳び出しスピードが高い!
厚底でも扱いやすくて欠点なし!?
をテーマにご紹介。
極端なフラット形状の前作の『LJプロ3』が2021年にリリースされたのですが、あまりにフラットすぎて全然人気が出なかった! アシックスはスプリントスパイクと同時に幅跳びスパイクもメタスプリントSPに準じた『厚底』にリニューアル。厚底であることをいいことに幅用と三段用を統合してしまったのです。 『LJプロ3』もレビューしていますので、それを見ておいていただくと今回のレビューもわかりやすくなると思います。
さらに、三段跳び用の『TJプロ3』に至っては厚さが20mmを超えているため24年秋以降は三段跳びですら使用できないという残念っぷり!!
そんな過去の「失敗作」ともいえるスパイクを切り捨て、完全リニューアルされた新型スパイクが今回の『ソニックスカイプロ』なのです!!
ピン配置やカーボン樹脂を採用っていうことで、見るからに「跳べるスパイク」だったので、管理人もほぼ定価で買っちゃいました…
ソニックスカイプロは『厚底+カーボン樹脂』のスパイク
まず、ソニックスカイプロがどんなスパイクかを簡単にご説明。
ザックリ言えば…
『メタスプリントSP』を扱いやすくして幅跳びバージョンにしたのが『ソニックスカイプロ』!
これで大体の説明がつきます。
特徴としては…
- 『FFブラスト』を使用した厚底スパイク
- カーボン樹脂プレートを採用
実際のところはメタスプリントSP/MDには『FFブラストターボ』と『カーボンプレート』が使われているので、ソニックスカイプロはその下位グレードで『FFブラスト』と『カーボン樹脂』を使っているソニックスプリント3とジェットスプリント3の幅跳びバージョンと言った方が近いです。
『カーボン樹脂』ってなんやねん…
って感じですが、これはいわゆる炭素強化プラスチックてやつだそうで、メタSP/MDの『カーボン』とは別モノとのこと。
『カーボン』と『樹脂』の中間的な性質のプレートで、ある程度の曲げやすさをもちつつも、カーボンを使って強度を高めることで反発性とコントロール性を両立しているらしい。
よくわからないけど、カーボンより扱いやすいけど普通の樹脂より強度があるプレートってことでいいんじゃない?
実際に履いた印象や手で曲げた感じでは
アディゼロLJより柔らかくてzoomLJより硬い、フィールドジオより前足部は柔らかい。
硬さ自体は「カーボン」からイメージするよりもマイルドです。
まあ、何を使ってるのかよりも、それが実際履いてどうなのかってのが大事だから細かいことは気にするな!
アシックス初の『厚底』跳躍スパイク!『厚み』によるデメリットは特になし!!
画像:20mmギリギリまでミッドソールを挟んだ『厚底スパイク』!
一番の期待ポイントであり、同時に管理人が一番の懸念していたのが『厚底』ということ。
結論から言えば、厚底によるマイナスは一切感じませんでした!
確かにブニュっとする感覚は気にすればあるものの、厚いからといって反発が遅いとか踏み切りでブレるってことは全くありません。
薄底と同じように扱えるのですが、一方で厚底ならではの反発感みたいなメリットも感じません。
使用感についての詳しいことは後述します。
厚底のマイナスがないのは良いのですが、一方で厚底のメリットも特になし?
従来の三段スパイクも高反発材は使っていないとはいえ厚底ではあったので、正直’新しいもの感‘はあんまりないですね…
硬めのFFブラストを使っているので厚底特有のブニュっとした感触もほぼないし、薄底と大して変わらないと言ってもいいかな。
ちなみに、『厚さ』だけでいえば前作も厚かったです。でも、前作は硬いソールだったのでいわゆる『厚底スパイク』とはちょっと違う種類の厚さでした。今作は高反発素材を使っているので文句なしの『厚底スパイク』。
『かかとの厚み』があるけど踏み切り動作への悪影響は感じない
画像:かかとも前足部と同じ厚さがある!
幅跳びスパイクはルール上、前足部の厚さが中足部の厚さを越えてはいけないって事になっています。
つまりは幅スパはスプリントスパイクのように前足部だけを厚底にするのはNGなんです!
