<幅跳びのポイント>第5回:6m跳ぶための練習方法

練習いろいろ, 幅跳びのポイント, 幅跳びの練習方法

幅跳びの練習ってなにをやったらいいのでしょうか?
自分を思い返せば、中学のころはただひたすら毎回全助走で跳んでいましたし、高校に入っても基本的にはそんな感じで練習をしていました。
専門の先生がいたり、伝統的に先輩が練習を教えてくれるような学校でなければ私と同じように『ただひたすら走って跳ぶ』という練習をしている選手は結構いるように思います。
しかし、これだけではある程度のところで頭打ちになります。

ってことで今回は
6m跳ぶための幅跳びの練習方法
についてご紹介。
基本的なことからちょっと専門的なことまで、このページだけ見ておけばある程度の練習が出来るようになるよう、いつものように情報過多な内容でご紹介したいところです。
今回も初心者~中級者、6mを目指す高校生くらいまでのレベルを前提にしています。

 

 

技術練習を重視しよう

まず、幅跳び選手に一番必要な能力は跳躍技術です。
どんなに足が速くても技術がなければ幅跳び選手としてはダメだし、脚が遅くても技術があればある程度の所までいけます。幅跳びで6mを跳ぶためには、いかに技術を磨くかが重要です

幅跳びの練習には大きく分けて2つ、
『スプリント練習』『技術練習』
がありますが、いかに技術練習の善し悪しが幅跳び選手としての成長を左右します。
スプリント練習は基本的には短距離選手に混じって走っていれば十分ですのでここではあんまり細かく紹介しません。

 

技術練習は4パターン

幅跳びには助走踏み切り着地の3局面があります。
そして④全体練習を含めた4種類に練習を分けることができます。
助走練習は『助走の技術を磨く練習』ですので、スプリント練習とは分けて考えましょう。

①助走練習

良い跳躍のためにはスプリントに近いスピードを維持した助走が必要です。
また、踏み切りで大きな力を加えるためには助走のリズムも大切です。
幅跳びはスピードがなければ跳べません。しかし、踏切板に向かって走ると誰であってもトップスピードよりも遅くなってしいます。トップ選手でも助走スピードは100mの時の90~95%程度になるといわれていますので、完全にトップスピードで踏み切ることは不可能です。
助走練習を繰り返すことで、安定したストライドでリズムを作りつつもトップスピードを維持して走る技術を身に付けることができるはずです

②踏み切り練習

別の回でも言っているのですが、幅跳びで6mを跳ぶために一番大事なのは踏み切りだと思っています。

踏み切りの技術についてはこの記事で紹介していますので参照してください。

踏み切り練習では、文字通り踏み切りの練習をします。踏み切り練習こそが幅跳びの本質的な練習だと言っても過言ではないでしょう
基本的には短~中助走を使い、跳び出してブロックするところまでの練習となります。

③着地練習

初心者のうちは着地練習をたくさんやりがちです。私もそうでした。しかし、着地練習はほぼレクリエーションです。サッカーで言うリフティングみたいなもんでしょうか。
跳躍のレベルが上がってくると滞空時間が長くなるので必要なフォームも変わってくるため、練習の優先度は一番低い。
最低限の、『足から着地しないでお尻で着地できるようになる』くらいの練習は必要ですが、補強程度で十分です。着地がどんなにうまくても記録は20cmくらいしか変わりません。

④試合形式(全助走)

いわゆる全助走の練習です。私も何も知らない時は毎日これをやっていました。これだけしかやっていなくても6mくらいなら跳べるようになりますし、結局はこの形式で6mを跳べなければ大会でもいい記録は期待できません
ただそれだとセンス頼りです。センスがあればこれだけで6mくらいまで行けますが、そうでなければ一生6mは跳べません。
また、連続してやると疲労も溜まりやすい練習でもあるため怪我のリスクもあります。

 

 

スプリントの練習は技術練習とは別で必要

6m跳ぶために一番大切なのは跳躍技術ですので、技術練習を重視したメニューを組むようにしましょう。しかし、幅跳びで6mを跳ぶには最低でも12秒台で走れるくらいの走力は必要です
6mを目指すなら12秒中盤7mを目指すなら11秒中盤では走れるスプリント力がほしいところ。
スプリント練習の比重は大体半分くらい、週に2~3日は短距離と同じメニューでスプリント練習をすることをおすすめします。

120mを走ろう

幅跳びは短時間に大きな力を出す能力が必要です。基本的な走力をつけるためには長い距離を走ることも必要ですが、幅跳びのための練習という意味では120mがおすすめ
120mはリラックスしたフォームで高いスピードを維持するのに最適な距離。走力をつけるためにも、跳躍のレベルを上げるためにもなる一石二鳥の練習です。

