<速く走るコツ>②足運びを理解すれば速く走れる編

速く走るコツ

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速く走ることは容易ではありません。しかし、ポイントをしっかり押さえればそれなりに速く走ることはできます。今回もシリーズとして、速く走るためのスプリントのポイントを解説していきます。
第1回目では腕振り編を紹介しました。

今回は第2回目として、足運びにスポットを当てます。
②足運びを理解すれば速く走れる編
速く走るための足運びをご紹介。
なんだかんだで速く走るためには足をちゃんと動かすことが大切です。足運びをちょっと直すだけでタイムが劇的に良くなる人もたくさんいるはず。

 

 

スプリントの足運びで足が速くなる!!

足の速い人と足の遅い人にはいろんな違いがありますが、足をちゃんと動かせていれば必ず速く走れます。100mで13秒台の人なら足運びを直すだけで11秒台の動きができるようになるはず。
筋力なんかなくても正確な足運びができるだけで劇的にタイムが良くなります。

スプリントの基本姿勢をバッチリ身につけよう!!

足運びを考えるときには、まずは基本姿勢がどうなるものなのかをわかっておく必要があります。この基本姿勢のポジションをバッチリ身につけることで、動きをつけたときにも自然と体が正しい動きをしてくれるようになります。

基本姿勢はもも上げの姿勢

静止した状態で基本姿勢をつくりましょう。簡単そうにみえますが、最初はこの姿勢すら作れない人もいると思います。
止まってこれができなければ動いていてはもっとできません。まずはしっかりとこの姿勢を作ることから始めましょう。

ポイントは4つ。
速く走るために必要な『反発をもらう』『足を速く回転させる』『大きな力を出す』という要素がこの姿勢に詰まっています。
腰にまで意識をもっていけると更にレベルがアップすることでしょう。
この4つは陸上の基本でトップ選手になるほどこの姿勢が明確になります。意識しなくてもこの姿勢がバチッと決まるように体に染みこませましょう。この姿勢がとれなければ速く走ることはできません。

壁を押すと理解しやすい

基本姿勢の身につけ方として、壁を押す練習があります。
壁を両手でプッシュすることで、地面からの力を体の軸を通してアウトプットする感覚がわかります。

このとき、基本姿勢がとれていれば足で地面を押す力がそのまま手で壁を押す力になります。
腰で壁を押す感覚で壁を押します。腰や膝が曲がっていると壁をプッシュする感覚が弱くなってしまいます。
手だけ壁を押すのではなく、体幹を固めて体全体で壁をプッシュするようにしましょう。
この感覚のまんま壁を取り払って腕を振ればそれだけで速く走れます

腰が落ちるとパワーも落ちる!!

速く走るためには腰を高い位置で保つことが必要です。
基本姿勢でも体をまっすぐに伸ばして腰の位置は高い位置をキープしましょう。理由は諸々ありますが、腰が高い位置にあれば体の真下に力を加えることができ、この位置がパワーポジションになります。
パワーポジションっていうのは、もっとも力が発揮できるポジションのこと。

パワーポジションを取ることができれば反発を体で受け止めることができるため、速く走れます。
腰が落ちたフォームで走ってしまうと、接地が前寄りにズレてしまいます。接地位置が正しい位置にないと反発を使いきれずにロスが発生します。接地時間も長くなります。これでは速く走ることはできません。
いわゆるリーチアウト(振り出し)が大きすぎる選手は腰が落ちて接地が前寄りになります。直線的な足の軌道を意識することで腰の高いフォームで走りましょう。

 

足の軌道はピストン運動

走る時の足の動きには2種類あって、足の速い人は直線的に足を運んでいます。対して足の遅い人は体の後ろからグルンと足が回ってくる足運びになっています。
直線的な足運びを身につければ簡単に(?)速く走れるようになります。

足はまっすぐ往復運動で動かす

静止状態では足の軌道は円ではなくてまっすぐと上下に往復運動(ピストン)させるように意識しましょう。

壁に手をついて遊脚を上げたり下げたりしたときに、真横から見て足が直線的にピストン運動するようにしましょう。感覚としては、上がっている足を体の真下に踏み抜くような感覚です。地面を蹴るのではなく踏む感覚が必要となりますが、スプリントの動作は『蹴る』ではなく『踏む』のが正解。この動きをすることで地面からの反発を使える足運びになります。
足が流れている人はこのときに後ろに蹴りあげる動きが入ってしまうと思います。しっかりとピストンさせることで足が流れない足運びを習得できます。

ケンケンで足運びをチェック!!

自分の足の軌道がどうなっているのか見たことがある人は少ないと思います。軌道を確認するにはケンケンを真横から撮影するのがわかりやすいと思います。

ケンケンの時の浮いている足(遊脚)の位置に注目。足がお尻の後ろにある人と軸足の前にある人の2パターンにわかれます。足が後ろになっていてもそれなりに足が速い人はいますが、11秒台で走りたいなら遊脚は前に持ってくるようにしましょう。
ちなみにこのように足を体の前で動かすことを『前捌き』(まえさばき)と言います。反発をもらうために絶対に必要な足運びで、速く走るためには前捌きの動きを意識しましょう。足を後ろで回してしまう人は地面を蹴ってしまっています。それでは反発は使えません。
また、足が後ろに残っていると上体が前傾してしまい、足の回転を上げることができません。足はつねに前捌きするようにしましょう。

 

接地を短くすれば速く走れる!

スプリントの足運びは『蹴らずに踏む』わけですが、これってどういうことなのか?というお話です。
端的にいえば、接地はできるだけ短くしたほうが速く走ることができます。もし今までこれを意識したことがなかった人は、接地を短くすることを意識するだけでタイムが上がるかも?