そのため、ソニックスカイプロは前足部だけでなく、かかと部までFFブラストによって厚底になっています。
だからなんだ?
って思うかもしれませんが、管理人はこのかかとの厚みを心配していました。
っというのも、幅跳びの踏み切りでは踏み切り足を地面スレスレをスーっと通して接地する必要があるから。
超マニアックなというか専門的な話になるので詳しいことは割愛しますが…
かかとに厚みがあると微妙に上から叩く踏み切りなってしまうため、接地初期の衝撃が大きくなりすぎて踏み切りが弱くなっちゃう!ってことを管理人は心配していました。
『かかとの厚み』のせいで踏み切りでの扱いにくさに懸念があったわけですが、かかとの厚みは全く気にならなくて、従来のスパイクと同じように自然な踏み切りが出来ます!!
実際に履いてみたらかかとの厚みによるデメリットは全く感じませんでした。
フィールドジオAJのようにかかとが邪魔な感じはしないです。っていうか、フィールドジオAJの方が厚さを感じる。
ただ、詳しいことは後述しますが、厚底の恩恵も特にない。前足部を厚底にするためにルール上しかたなくかかとも厚くしてあるっていう感じはします。
幅スパとしてはこの厚みは必要ないだろうし、三段スパイクとしてはもうちょっとクッションが欲しいかな?
『カーボン樹脂』のプレートはそこそこの硬さ
画像:足裏直下にカーボン樹脂プレートが挟まれてる
厚底と並ぶソニックスカイプロの特徴がカーボン樹脂プレートです。
ソニックスカイプロのプレートはそこそこ硬くてけっこう高反発です!
最強クラスとまではいかないけど、跳躍スパイクとして十分に満足な硬さを持っています。
ただ、「カーボン」と聞いて期待するようなガチガチの硬さや別格の反発はない。あくまで、従来のプレートの感覚の範疇ですね。前作の方が硬くて反発自体は強かったと思います。
また、反発の方向はかなり上向きで幅スパとしてスタンダードです!
硬さによる扱いずらさみたいなものはないです。反発の方向はフィールドジオとほぼ一緒だから普通に使える。
アディゼロLJのようにスプリントスパイク的な印象ではなく、フラットに踏めば上に弾むタイプの反発感です。スピードは出しずらいですが、助走では刻みやすいから管理人は好み。
プレート自体はミッドソールの内側に隠れているので細かいプレート形状は分かりませんが、フィールドジオと同じ踏み方をすれば同じ走りができると思います。
硬さ自体ははむしろ軟らかい方かな?
他の幅スパと比較して硬さ順に並べると…
アディゼロLJ=LJプロ3→フィールドジオ→ソニックスカイプロ→zoomLJ(旧)
こんな感じ。
フィールドジオは前足部はかなり硬いのですが、プレートが中足部までなので全体で見たらほぼソニックスカイプロと同等かな?
ソニックスカイプロは幅跳びスパイクとしては普通レベルの硬さで、屈曲自体はどちらかと言えば柔らかめの部類と言えましょう。
また、厚底なだけあってメタスプリントのような直接的な硬さは感じず、体感的には実際の硬さよりも柔らかい。
っとはいえスプリントスパイクよりは全然硬くて、ずっと履いていると足裏が痛くな程度の硬さはあります。
あくまで幅スパの中では柔らかめということで、硬さに頼りすぎず全体でバランスをとっていることが伺えます。
重量は236g!重いっちゃ重いけど幅スパとしては軽い
画像:28cm実測で236g
メタスプリントSPが約180gなので、スプリントスパイクと比べれば間違いなく重いです。でも、幅スパとしては厚底のわりには軽い。
他モデルとの重量比較 |
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モデル | 重量 | サイズ |
ソニックスカイプロ | 236g | 28.0 |
フィールドジオLJ | 243g | 27.0 |
フィールドジオAJ | 270g | 29.0 |
LJプロ3 | 243g | 28.5 |
アディゼロLJ | 252g | 27.5 |
zoomLJ(旧) | 249g | 28.0 |
zoomTJエリート | 248g | 28.0 |
エフォート13 | 211g | 28.0 |
Xブラストネオ1 | 194g | 28.0 |
アンビション | 178g | 28.5 |
メタスプリント | 144g | 28.5 |
サイズがバラバラだったりしますが、ソニックスカイプロは幅スパの中では軽いです。
一方で、スプリント用と比べると100g弱重たくて、初心者向けのエフォートよりも実測で25gも重い!