 

 

助走練習

上でも書きましたが、幅跳びは速く走る競技ではなくて遠くに跳ぶ競技です。そこをわかっていないと助走練習も意味が半減します。つまり、助走は踏切りのためにするものだということです。
それを前提として、助走練習についていろいろご紹介。
幅跳びシリーズでも紹介していますので、専門技術的なことはそちらもご参照ください。

助走ではリズムをつくることを意識

助走は『跳び出しのスピードをアップさせる目的』と、『正確な踏切りをする目的』の2つの役割があります。
いまいちよくわからないとおもいますが、
助走で最も大切なのはリズムです!!
助走練習では、いかにいいリズムを作れるかというポイントに注目しましょう。

フローティング走

軽い接地でできるだけブレーキをかけないように走る練習です。トラックで120~150mくらいの距離で行い、トップスピードの8割くらいでコーナーを跳び出し、そのスピードをできるだけ維持します。
助走の中間疾走をイメージして、余裕を持ちながらもハイスピードを維持することで、実際の跳躍での踏み切りの準備がスムーズにできるようになり、安定した跳躍ができるようになります。

マーク走

一定間隔でマーカーを置いて走る練習で、実際の助走に近い助走練習になります。
10mくらいの加速区間の後に1.6mとか1.8mの等間隔でマークを10個くらい置いて走ったり、マーカーの間隔や個数を変えることで拡張性があって色々と便利な練習です。
スピードが上がるにつれてだんだんと詰まってくるので、ブレーキをかけずにストライドを保ちながらピッチをコントロールする能力が身に付きます。
また、真上からしっかり踏まないとうまく走れないため、フォーム改善にも一役買ってくれる。
マーカーではなくミニハードルを置いてもいい。

 

 

踏み切り練習

踏み切りは幅跳びで一番大切な局面です。
また、最も優先度の高い練習です。
踏み切りが出来れば足が遅くても6mくらいならなんとかなります。

押し切ってブロック!!

踏み切り動作では
①踏み切り板にしっかり押し切る
②跳び出したらブロックする
この2点を確実にできるようにしましょう。ある程度のレベルの選手でも出来ていない場合もありますが、この2つさえ出来ていれば必ず6mは跳べます!!

最終的にはこんな感じでしっかり押し切る踏み切りができると理想的です。

必ずブロック!!

最初のうちは、どんなに小さい踏み切り動作であっても必ずブロックをするようにしましょう。ブロックというのは跳び出した後に体をバチっと固めること
このクセを付けないと、全助走でスピードが乗った状態ではすぐに着地に入ってしまって高い飛び出しが出来なくなります。また、足を巻いてしまうクセがつくとなかなか抜けません。
短~中助走での跳躍練習では着地動作をいれずに、ブロックの姿勢のまま砂場に突っ込むようにしましょう。

 

 

踏み切り練習のバリエーション

具体的な助走練習のやりかたをご紹介。

短助走、中助走

短い助走から踏み切り板を押して跳び出したらブロックしてそのまま砂場に落ちる練習。全ての踏み切り練習の基本になります。スピードが遅いので踏み切りを意識しやすく、怪我のリスクも減ります。
着地動作は基本的には行いません。踏み切り~跳び出しの動きに集中して、ブロック動作を身に付けるためにも着地動作はしないようにしましょう。

踏み切り準備動作

良い踏み切りのための準備動作の練習です。ただ走って跳ぶだけでは良い跳躍は出来ません。準備動作はタンタターンのリズムを基本とします。
初めのうちは単純にリズムを作る練習から始めて、オートマチックでタンタターンができるようになってからは『重心を下げる』ことを意識をしましょう。

連続踏み切り

ピットや直線を使ってタターンタタタタタターンタタタタターンみたいな感じで連続的に踏み切りを繰り返す練習です。
スピードはジョグぐらいで、軽く踏み切ってブロックするところまでを繰り返します。
ブロックの手前までの接地~ローリングまでの間隔を鍛える練習になりますので、ブロックは一瞬だけ固めれば十分です。力を使って高く跳ぶのではなく、地面からの反発で体が弾かれて浮き上がる感覚が得られれば成功です。
高く跳び上がるような意識はダメで、膝を伸ばした接地潰れないローリングだけで重心を浮かすように意識しましょう。

ギャロップ走

いわゆるギャロップ走と呼ばれるリズムで、幅跳びのリズムの基本となる動きです。
タターンタターンタターンというリズムで助走路を走ります。スピードは出ませんが、足の裏全体で地面を押していく感覚と、ブレーキングの少ない接地動作が身に尽きます。
タタタタターンタタタタターンというように、ギャロップの間に数歩普通の走りを混ぜて行くなど、リズムを変えることでバリエーションが増えます。

