【レビュー】Xレーザーエリート2は「高い柔軟性」と「適度な反発」が良い!!
個人的にはエックスシリーズのプレートって結構いい感じだと思うのですが、競技場で周りを見るとあまりシェアは高くない様子…
海外メーカーのスパイクの出来が良いからあえて選ばないっていうのも一因だと思いますが、Xシリーズは違いがわかりにくくてイマイチ手に取りずらいっていうのが原因なんじゃないかと思っています。
ってことで今回は
【スパイクレビュー】
Xレーザーエリート2は「高い柔軟性」と「適度な反発」で中級者にもおすすめなスパイクだった!!
をテーマにご紹介。
固定ピンということもあり”上級者向け”としてラインナップされているXレーザーエリートですが、実際に履いてみると他の上級者向けモデルのようなクセが全くなく、「エリート」名をもちながらも中級者でも十分に扱えるスパイクであることがわかりました。
不人気ゆえにかなりかなり安値で買える場合もあり、歴代をみても屈指のコスパ最強スパイクかも!?
サイバー/SPブレードを越えるポテンシャルを持ちながらも全然評価を得ていないこのシリーズ、日の目を見る日はくるのでしょうか?
ちなみに管理人は初代の「エックスブラストネクスト」も購入してけっこう気に入っていましたので比較の為にご参考ください。
レビューはこちら↓
『Xレーザーエリート2』は柔軟性重視の上級者向けスパイク
まず、前提となる「Xレーザーエリート」の立ち位置については別記事で『Xシリーズの違い』をまとめているのでそちらをご参照ください↓
ややこしい話を省いてザックリと、今回紹介する『Xレーザーエリート2』がどんなポジションのスパイクなのかと言うと…
柔軟性の高い、それでいて反発もある“ロングスプリント向け”の上級者モデルです。
軟らかいけどそこそこ反発はあって、なぜか固定ピン。早い話が400m向けの上級者モデルだと思っていいです。
Xシリーズは同じプレート形状を使いながらも性格の違うモデルが分岐しているのですが、そのなかにおいてXレーザーエリート2は柔軟性を高めつつも上級者向けとして高い反発性を持たせたモデルとなっています。
対応種目は短距離全般となっていますが、実際には200~400mがメイン。とはいえ、反発性を追求しなければ100mでも十分対応できる反発を持っています。
今回のレビュー記事では
・見た目や構成のレビュー(こんなスパイクだ!)
・実際に履いたレビュー
っていう構成でご紹介して行きます。履いた感触だけ知りたい方は下の方までワープして下さい。
Xレーザーエリート2はこんなスパイクだ!!
今回ご紹介していくモデルは『エックスレーザーエリート2』です。
「レーザー」の2022年モデルの2代目で、「エリート」なので固定ピンタイプとなります。名前はダサいけど見た目はスケルトンタイプのアッパーでミズノっぽくて管理人は好き。
アッパー以外は他のXシリーズと共通する所も多いためXブラストネクストのレビューとかぶる部分も多いです。そのため、今回はXレーザーエリート2特有の部分を中心にご紹介していきます。
反発性より柔軟性重視のモデル
左からXブラストネクスト、Xレーザーエリート、Xブラストネオ
プレートが半透明なのでレーザーには黒い樹脂が入っていない部分があるのがわかりますね。
エックスレーザーの一番の長所は「柔軟性の高さ」だと思います(実際に履いたレビューは後述します)。
構造的には後列ピンと前列ピンの間の部分に樹脂が入っていないため「ブラスト」よりも柔らかいという特徴があり、タータンに吸いつくような柔軟性の高さが持ち味。
言われなきゃ気付かないでしょうが、「ブラスト」と「レーザー」では透明なパーツの下に透けている黒い樹脂の有無が違うんです。
ちなみに、外側には樹脂が入っているのですがこれはコーナーを走りやすくするためだそうです。
28cmで170gとそれなりに重い
28cmの実測で170g。メーカー公称は約165g(27.0cm片方)です。
ライバルとなるサイバーブレードが実測で160g(27.5cm)なのでXレーザーエリートのほうが約10g重いわけです。ブレードは取換5本固定3本の8本ピンで、Xレーザーが固定6本にもかかわらずXレーザーの方が重い。
Xレーザーが現代のスパイクとしてはそれなりに重いことは間違いありません!