ってわけで、見た目がソニックスプリント3/ジェットスプリント3と似てるからってソニックスカイプロを短距離で使うのは重量的にやめた方がいい!!っと管理人は思います。もちろん、使えないことはないでしょう。でも、軽いスパイクを履いた方が絶対にタイムは出る。
実際に走ってみても、60mくらいでトップスピードが出るあたりから重さが顕著でけっこうつらいです。幅跳びは『跳ぶ』競技なので多少重くても一発の反発が強いのが正義。でも、スプリントは『速く動く』競技だから軽さが正義。
2-2-4のオーソドックスなピン配置!往年のアシックス幅スパを彷彿とさせる
画像:幅跳用として最適解のひとつであろう2-2-4のピン配置が復活だ!
『ピン配置』ってどうでもよさそうだけど、幅スパではかなり重要なポイントなんです。
2-2-4のピン配置でカーボンスパイクなら絶対に跳べるに決まってるじゃん!!
っていうか、このスパイクで跳べない要素ある?
っと思って管理人は発売間もないのに買っちゃいました。実際はカーボンじゃなかったですが…
上の画像を見てもらえばわかりますが、アディゼロとLJプロ3以外は2-2-4を基本としたピン配置になっています!
・フィールドジオ
→2-2-4に中列を1本追加した2-3-4
・zoomLJ(旧型)
→2-2-4から後列を1本抜いた2-2-3
ちなみにプーマの厚底もソニックスカイプロと同じ2-2-4です。
詳しいピンの感触は後述しますが、
ソニックスカイプロはオーソドックスなピン配置で扱いやすく、他のスパイクの良いところ取りをしたようなバランスのいい跳躍が出来ます。
ちなみに、エアの入ったナイキはアディゼロLJと同じ配置の2-2-3です。
その昔、タイガーパウ時代のアシックスも2-2-4だった…
写真もないので説明しにくいですが、管理人がまだ学生だった頃、アシックスに『タイガーパウ』っていうサブネームがついてたころはアシックスも2-2-4のピン配置だったんですよね…
当時はアシックススパイクに文句言う人なんていなくて、ミズノかアシックスかは完全に好みの問題だったと思う。
ところがなぜかアシックスは1-3-5みたいな謎のピン配置にしたせいで重心移動が難しくなって、そこからはフィールドジオに完敗だったと思う。
でも、2-2-4に回帰したことで、今シーズン以降はアシックスの復権もあり得る…!?
ただし、カーボンのフィールドジオが出てきたらアシックスの時代は終わるぞ。
アッパーは『モーションラップアッパー』とかいうただのメッシュ
画像:ただのメッシュアッパーで中身が透ける薄さ(手の指が透けてる!)
厚底やらカーボンやらと新型ならではの現代的要素の詰まったスパイクですが
このスパイク、アッパーに関してはこれといって言うことないです!
良くもなければ悪くもない。普通。「耐久性が心配です」以外の感想はないかな。
メタSPとその仲間たちと同じアッパーなので、アシックスの現代技術の粋を集めたメッシュなんでしょうが、機能的にはなにも感じることはないです。薄くて軽いっていうだけ。
管理人はフィールドジオのガッチリ感が好きですが、好みの問題であって記録への影響はないでしょう。
履き心地は悪い。足当たりは前作の方が良かった…
画像:前作と並べるとメッシュアッパーがちゃちい…
アッパー自体は特別悪いわけではないのですが、足当たり自体は悪くて履き心地は悪いです。
強いて思うところを挙げるなら、今作はずっと履いてると普通に指先が痛くなります!
他の幅スパもそこは一緒だからソニックスカイプロが特別悪いってわけではないのですが、前作のHL-0メッシュより明らかに足あたりは悪くなっています。そこだけを比べると今作のアッパーは改悪と言ってもいいかも。
なんにしても、あれだけHL-0メッシュを推してたのに突然全部投げ捨てるなんて、人の心がないぞ!アシックス!
