【スパイクレビュー】アディダスの陸上スパイク アディゼロアクセラレータ

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マニアックなアディダスのスパイク、買おうとは思わなくても気になる人も多いはず。
最近はナイキのスパイクを履いている人も増えてきたので、ナイキがある程度行き渡ったら次はアディダスのスパイクが流行るかも知れません。

海外スパイクのざっくりした比較はこちらの記事をご参考下さい。

 

ザックリ言えば、短距離用スパイクは4種類あります。
アディゼロシリーズは3種類で、頭にアディゼロ(adizero)が付いて、モデル名が続きます。
プライム(PRIME)
アクセラレータ(ACCELERATOR)
フィネス(FINESSE)
あとは初心者向けのスプリントスター(SPRINTSTAR)というモデルがあります。
国内では現行のスプリントスターはみたことないので、たぶんプライム、アクセラレータ、フィネスの3つしか流通していないと思われます。
プライムは短短向けの硬いモデルで、アクセラレータ、フィネスとだんだん対応距離が伸びるラインナップになっています。ピン配置はどれも2-1-3というか、3-3というか微妙な感じの6本ピンです。

今回は、そんなアディダスの陸上スパイクのうちアクセラレータ(ステップではアクセレーターと表記)をレビューしてみます。

 

 

アディゼロアクセラレータはこんなスパイクだ!!

ルックスも特徴的です。

見た目は超スタイリッシュ

アッパーデザインは超おしゃれ。このデザインのスニーカーあったら買う勢い。

前足部のベルトが特徴的

どういうわけだか足周と言われる部分にベルトが付いています。コーナーでのブレを押さえてくれるであろうこのベルトですが、他のスパイクにはあまり付いていません。
ベルトを締めない状態でもアッパーは軟らかくてフィット感はなかなか良いので個人的にはこのベルトはいらないと思うけど、別に邪魔にもならないのであって悪いものではない。

プレートは超個性的

プレートも見た目からして国産スパイクとは一線を画すものがある。無駄がないというか、工夫がないと言うか、妙にスッキリしているその見た目からでもプレートが硬いことが見て取れる。
もちろん、硬さレベルはマックス手ではどうやっても曲がらないほど硬い。アクセラレータの硬さを10としたらズームJAフライ3は7か8くらいだろうか。
しかし、履いてみるとそんな硬さはどうでも良くなるほどの個性があったのだ…

 

超フォアフットのスパイクだった!!

個人的にはフォアフットとかミッドフットとかそういう言い方があんまり好きではありません。バカっぽいから。あと、そんなこと意識して走ってないから。
でもそんな私にもフォアフット以外の表現が見つからないほどのフォアフット接地を強要してくるスパイクがこのアクセラレータだったのです!!

フォアフットとは?フォアフットミッドフットという2つの接地感覚があります。拇指球あたりで接地するつま先走法がフォアフット、もっとフラットに土踏まずあたりで接地するのがミッドフットです。どっちがいいかはわかりませんが、フラットに接地するのが最近の主流で、スパイクもフラットに作られているものが多い。

拇指球後ろあたりに変な出っ張りがあるぞ!!

試着の段階というか手にとって見たらわかるんですが、プレートはピンのある前足部と拇指球から後ろの部分でしっかり別れています。フラットな前足部がコクっとまがってまたフラットな面が続くちょっと変わったルックス。
で、その分かれ目に妙な出っ張りがあるのです
一昔前はミズノのスパイクにもついていたいわゆる『支え台』的な構造物であろうと思われます。ミズノの支え台も邪魔なのですが、このアディダスの支え台は邪魔なんてもんじゃありません。

支え台と言うか青竹踏み?

青竹踏みって言って伝わるかわかりませんが、半円の上に立つと足裏が気持ちいいあのマッサージ機です。支え台とかっていうレベルではなくての出っ張りなので走るとものすごい違和感があります。

こんな感じで、丸いものがスパイクの拇指球のあたりに付いているような感覚。
フラットに接地するなんて物理的に不可能です。フラットで踏むとちょうど青竹踏みのように支え台が足の裏に当たります。この青竹を軸に、グリングリンとかコクッコクッって感じでシーソーのように足が動くのです。
走りにくいのは当然として、歩くのも疲れる。

フォアフッター育成スパイクだ!!