軽量スパイクとは言えないし、上級者向けとしては数値上はかなり重いです。しかし、実際に走ると気になる重さではないのでギリギリセーフで特にデメリットにはならない程度です。
初代Xブラストネクストは190gでかなり重くてしんどかったので、それと比べるとかなり進化していて、中級者が履くなら十分な軽さだと思います。10秒台だと気になる可能性はありますが、管理人も特別重いとは感じませんでした。
アッパーのフィット感はけっこう良い!!でもベルトが滑る
ミズノお得意のスケルトンアッパー
いわゆるXシリーズはクロノインクスと同じでベルトで締め付ける構造が採用されています。
このスパイクのフィット感を端的に言うと…
インクスのフィット感を安っぽくした感じです。
締めつけ感はインクスと同じ感じで、アッパー全体が締まるのではなく、靴底からベルトで締まってくるやつ。ただ、なんか締まりが悪い感じで、吸いつき感はあんまりない。その分伸びにくくて耐久性は高いのかも?
それでもレーザー系は肉抜きされたスケルトンアッパーになっているためアッパーはほぼクロノインクスで、フィット感はけっこう高いです!!
まあ、アッパー自体は特別良いってほどではないけど、十分なアッパーだとは思います。初代ブラストネクストと比べればかなり良くなってる。
ベルトがダイニーマじゃないのは残念ポイント!!紐がスルスルすべる。
足底から伸びるベルトに紐がつながるインクスと同じ構造
ベルトをシューレースで締めるインクスと同じいわゆる『スケルトンアッパー』ですが、インクスとの最大の違いはベルトがダイニーマ®じゃないってころ(足首じゃなくて紐通すところのベルトね)。
これ、小さいことだけど結構重要な残念ポイントです。
陸上ファンにはおなじみのダイニーマ(アビエント社の商標)ってのはダイナマイトの爆風を防ぐのに使われる強い布だそうで、歴代インクスをはじめ、ミズノがシューズやスパイクの補強ベルトに使っている素材。
これまでは普通のナイロンテープでよくね?なんて思っていたのですが…
Xレーザーで実際にただのナイロンが採用されたことでダイニーマテープのありがたみが分かりました!!
いままで当たり前だったことはミズノの技術の結晶だったんですね…
具体的な話をすると、ギュっと締めてもスルっと滑って広がっちゃうから締めつけが一発で決まらない!
ベルト(紐を通すところ)だけでなく靴紐もスベスベな滑る素材なのも相まって、ギュッとしたのに次の段を締めようと手を離すとちょっとだけ緩んじゃいます。
インクスやフィールドジオLJなど、ミズノの上位機種は紐も「ダイニーマシューレース」で強度があるため、ミズノ特有のガッチリ感がありました。しかし、Xレーザーエリート2のシューレースはスベスベで厚みがあるタイプ。
そのため、他のモデルと比べちゃうと、Xレーザーエリート2の締めつけ感は上級者向けとしてはダルです。
フィット感に直接影響があるわけではないんだけど、ガチっと決まらないのはもどかしい。
こういう細かい『質感』はクロノシリーズからはかなり劣る印象です。
アッパーもインクスかブレイクの使えばでよくね?
正直、Xシリーズを見て毎回感じるのは..
インクスアッパーを流用してくれ!!
あるいは、ブレイクアッパー使えばよくね?
おそらく世の中の多くのミズノファンが同じこと思ってるはず。
インクスっぽいアッパーにするなら余計な事しないで最初から「インクスアッパー」使えばいいし、高反発に耐えられるようにしたいなら「ブレイクアッパー」でいいでしょ。
あえてインクスアッパーを流用しなかった理由がわからん。日本じゃなきゃ作れないってのはあるかもしれないけど、いまどきそんな言い訳はちょっと厳しい。
そもそもそれなら日本製にしてくれ。
最大の欠点は「固定ピン」であること!!
↑スケルトンだから固定ピンの土台が見える!
正直、Xレーザーエリート2にはこれといった欠点ってないと思います!!
それくらい全体によくできています。
ただ、固定ピンなのは致命的なデメリットです…
固定ピンのメリットって、ピンの土台が小さいことで省スペースにできてピンの配置の自由度が高いことや、プレートの屈曲を妨げないことだと思うんですよ。
古くはカール・ルイスのプラスチックピンに始まり、軽量性や自由度を追求した結果が固定ピンのはず。
その流れで、インクスだとちっちゃいピンが付いてたり、アシックスのジェットスプリントだとプレート形状の延長として補助的に固定ピンが使われています。
しかし、Xシリーズは共通のプレート形状を使っているので取替式の「ネクスト」と同じで丸くて大きなピン用のスペースがあって、画像をみればわかる通り固定ピンの土台が余っちゃってるんですよ…
ってことは、固定ピンでも取替式ピンでもスパイクの性能は変わらないのでは!?