スプリントは蹴るのではなく踏む意識

『短い接地』っていうのは具体的にどういうことか?というと、接地したらすぐに足を前に持ってくる動きです。いわゆるキックの動作はできるだけせずに、接地したら素早く切り返していく動きです。

反発をもらうためには蹴ってはいけない!!

走るというのは地面を強く蹴る動きです。しかし、感覚としては蹴ってはいけません。
野球やサッカーなどの場合は地面からの反発がないため、強く地面を蹴りだしたほうが速く走れる場合もあります。しかし、陸上では反発の強いタータンの競技場で大会が行われます。
蹴るというのは自分の力を使って走るということ。蹴る走りでは反発が使えないので競技場では速く走ることはできません。
踏むというのは自分の力を使わないで走るということ。反発が使えるタータンではこの走りのほうが有効です。
大きな反発をもらうためには地面を踏む意識で走り、短い接地で素早く切り返していく走りをする必要があります。

つま先は絶対に下げない!!

踏む感覚は紙コップを踏みつぶす動きです。この練習方法はあとで解説します。
で、踏む感覚のために必要なことは、『つま先を下げない』こと。トゥアップです。紙コップの練習をするまえに、つま先を下げない動きを意識することである程度ちゃんとした足運びができると思います。
ただし、ひざ下を意識しすぎるのはそれはそれでよくないことがあります。自然とトゥアップができるとベスト。
前述のスプリントの基本姿勢のポイントのひとつであるトゥアップですが、これができるとできないとでは足運びがまるっきり違います。

足が流れるのは地面を蹴っているから!!

悪い走りの代表的なものに『足が流れる』というのがあります。足が流れる原因にはいろいろあって、第1回(腕振りをマスターすれば速く走れる編)でも紹介したように、腕振りでもある程度解決することができます。
しかし、足が流れる原因は足運びに原因があります。
地面を蹴ると足は流れますスプリントの動きでは地面は蹴るものではなくて押すものです地面を押した反発を使って走るのがスプリント。足が流れてしまっているのであればそれはスプリントの動きではなくてジョギング・ランニングの動きに近いものになっています。

 

 

足運びを身につける練習方法

頭ではわかっていても実際にはなかなかできない足運び。静止状態ではできていてもいざ動き出すと動きがバラバラになってしまったりもします。
動的なトレーニングを続けることでスプリントに活かせる足運びを身につけましょう。

紙コップやペットボトルを踏みつけろ!!

スプリントの足運びは紙コップやペットボトルを踏みつぶす感覚と一緒です
前捌きでピストンの動きをするべきだというのは頭では理解できても、それを実際の動きにするのは非常に難しいことだと思います。しかし、現代ではいろんな人がこのことに対する簡単な習得方法を考えてくれています。
そのなかでももっとも有効なのが、この紙コップ(ペットボトル)踏みです。

やることは単純です。紙コップを置いて真上から踏みつけるだけ。
これでパーンと紙コップがつぶれれば成功です。このとき、自然と足の指はパーになってトゥアップができていることと思います
陸上では体幹主導で動きたいので、膝から下はなるべくなら意識したくありません。紙コップを踏む感覚で走ることで、ひざ下を意識することなくトゥアップをキープすることができます。
紙コップがグニャッと曲がってしまう場合にはちゃんと踏めていません。真上から踏み抜く感じで踏みつけましょう。

ミニハードルで感覚を養おう

紙コップをうまく踏めるようになったら、次はミニハードルで練習します。
紙コップを踏む感覚と同じ感覚で地面をプッシュします。ミニハードルを越えて真上から地面をプッシュすることで、紙コップの動きを実際の走る動作につなげます。
連続する動きになるので、遊脚が遅れるとうまく踏めなくなってきます。最初はちょっと難しいかも。前捌きピストンの動きを融合した動きを身につけることができます。

 

バウンディングでパワフルなプッシュを習得だ!!

ミニハードルなどで足の動きができるようになってきたら、今度はその動きにパワーをかけていきましょう。正確な動きができていてもパワーが弱ければ速く走ることはできません。簡単な動きから、だんだんと速い動き、大きな動きにつなげていくことでスプリント動作を作っていきます。
軽い力でポンポン切り返していくことから始め、最終的には大きなバウンディングでも正確な足運びによる強いプッシュができるようになると良いでしょう。

最初はギャロップ走からはじめよう

ギャロップ走っていうのはバウンディングを片足だけやるような動きでスキップに近い動きです。

動画の動きのように、軽やかにできるようになれば正しい動きになっているはずです。
ポポーンポポーンと弾んでいくことで反発をもらうための姿勢づくりができます。接地の感覚は紙コップの感覚で、ミニハードルよりももっと強い力を加える必要があります。

バウンディングでハードプッシュ!!

ギャロップ走でも紙コップの感覚がブレることなくできるようになったら、今度はバウンディングでもっと強い力をかけてみましょう。この動きでも正確な足運びができていれば、これをどんどん速くしていけば速く走れるようになっているはず!!

動画ではダブルアームですが、シングルアームでやってもいいと思います。第1回(腕振りをマスターすれば速く走れる編)で書いたとおり、ダブルアームの腕振りを習得すれば更に速く走れます。
強いバウンディングのなかでもしっかりと足運びができるようになれば足運びはもうマスター!!

 

第1回では腕振りに、今回は足運びにスポットを当てて速く走るためのポイントを紹介しました。
速く走るためにはこの2つが大きなウエイトを占めていると思います。腕がちゃんと振れて足がちゃんと動けば11秒台くらいのスピードで走れるようになるはず。
しかし、競技レベルで速く走るためにはもっと細かい動きも必要になってきます。次回はそんな細かいお話を紹介しようと思います…

 

 






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