アシックス特有のでかいヒールカップ
画像:アシックス特有のドでかヒールカップは健在!
アシックスといえば、ドデカいヒールカップ!!
海外メーカーだと足首周りがゆるくて脱げそうな感覚すらあったりしますが、アシックスは妙にでかいヒールカップがついていて、他のメーカーとは格の違うかかとのガッチリ感をもっています。
ソニックスカイプロも例にもれずかなりのホールドで、好きな人にはたまらないでしょう。管理人からするともうちょっと緩くていいかな。
ベルトはかかとからつながるタイプ
画像:ベルトは前作の形状と似てる
アッパーの特筆点としては、かかとから出て足首回りまでカバーするごっついベルト!!
幅・三段は踏み切りで足首に大きな負荷がかかるので、足首ベルトは必須だと思いますが、ソニックスカイプロは三段も兼用なので幅には過剰気味なベルトが付いています。
ごついとはいえ、前作のダイナラップ的なアッパーの内側に繋がったベルトから比べると、今回は外側だけなのでかなりスッキリした印象です。(それでもフィールドジオよりはかなり太いですが。)
締めつけたときにもどこかが締まりすぎる感じもなくて、ベルトはちょうどいいんじゃないかな?
アディゼロLJだとベルトがないから管理人は足首が痛くなっちゃうのですが、これなら安心して踏み切れます。
ベルトは足首の動きが制限されるからスプリント動作には邪魔になるので、助走に全振りしたいならアディゼロが正解。
っとまあ、ここまではざっくりしたスパイクの概要紹介です。まだ序章。
ここからは、管理人が実際に履いて感じたレビューを詳しくご紹介!!
長いですが、思うところは概ね書いたと思います。
ソニックスカイプロ、跳躍のスピード感は随一だ!!
全体としてもめっちゃ良い!!
ソニックスカイプロですが、跳躍のスピード感がかなり優秀です!
踏み切りの抜けが良いとも言えます。
踏み切りの強さ自体はフィールドジオに軍配が上がりますが、踏み切りでうまくスピードを乗せていく感覚は間違いなくソニックスカイプロの勝ち。アディゼロほどではないけどスピードタイプの跳躍選手ならこれを選んでおけば間違いないと思います。
それでいて、踏み切り前半での安定感が高いから板にパワーを伝えやすい!
フィールドジオ程ではないものの、ガツンと止めることが出来る安定感と硬さがあって、安心して強く踏み切れます。
そんな感じで、全体でみるとかなりイイ感じ!!
致命的な欠点やここがダメってのがないため、どの局面でもすごくイイ感じです。久しぶりに(っていうか初めて?)アシックスの天下がくるかもしれないぞ。
【全体】ピン配列が良いから跳び出しのスピード感がかなり高い!
画像:中列に空間があるピン配置だから重心移動がしやすい!
全体として管理人が一番感じたのは
踏み切り中盤がスムーズで、スピード感のある跳び出しができる!
踏み切りで体が板を通過したくらいから跳び出しまでの重心移動が非常にスムーズで、スピード感のある跳躍ができます。印象としては、踏み切りの入りはフィールドジオと一緒で、中盤からはアディゼロLJと一緒の感じ。
もちろん助走も走りやすいのですが、他のスパイクと比べると踏み切り中盤でのスムーズさを一番感じます。
他のスパイクと比較するとわかりやすいのですが…
【フィールドジオ】
→スピードをガツンと止めて高く跳びやすいけど減速しやすい。
【アディゼロLJ】
→踏み切りでの失速は少ないけど高く跳び出しにくい。
こんな感じで、ガツンと止めれば強い踏み切りが出来る一方で、スピードを生かそうとすると踏み切りが弱くなりがち。
それもそのはずで、限りあるエネルギー(助走スピード)をどうやって使うか?っていうのが幅跳びですから、スパイクもスピードそれに合わせて得意な領域があります。
そこにきて、ソニックスカイプロは高いスピードで跳び出しやすいスパイクと言えると思います。
フィールドジオと比較すると、ローリングして跳び出すまでの一連の動作はソニックスカイプロのほうが明らかにスムーズで楽です。
フィールドジオとソニックスカイプロどっちの方が跳べるか?ってのはなんともいえませんが、いままでフィールドジオ派だった選手がソニックスカイプロに履き換えても好感を持てると思います。
【助走】フラットに踏みやすくてリズムが作りやすい!