うーん、このスパイクなら固定ピンだとデメリットしかない気がする。結局軽くもないし。
実際に履けば固定ピンのよさがあるのか?っていうと、まあたしかにピンの存在感がほとんどないので良い面もあるんでしょう。でもそれならニードルピンでいいからなぁ…
事実、23年モデルではブラストエリートも取替式に変更されてますし、正直、このスパイクの場合は固定ピンはマイナスの方が大きい。
固定ピン故の不人気のおかげでもの凄いメリットが…
固定ピンはデメリットしかないと思います。ただ、そんなデメリットをはるかに上回るメリットがこのスパイクにはあるんです。
固定ピン故の不人気が、Xレーザーエリート2をコスパ最強スパイクへと昇華させたのです…
って言う話は一番最後のまとめで書いてますので最後までどうぞ。
ここから先が実際に履いたレビューです!!
【高い柔軟性と適度な反発】
エックスレーザーエリート2はスムーズな走りができて中級者におすすめできるスパイクだ!!
軟らかいのに固定ピンで“上級者向け”っていう難しいポジションにあるのがXレーザーエリートというモデル。実はこの「Xレーザーエリート」は23年からは廃盤になっていて、レーザーのラインナップは取替式のネクストだけになっています。
じゃあ、レーザーエリートは性能がダメだったのかというと…
メチャクチャ走りやすくて反発も十分な中級者にもおすすめできるすごく良いスパイクだった!!
性能は申し分ないです。ただ、『固定ピン』なのは致命的だった!!
部活生からは敬遠されるし、上級者向けって言うから女子選手や筋力に自信がない選手の選択肢にはならなかったでしょう。
しかし、売り方が悪いだけで、スパイク自体はすごい良いモノです!!
正直なところ、サイバー/SPブレードよりXレーザーエリートの方が中級者におすすめだと思います。
プレートはとにかく柔軟性が高くてスムーズ!!
Xレーザーエリート2最大のメリットは柔軟性が非常に高いところでしょう。
Xレーザーエリート2は軟らかくて地面に吸いつくのに突き上げがなく、重心移動が非常にスムーズです。
柔軟性が高いので曲げても前足部は地面を捉えてくれる
柔軟性といえばロングスプリント向けスパイクでは重要な要素ですが、Xレーザーエリート2は一段階高いレベルのスムーズさをもってます。
感覚としては、接地から蹴り出しまで足裏を重心がスーっと移動していく感じ。ブラストでも同じ感じがありましたが、レーザーエリート2はより感じます。
反発で運ぶっていうよりも重心が自然と乗り込んでくれる感覚で、ロス感が少なく非常にスムーズな走り心地です。
特に、突き上げの少なさは特筆もの。
SP/サイバーブレードは突き上げが大きくて拇指球のピンで押す感じが強いのですが、Xレーザーエリートは固定ピンだけあって突き上げがなくて引っかからないので力を使わずに走れる。
高い柔軟性のおかげで接地から蹴り出しまで一貫して吸いつくように地面を捉えてくれて、中級者でも正確に地面に力を加えやすく、スピードが出しやすいスパイクだと思います。
6本ピンは面で捉えてプレートで走る感じ
Xシリーズ共通のプレートとピン配置。エリートは固定ピン
Xシリーズは分厚いプレートを共通して使っていますが、このプレートはピンの存在感があんまりありません。ピンではなくてプレートで走る感覚はXシリーズに共通した特有の感覚です。
そのなかでもXレーザーエリート2は屈曲が軟らかいので、前足部を「面」にして地面をに吸いつく感覚があります。
サイバーブレードだと拇指球のピンで押す感覚が強くて「点」で地面を捉える印象なのですが、Xシリーズは「面」で捉えて全体で地面を押す感じ。
その点では、意外にもアディダスのアクセラレータと感覚が似てます(傾斜と硬さは全然違うけど)。そーいえば、アディダスも6本ピンなので似てるところがあるのかも?
軟らかくても反発はけっこうあるぞ
軟らかいのが最大の特徴ではあるものの、上級者向けだけあってそれなりに反発もあります。
反発は「サイバーブレード」よりもかなり強くて100mでも十分使えるレベルです。
たぶん11秒中盤くらいまでなら硬いスパイク履くよりもタイム出しやすいんじゃないかな?
さすがに体重のある管理人が履くと軟らかさはあるものの、サイバー/SPブレードが軟らかすぎると感じるならXレーザーエリート2の方が走りやすいと感じる人も多いはず。
↑サイバーブレードは前足部も指で簡単に曲がる程軟らかい半面、反発は少ない
XレーザーはXシリーズの中で見れば反発は弱い方ではあります。それでも、昔のジオのプレート(インクススプリントのやつ)よりは反発強いはず。
「反発が弱かったら嫌だなぁ」っと思って買えずにいるなら買っちゃって大丈夫だよ!!