このスパイクを履くと問答無用でフォアフットを強要されます。フラットで走るのは無理。でも、それが悪いかと言うと不思議なもんでこれはこれでスピードが出る
どういう理屈かは詳しくはわからないけど、走り方を変えさえすればやっぱり動物が走る時ってフラットじゃなくてつま先で走った方が速いんじゃない?と思えるほど気持ちよく走ることができる。イメージ的にはチーターとかああいう動物のの走り方が近いと思う。
最近は肩身の狭い思いをしているであろう、つま先接地のフォアフッターにはこれ以上にないスパイクかもしれない。

 

走り心地はやっぱり個性的

青竹に代表されるように、アクセラレータは個性の詰まったスパイクだ。

なにはなくとも青竹

硬いとかいろいろあるけど、一番の特徴は支え台、つまり青竹だろうと思う。昔のスパイクっぽいとも言えるかもしれない。サイバーブレードも前後にコクコクなるような感覚があるが、あれはピンが多いからであって、プレートは軟らかいのでそれほど邪魔にはならない。アクセラレータコクコク感はものすごい
つま先で接地して前足部の面だけを使って走れば青竹が前に押し出してくれるので足は良く進む

とにかく硬い

青竹のおかげで硬さに関しては実はそれほど気にならない。なぜなら青竹のせいでプレートを踏んで曲げ伸ばしするような走り方にはならないから。
それでも感じるレベルで硬さはある。つまり、プレートを使わない感じで走ってもプレートの存在感はハッキリとあるのだ。どんなに強く踏んでもプレートは全く落ち込んでこないので、うまくプレートを使えるような走り方を見つければ相当強烈な反発を貰えるのだろう。

反発はすごい

正直なところ、私の技術ではスパイクの性能を引き出すことはまだ出来ていない。
というのも、だ青竹の攻略法がわからないのだ!!
青竹のことは置いておくと、アクセラレータの手で曲がらないほど硬いプレートは体重80キロ弱ある跳躍選手である私の踏み込みにも動じないほどの実際の硬さをもっている。このプレートをうまく曲げることさえ出来れば返ってくる反発はものすごいものだろうと想像出来る。
イマイチの手探りな感じで走っていても、国産フラッグシップクラスやズームJAフライ3と同等あるいはそれ以上の反発感がある。スパイクに慣れればそれ以上の反発を生み出せるはずだ。反発をうまく使える選手には頼りになるスパイクだろう。

使いこなすのは難しいスパイクだと思う

早い話が、うまく乗れない。地面からの反発を貰おうとすると青竹が邪魔でうまく踏めないのでスパイクに逆らわずにフォアで踏むことになる。そうすると反発が腰より上までうまく伝わってこない。その結果、足が前に進んで行くのに腰から上が付いてこない感覚になってしまう。
ズームJAフライ3の場合は弱い接地でも反発してくれるけど、アクセラレータはしっかり踏まないと反発してこないので、ちゃんと乗り込んで走る必要がある。フォアで接地しながらもうまく乗り込めないと、このスパイクのおいしいところを使えないと思う。つまり、硬すぎる。
これは技術的な問題なので、うまいこと筋トレしたり走り方をアジャストできる人ならば問題は無いとは思う。
うまく使えないと末端の変な筋肉を使ってしまうので、ふくらはぎやアキレス腱を痛めるリスクもある。

足幅はかなり狭い

これもアディダススパイク共通の特徴。足周の足幅がかなり狭く出来ています。プレートも細いので、幅広な人が履くとプレートから足がはみ出ます。オーダーする時はいつも幅を1サイズ狭くする私でもギリギリな感じで、ズームJAフライ3よりちょっと狭いくらいだと思われます。そういう意味では日本人向けではない。

かかとがフィットするから履き心地はかなり軽い

アディダスのスパイクに共通した特徴だけど、かかとがメッシュになっていて軟らかくて低い
アシックスのスパイクは『ヒールカウンター』と呼ばれるかかとのプラスチック補強が入っていますが、全くの逆です。アクセラレータのかかとは強く引っ張ったら壊れそうなほど軟らかく、しかも低いので脱げそうな感覚すらあります。
で、実際に走るとこのかかとがかなり良い。強烈な硬さのプレートにもかかわらず、かかとはビターっと追従してくれます。そのせいもあって走っている時のスパイクの重さは一切ありません。NBのSD100ほどではないにしても、かかとフィット感という点では相当ハイレベルだと思います。

間違いなくパワースプリンター向けのスパイク

月並みで何のひねりもない表現だけど、アクセラレータはパワースプリンター向けのスパイクです
流し程度のパワーでそーっと走ると硬い板の上で踏んでるような感覚しかありません。試着で足踏みしているのと大して変わらないような感じ。
でも、思いっきりパワーをかけると、ほとんど沈み込まないプレートから強烈な反発感が出る。この反発が使えるレベルでは走れていないから実際のころはよくわからないけど、おそらく体重が軽い選手やいわゆるピッチ型の選手では反発を引き出すところまで行かないと思う。

ふくらはぎへの攻撃性もすごい

フォアフット、つまりつま先で走るように作られているこのスパイクはふくらはぎへの負担がかなり大きいです。しっかりトレーニングを積んだ人でないと肉離れやアキレス腱痛になるかもしれません。ふくらはぎに少しでも不安がある人はやめた方が良さそう。

適正距離は100~200m?