画像:多少の反りはあるけど他のスパイクとほぼ変わらず『普通』。
プレート形状はつま先にかけて反っていくタイプで、フィールドジオやzoomLJとほぼ一緒。助走の感覚もフィールドジオと似ている印象です。
フラットで踏みやすいので安定したリズムカルな助走が出来ます!
前作はフラットすぎて自分で前に持っていく必要があったのですが、今作はフラットに踏んでも自然と推進力が得られるからとっても走りやすい。
しっかり踏めば自然にリズムをつくれるため、ソニックスカイプロは反発のタイミングが掴みやすくて助走のコントロールがしやすいスパイクだと思いますね。
フィールドジオと似てて管理人が慣れてるから印象が良い可能性もありますが、リズムアップの感覚はフィールドジオと並んで最高に良いです。
フラットに踏んでいくと硬いプレートがしっかり返してくれるため、一歩一歩をしっかり踏み込んでリズムを作りながらピッチを上げて行ける!
厚底のラグは全然感じないし、重心移動がしやすいので捌きでも自然な動きができてそのまま跳躍に入れる。
助走全体でみても、出だしから踏み切り前の捌きまで一貫してコントロールしやすくて、これといって悪い所はないと思います。
トップスピードは微妙に出しずらいかも?
あえて、あえて悪いところを挙げるとすれば、トップスピード付近での反発の弱さというか伸び切らない感じはあるかも?
厳しくみればですが、リズムが上がりきったところではもうひと押しの推進力が欲しい気もしなくもない。高速域ではミッドソールの『FFブラスト』が思ったより弾んでくれない印象があって、そうなるとフィールドジオくらいのプレートの硬さが欲しいかも。
助走後半でリズムが上がりきった局面にこのスパイクの弱点がある!?って言えなくもない。
もしかすると、ニードルピンにすればピンの引っ掛かりが無くなって足が回しやすくなって解消する可能性も…?
【踏み切り】前半から後半まで全ての局面でイイ!!
画像:後列4本ピンによる踏み切りやすさはさすが!
ソニックスカイプロの踏み切りの特徴は…
踏み切り前半での安定感が高くて、中盤はスムーズでスピード感のある高い跳び出しでができる!!
そう、最強です。
具体的に言うと…
- 接地局面では後列4本と硬いプレートによって助走スピードをガッチリ受け止めてくれる。
- 踏み切り中盤では中列が2本なおかげでスムーズな重心移動が出来る。
- 踏み切り後半では硬いプレートの反発によって大きく体が浮く。
踏み切り板でガチっと止めて助走スピードを跳躍力に変換する感覚がしっかりあって、体が踏み切り板を通る時にスムーズに重心を運べて、跳び出しでは高反発を生かしてポーンと浮くことが出来る。
こういっちゃなんだけど…
踏み切りに関してはたぶん欠点はないです…
8mジャンパーならプレートを硬くするとかあるでしょうが、一般レベルのジャンパーにはこれでほぼ完璧だと思います。
他のスパイクと比較すると…
前半はフィールドジオのようなガッチリ感
中盤以降はアディゼロやzoomLJのようなスムーズさ
前述の助走のコントロール性と相まって、トータルの踏み切りは最強クラスだと思います。
管理人はフィールドジオのガッチリした踏み切りが至高だと考えていますがね…でも、その尺度でいってもソニックスカイプロの踏み切りは相当イイです。
『厚底』はクセが全然ない!けど恩恵もあんまり感じない
画像:均一にミッドソールが入っていてXブラストネオと感触が似てる
画像を見てもらえばわかりますが、トラック種目の『厚底スパイク』はアンビションのように軽量化のために必要な部分だけが厚くなっているのが基本です。Xブラストネオはなぜかかかとまで厚底になっているせいで重量が194gもあってこれが弱点。
で、ソニックスカイプロは前述の通りルールのかねあいもあってかかと部まで厚いミッドソールが入っています。
気になる厚底ってどうなの?ってところでは管理人の印象としては2つで
- 厚底特有のクセはない。
- 厚底特有の「めっちゃ跳ねる!」とかもない
ソニックスカイプロのミッドソールには高反発素材として『FFブラスト』が多分20mmギリギリの厚さで入っています。
アシックスはもっと反発性の高い『FFブラストターボ』があるのに、あえて下位の反発材を使っているのはやっぱり厚底特有の沈み込みやラグを回避するためなんでしょう。
結果的に、ソニックスカイプロは厚底としては中途半端だけど、変なクセがなくて扱いやすいスパイクになっています。
ソニックスカイプロの厚底はつま先からかかとまで均一に厚みがあるのが特徴で、厚底特有の『ここを踏まなきゃダメ』っていうクセがないです。その点はXブラストネオと似ていて、薄底の延長線上にある履き心地。
ソニックスカイプロは『厚底』だけどクセがなくて扱いやすい!と評していいんじゃないかな?