尻ジャンプ

踏み切り練習に含めていいのかわかりませんが、踏み切りに必要な上半身の動きを身に付けるための練習ですのでここで紹介します。
足を伸ばして地面に座って、その場でジャンプするだけ!!
出来ない人も結構いますが、この上半身の動きは踏み切りでの上半身の動きと同じです
ポイントは一気に肩をギュっとすぼめること。鎖骨をあごに当てるくらいな感じでギュっとやるとお尻が浮きます。
お尻の収縮で浮くのではなく、上半身の『ギュっ』で体を持ち上げられるようになると良いと思います。

跳び出しの練習

ロイター板やボックスを使って踏み切る練習です。跳び出しで地面を押しきる跳躍を意識しましょう。
地面を押す感覚が足りないと足を巻いてしまって高く跳ぶことができなくなります。
ロイター板などを使えば自然と跳躍が高くなるため、地面を引っ掻かずに押す感覚を得やすいと思います。

 

着地練習

幅跳びで最後の数センチを稼ぐには良い着地が必要です。着地練習では着地動作の練習をすることももちろん大切なのですが、それと同時に空中での体の制御を習得しましょう。空中でバタバタしてしまうのはダメ。

着地はしっかり跳び出してから

どんな空中フォームで跳ぶにしても、踏み切りをしっかり行ったあとに動作をするのがポイントです。着地姿勢に入るのは跳躍が頂点を過ぎてからくらいの意識でやると、それだけで踏み切りがまとまって跳躍距離が伸びます。

着地は着地直前まで意識するな!!

跳び出した後すぐに着地動作に入ろうとする選手がけっこういますが、着地動作に入るのは頂点を過ぎてからにしましょう。頂点まではグーっとブロック動作で耐えて、頂点を過ぎて落下し始めてから反ったりはさんだりするくらいの意識です
反り跳びで言えば、反りながら跳ぶのではなくて跳んでから反る。これ大事。

反り跳びか?はさみ跳びか?

6mを目指す選手の多くは反り跳びかはさみ跳びでしょう。正直どっちでもいいと思います。私は6m80くらいまでは反り跳びでしたが、かっこよく跳びたいのではさみ跳びに変えました。フォームを変えても跳躍距離に変化は無いように思います
個人的にはメンコフ選手のような地味なフォームが6mレベルのジャンパーには理想的なんじゃないかと思っています。地味ですが。

 

着地練習のバリエーション

一応着地練習にもいろいろあります。シャカリキにならずに、踏み切り練習で跳び出した後にどうせ着地するならくらいの感覚で楽しんで練習すると良いと思います。

マットに着地

高跳び用のマットなんかに着地する方法です。低い場所から高いところに着地するため、足を前に投げ出すフォームが自然ととれるようになり、抱え込み動作が身に付きます

鉄棒に飛びつく

2m50くらいある高い鉄棒が学校にはありますので、それに飛びつきます。このとき、足は4の字というか跳び出した時のブロックを維持するようにしましょう。
特に反り跳びではこのぶら下がり姿勢が肝になるので、鉄棒に飛びついてブラーんと振られる練習を繰り返していると空中での体の伸ばし方がわかるようになると思います。

足を思いっきり投げ出す

砂場に向かって跳び出した後、着地ギリギリのところで両足を思いっきり前に投げ出します。意外と難しいと思いますが、これが着地の基本です。これができなければ反ってもバタバタしても無駄です。
ポイントとしては、投げ出すのが速いと足が砂場に刺さって前のめりにつんのめります。これはダメ。ギリギリまで粘って、いっきに投げ出すようにしましょう。

こういう姿勢でお尻から着地できるようになればオッケー。つんのめるのはダメ。

 
 
 
 
 
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全助走から着地まで

助走から踏み切って着地まで、一回の跳躍で最初から最後まで全部を行う練習もあります。全助走で跳ぶことが多いですが、中助走でもいいと思います。
総合練習なのでこれができれば幅跳びが出来ると言ってもいい練習なのですが、とにかく疲れる。ポイントを絞れないので「ああ、今あれやるの忘れてた…」ってことがけっこう起こりますが、試合に近い形式の練習なので跳躍全体のレベルを上げることが出来ます。

全体練習のバリエーション

バリエーションもなにもありません。

全助走か中助走か

全助走でやれば助走もチェックできますが、1本跳んだら5分は休憩が必要です。疲れた状態でいっぱい跳んでも無駄です。
中助走であれば本数は出来ますが、全体の流れは掴めません。
基本的には、練習をいろいろやった最後に2本くらいだけ全助走で跳んでみるっていうのが良いのではないかと思います。
その日にやったことを跳躍に落とし込むイメージです。

全体の流れをチェック!!