なんていうか、程よい反発。
もちろん、反発を求めるなら「ブラスト」の方がいいとは思うけど、硬けりゃ速く走れるってもんではない。
Xレーザーエリート2は反発を追求しない選手ならば大学レベルでも十分使えると思う。
(まあ、上級者向けなんだからそうじゃなきゃダメなんだけど…)
程よい反発だけど「高反発」ではない
SP/サイバーブレードと比べれば明らかに反発は強いです。ただ、「高反発」というほどの反発ではない。他の硬いスパイクと比べると最高速付近での軟らかさは感じます。
十分な反発はあるけど、あくまで柔軟性を生かして重心移動していくタイプのスパイクです。踏み込めばしっかり反発を返してはくれるものの、反発に頼って走れる程の強さはない。
反発で走るっていう感じではなくて、正確な接地をして力をうまく伝えることが出来れば、このスパイクの良さが生きるでしょう。
そのため、大きなパワーがなくてもうまく乗り込めばスピードが出るので、上級者向けのなかではかなり扱いやすいです。
最近は海外メーカーのみならず硬くて高反発なスパイクが増えたので、その中で言えば反発は弱い方ではあります。でも、11秒台ならこれくらいで十分だと思うし、むしろこれくらいの方が走りやすい場合もあるはず。
「セミラウンドソール」でクッションは全くない!
↑クッションのないセミラウンドソール
ライバルであるアシックスのサイバー/SPブレードとの大きな違いの一つがクッションの有無です。
Xレーザーエリート2はクッションが全くなく、上級者向けらしくかなりシャープな走り心地と言えます。
走ってる時ってかかとつかないんだから、こんなとこのクッションいらないですよね!
っと思える人にはブレードよりこっちの方が合うはず。
ブレード系はかかとはもちろん前足部までクッションがあるので結構フワフワするのですが、Xレーザーエリート2はタータンの弾力が足に伝わるレベルでシャープ。
余計なものがないのでロス感が少なくて非常にダイレクトな感触のため、プレートが軟らかいのにクッション性が低いので足へのダメージはけっこうに大きいです。
そのため、初心者やかかとが落ちてしまうくらいの筋力の選手だと衝撃に足が負けちゃうかも。
まあ、上級者向けって言ってますからね。慣れていればこのシャープさは嬉しいですが、誰でも履ける優しいスパイクってわけではない。
スパイク特性としては「扱いやすい」し「安定感が高い」
管理人はいろんなスパイクを買いまくってきましたが…
Xレーザーエリート2は扱いやすいスパイクです!!
クッションがなくてダメージが大きいのは間違いないですが、妙な硬さや強い傾斜を強要される感じはないため、上級者向けとは言うものの、12秒5くらいの選手が履いても普通に履けるスパイクだと思います。
屈曲自体はそれなりに硬さはあるものの、前述の通り実際に履くと柔軟に曲がってくれるため筋力が弱くても普通に履けるし、スタートから加速局面でも屈曲が良いので体重を乗せやすい。
特にコーナーでは接地にクセがないので踏みやすい!!つまり、安定感が高いです。
カーブが下手な管理人でもスムーズに走ることができました。
まあ、管理人はあんまりコーナーを走らないので安定感って重視していないんですが、400m専門の選手はクッション性をとるか安定感をとるかでブレードかXレーザーかを選んでも良いと思う。
「扱いやすさ」はXシリーズに共通する良いところ
そもそもでいえば、Xシリーズのプレートは素性として扱いやすいんだろうと思ってます。
Xシリーズは他のモデルでも共通して、重心移動のしやすさと、踏み込みに対してブレずに地面に力を加える性能が高い。
ブレーキがかかりにくいので再加速に余計な力が奪われないし、高速でも踏み込みやすいため、これといって扱いにくさを感じる局面がないんです。
そんなわけで…
Xレーザーエリート2は誰にでも扱えるってわけではないけど、高性能な割には扱いやすいから中級者にもおすすめできるスパイクだと思います!!
~まとめ~
今回は
Xレーザーエリート2のレビュー
をご紹介しました。
Xレーザーエリート2は高い柔軟性と適度な反発性を兼ね備えたモデルで、上級者向けながらとても扱いやすく、中級者にもおすすめできるスパイクです。
プレートの柔軟性が最大の長所で、走りのスムーズさや安定感を追求する選手にはかなりおすすめ!!
フィット感は及第点で、欠点としては「固定ピン」であることが挙げられます。
しかし、耐久性なんかどうでもよくなるメリットが。
それは…
管理人、7,253円でこのスパイク買いました!!
上級者向けのスプリントモデル、しかも発売から1年しかたっていないのに!?
AMAZONで買ったんですが、執筆時点でもサイズによっては信じれない値段で出てます…
800円でピン交換するくらいなら、固定ピンでも7000円で新品スパイクが買える方がいいです。
ってことで、固定ピンのデメリットは本体価格の安さで帳消しどころかむしろプラス!!
23年モデルからはこの「Xレーザーエリート」自体が消滅していますので、在庫がなくなったらおわり。買えるうちに買って損なし!!
買えるかどうかはタイミング次第です…
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