ただ、厚底特有の履き心地じゃないなら薄底でよくない?ってのは思わなくもない。
あえて厚底を買うんだから、厚底ならではの別格な反発みたいな何かが欲しいところではあるんだけど、ソニックスカイプロは厚底に期待するインパクトはないかな。
もちろん、硬いプレートを使っている割には足裏へのダメージが少ないみたいなメリットはありますが、メタSPを初めて履いた時の「めっちゃ跳ねる!!」みたいなを感動体験を期待するとガッカリするかもしれません。
もしもミッドソールがヘタったら…?
『厚底』のメリットがあんまりないとはいうものの、構造的にミッドソールは重要な役割を発揮しているはずで、反発感のなかにはFFブラストの反発も少なからずあるでしょう。
これ、ミッドソールがヘタってきたらどうなるんだろう…?
スプリントスパイクならソールがヘタるなんてことはめったにないと思いますけど、跳躍でソールをぶっ潰しまくってたら耐久性は大丈夫なんですかね?
さすがに1シーズン使ったくらいじゃ致命的なヘタり方はしないと思いますが、使い込んだ時の性能悪化は薄底よりも顕著に出そう。
フィールドジオとソニックスカイプロ、どっちがいい?
画像:比べるとフィールドジオはしっかり感がある
正直、フィールドジオとソニックスカイプロのどっちが良いかは好みの問題です!
なんていうか、ソニックスカイプロはすごくイイんだけど、フィールドジオより何かがズバ抜けて良いのか?っていうと別に...
結局、厚底になったものの『好みの問題』を超えるだけのインパクトはないです。
それがまた扱いやすさという良さを生んで入るのですが、マックスフライのように革命を起こすようなものではなくて、多くのスパイクの中に埋もれて忘れられていく1足でしょうね…
陸上博物館に展示するほどの『何か』はないです。
じゃあ、どっちを選べばいい?っていうのは
跳躍にスピード感を求めるならソニックスカイプロ
跳躍に反発感を求めるならフィールドジオ
これで選んでおけばいいんじゃないかな?もっとスピードを出したいならアディゼロLJです。
全体のバランスとしてはソニックスカイプロの方が良いかもしれませんが、その分中途半端になっているので一発のデカさはフィールドジオにあると思います。
フィールドジオの反発を引き出せる技量があれば、別にフィールドジオでいいやってなると思う。
越えられない『質感』の違いはある…
画像:細かい作りこみは間違いなくフィールドジオの方が優れてる
間違いなく言えるのは…
ソニックスカイプロは質感が高くない!
対してフィールドジオは足を入れた瞬間にわかる質の良さがある!