ビデオに撮って跳躍をチェックしましょう。
助走のスピードの上げ方は適切か?準備動作はとれているか?踏み切りは潰れていないか?跳び出しでブロックできているか?空中動作はかっこいいか?着地は足が前に出ているか?
全体を繋げて自分のイメージと齟齬がないかチェックしましょう。

 

 

その他の練習

ここまで紹介してきた練習はいわゆる技術練習ですが、フィジカル系のトレーニングも少しだけ紹介します。
幅跳びでは特にバネが必要になってきますので、ここではバネを鍛えるトレーニングを中心に紹介します。

ジャンプ系

フィジカルトレーニングでは、ジャンプ系のトレーニグを中心に組み立てる

ハードルジャンプ

ハードルジャンプはジャンプトレーニングの基本です。いろいろありますが、ハイハードルで出来るくらいのジャンプ力を身に付けましょう。
一番基本は、ハードルを等間隔に並べて両足の連続ジャンプで5台くらい跳ぶ方法。これはスプリント選手のトレーニングでもよく行われるものです。跳躍選手ならハイハードルでも余裕で跳んでおきたい
また、棒を付けてさらに高くしたハードルを片足跳びで跳ぶ練習も有効。ハイジャンの選手なんかはよくやっています。

 

垂直跳び

跳躍のトップ選手やプロバスケ選手は70cm跳ぶそうです。陸上に必要な『伸脚バネ』ではなく『伸展バネ』を使う垂直跳びですが、基礎的なジャンプ力や上半身の使い方など、ジャンプの基本が詰まった練習です。
バスケのダンクができたり、ラグビーのポールにタッチ出来るくらいのジャンプ力が身に付けば7mも遠くない。

 

ボックスジャンプ

最近フィットネス界でも人気があるボックスジャンプ。跳躍選手であれば誰よりも高く跳びたいところ。
高く跳ぶだけじゃなくて、ボックスを何個か置いて連続で跳べばプラオメトリクス系トレーニングとして最高の練習になります。ボックスジャンプと聞いて血が騒げばもうあなたは跳躍選手。

 

立ち五段跳び

ジャンプ系トレーニングの基本が詰まった立ち五段跳び。ピットから砂場に向かって行い、最後は着地までやりましょう。
やり方はいろいろありますが、個人的にオススメなのはパワーをかけまくるやりかた。接地しそうなところからあと1足分先に接地して、思いっきり乗り込んで跳びます。こうすると接地時間は長くなりがちですが、潰れずにバネが使えて上半身も稼動させるようなハイパワーなバウンディングができるようになります。これで15mくらい跳べれば三段とびでも14mくらいは跳べる気がします。
もちろん、短い接地で跳んでいくやりかたもありますので、跳躍距離にこだわりすぎずに自分の目指す跳躍を考えて跳びましょう。ちなみに私はダブルアームでやっています。
15mくらい跳べると理想的ですが、最低でも13mは跳べるようにがんばりましょう。最低限の脚力さえあれば、ボディバランスで13mは跳べるようになります。

 

 

パワー系

中学生ならまだ筋力は気にしなくていいと思います。
跳躍種目ではスプリントよりも瞬間的にかかる力大きいため、脚力、背筋力、体幹が強い必要があります。

軽めのデッドリフトが有効

バーベルを使ってデッドリフトをするのが一番手っ取り早く背筋に刺激が入ります。デッドリフトを行えば、背筋~ハムストリングスまで体の裏がwあの筋力を総合的に鍛えることが出来ます。
必ずしも重たいウエイトを入れる必要はありません。グッと力を入れて上がる程度、40キロ程度で十分です。重くても100キロくらいでいいと思います。

クリーンがベスト

これもバーベルを使った種目で、地面あるいは膝くらいにあるバーベルをポイっと肩まで挙げるトレーニングです。
これも軽い重さで、瞬間的に挙げるようにしましょう。陸上の動きに一番近いウエイトトレーニングかもしれません。多くの選手が取り入れており、大学生では定番のメニューだと思われます。
単純に筋力がつくだけでなく、体全体のバネを使う動きを習得することも出来ます。そのため、軽い重量で十分です。

 

 

スパイク買えば跳べるようになる?

6mを跳ぶ最も簡単な方法は幅跳用スパイクを買う事です
5m50跳べるなら幅跳びようのスパイクを履けばそのまんまでたぶん6m跳べます。練習するよりスパイク買った方が早いっス。

長かった。
とりあえず通常の練習についてはこんな感じで良いと思います。






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