ベルトがついているのでコーナーに使うことを想定しているとは思うけど、プレートのしなりは全然ないのでスタートやコーナーを走るのは難しそう。むしろ、ベルトがなかったらコーナーなんか走れないんじゃないかと思う。コーナーを走るのであればズームJAフライ3の方が走りやすいと思う。

 

 

アディゼロアクセラレータの○×

海外スパイクは良いところも悪いところもハッキリとしています。

プレートが凶悪

とにかく硬く、そして支え台によってフラットでの接地は出来ません。ほんとに硬い。曲がらないほどに硬い。

×これだけ硬いと履き手を選ぶ

硬さのレベルは最高レベルだと思います。もう一個上のプライムはいったいどんな硬さなのか気になるところですが、アクセラレータですら十分すぎる過剰な硬さがあります
私はパワーも体重もあるのでプレートの硬さが気になることってほとんどないんですが、それでもこのスパイクはちょっと躊躇するほどの硬さ。ホントに全然曲がらない。パワーがあって、さらに技術もある人でないとあんまり履く意味ないんじゃないだろうか?
あと、プレートの幅が狭いので足幅が狭い人じゃないとそもそも履けない。そういう意味でも履き手を選ぶ。

○もう軟らかいプレートには戻れなくなるかも

とにかく硬いプレートは独特な履き心地を持っています。沈み込まない感覚はいままでにないものでした。アクセラレータを履いた後に他のスパイクを履くと軟らか過ぎて全然物足りない。このスパイクに慣れてしまったら軟らかいスパイクなんて履けなくなってしまうのでは?
やっぱり原則的にはプレートは硬ければ硬いほど速く走れるんだと思います。

×変なポジションで接地させられる

接地の感覚は合う人と合わない人はハッキリ別れると思います。とにかく支え台の存在感がデカイ。それでいてニードルピンの6本だとグリップ感は薄い。ピンの付いている面で接地しないと接地でひっかかってブレーキがかかる感じがあるので、うまい接地場所を模索する必要がありそう。スパイクに合わせた走りをする必要があります

○反発はデカイ

短距離スパイクに何を求めるかだけど、もし反発を求めているのであればアクセラレータはオススメだ。とにかく高反発なスパイクで、跳躍用スパイクのようなレベルで反発がある。ただ、それをうまく引き出せるかどうかは履き手次第だろう。

×プレートのしなりはない

ズームJAフライ3は結構硬いにもかかわらず、ねじれに寛容なところがあってコーナーも走りやすかったのですが、アクセラレータはねじれ剛性が非常に高くてまったくしなりません。コーナーリングやスタートダッシュにはなかなか使いにくそうな印象。100m特化として考えた方がいいと思うんだけど、プライムがあることを考えるとアディダス的にはこのスパイクでもコーナーで使えるってことなんでしょう。

 

アッパーはかなり良い

当たり外れのある海外ものですが、ナイキのアッパーと違ってアディダスは良い感じ。×なポイントはなし。

○包み込む系のアッパー

アッパー素材はテラッとした合成皮革で、ちょっとだけ収縮性がある感じ。これが結構軟らかい足入れを実現していて履き心地はナカナカいい。ミズノのスケルトンアッパーやNBの軟らかアッパーほどではないけど、相当良い感じで足を包み込むようにフィットしてくれる。
このアッパーなら1時間履き続けていてもなんの不満も出ないと思う。

○かかとが軟らかいって良いことなんだ!

国産は結構かかとが硬いスパイクが多いような気がする。っていうか、スパイクのかかとって硬いものだと思っていた。でもNBのSD100もこのアクセラレータもかかとはふにゃふにゃ。履くときにはすごい違和感あるけど、いざ走りだすとかかとのフィット感がが非常にいい。かかとが軟らかい方が走りやすいということをアクセラレータが教えてくれたよ!!

 

アクセラレータはオススメか?

めちゃくちゃ硬いプレートと変な支え台がこのスパイクの特徴です。

パワーに自信ががあるならオススメ!!

です。
スパイク自体の完成度は高くて、不満らしい不満は支え台くらいです。プレートの硬さをメリットと考えられる、パワーに自信がある選手であればこのスパイクはオススメです。
クセはあるから汎用的な使い方はなかなか難しいかもしれませんが、硬いプレートが好きな選手やパワー系スプリンターなら一度はこの硬さを味わってほしい。

 

ナイキのズームJAフライ3のレビューはこちら

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