何が違う?っていうと説明するのが難しいですが、アッパーの紹介でも書いたように、ソニックスカイプロは『普通』。アッパーはただ薄いだけで何も良さがわからないですし、それ以外の部分でもこれといって質の良さを感じるポイントはないです。
一方、フィールドジオは手で持った瞬間に『良いモノ感』があって、足を入れれば感動するレベルで履き心地が良い。多くのスパイクを履いてきた(靴箱に30足くらいあった)管理人でも、いまだにフィールドジオを履くと「これいいなぁ…」ってなる。
生産国がベトナムと日本という違いがあって、やっぱりここには越えられない壁があると思うんです。
個人的には、ミズノを買うメリットは日本製の質感の高さだと思うし、アシックスには質感を上げる努力をもうちょっとしてほしいと思ってる。
思い込みだと言われればそうなのかもしれませんが、説明ができない『質感』の違いは確実にある。
現状の質感だと「やっぱりソニックスカイプロだよね!」ってなることはないと思うし、3年もすれば全く別のアッパーになったりするかもしれない。まあ、記録への影響はほぼないと思いますけどね。
【まとめ】
ソニックスカイプロはスムーズでスピード感のある跳躍が持ち味!
欠点は特になくて最強スパイクなのでは?ってくらいイイ!!
今回は
アシックス初の『厚底』幅跳び用スパイクであるソニックスカイプロのレビュー
をご紹介しました。
管理人、現役時代からフィールドジオ信者です。そんな管理人が履いても、ソニックスカイプロはフィールドジオに匹敵する良さがあった…
フィールドジオを超えたか?っていうと明確にそうだとは言えないし、踏み切りの強さについては依然としてフィールドジオに軍配が上がるとは思います。
それでも、跳び出しのスピード感を筆頭に、コントロール性の高さや助走から跳躍までの流れのスムーズさはソニックスカイプロの勝ち。
技術やスタイルによっては、ソニックスカイプロの方が良いっていう選手も多いと思います。
『厚底』に関しては…
特有の扱いずらさや沈み込みがなく、かなり扱いやすいです。薄底と同じ感覚で履けるし、動きを変える必要はない。
一方で、厚底ならではの圧倒的な反発みたいなものはなく、メタスピードSPの時のようなインパクトを期待するとガッカリするかもしれません。
アッパーや履き心地は至って普通。
『モーションラップアッパー』って名前だけど、ただの薄いメッシュです。前作のHL-0メッシュのような機能は全然感じないし、足あたりも悪くて「硬くて薄いメッシュだなぁ」としか思いません。ただ、他のスパイクと比べて弱点って程ではないので、アッパーは『普通』。破れさえしなきゃこれで良いです。
履き心地は悪いのですが、そのおかげで重量は幅スパ最軽量級。236gは厚底なのにかなり頑張った重さです。
ベルトもゴツいのがついていますが、前作と比べればスッキリしたので好印象です。アシックス特有のヒールカップと相まって、ガッチリ感はかなり高い。
2-2-4ピンの良さよ!
アシックス最大の欠点であったピン配置が改良されて、2-2-4になったのは朗報。オーソドックスなピン配置のおかげで、助走から踏み切りまで一貫して扱いやすく、特に踏み切り中盤以降のスムーズさはかなり高くてスピードのある跳躍ができます。
ってな感じで、
ソニックスカイプロは助走から踏み切りまでどの局面でもかなりイイです!!
これといった欠点はなく、最高の幅跳びスパイクと言っても過言ではない。
フィールドジオと比べてどっちがいいか?は『好みの問題』の域を抜けることはできなかったわけですが、幅スパとして求められる性能を十分なレベルで満たしています。
質感で選べば絶対にフィールドジオですが、そういうの気にしないなら軽量なソニックスカイプロの方が記録が望めると思う。
スピード、踏み切り、扱いやすさのどこをとっても欠点がなくて、これで跳べない理由がない。
今、買うべき幅スパNo.1は間違いなくソニックスカイプロです!
フィールドジオのカーボンバージョンが出るまでの間は迷うならソニックスカイプロを買っておけ!というのが現状だと思います。
ソニックスカイプロはどんな選手が履いたとしても十分満足できるスパイクです。
もちろん、フィールドジオを買って損はないし、フィールドジオを買っておけば後悔することもないです。ただ、せっかくなら新しくて厚底な方が良いっていうこと。
最大の問題は…発売から間もないにもかかわらず品薄で全然買えない!!
サイズがあればポチっておいて損はない。
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