ニューバランスの短距離スパイクレビュー(USDSGMHG)!!履きやすくて高反発なベストスパイクだった!?

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スパイク選びはタイムに直結するため、普通は失敗しないようにミズノかアシックスを、変わったのが欲しい人はナイキかアディダスを選ぶはずです。
そのため、ニューバランスやプーマを選ぶのは日本においてはかなりマイナー。しかし、当ブログではこれまで2つのNBのスパイクをレビューしています。

どちらも奇抜な見た目をしているのですが、ソックスのように履くアッパーは最高のフィット感を実現していました
管理人はスピードを出さないときにはSD100を、スピード練習ではVazeeSigmaをって感じで練習で使用しており、かなり気に入っています。
しかし、SD100は反発がほぼなく、VazeeSigmaは200g弱の重量があり足を回すと重さを感じるという欠点がありました。そこで今回、Sigmaシリーズの後継となるのSigmaHarmonyを購入し旧型の弱点であった重さをクリアした最高の1足となることを期待したのです!!

ってことで今回は
NBの短距離スパイクSigmaHarmony V1(USDSGMHG)をレビュー!!

ニューバランスの短距離モデルであるSigmaシリーズで、前に紹介したVazeeの後継であるHarmonyを購入したので旧モデルとの比較を中心にレビューしていきます。

 

 

SigmaHarmonyはこんなスパイクだ!!

ニューバランス(以下NB)のスパイクは日本ではなじみが薄いのですが、女子400mHのマクラフリンが東京五輪で着用して世界記録をマークするなど、ポテンシャルは高そうです。男子ではトレイボン・ブロメルがNBを着用しています。


写真引用:https://wacotrib.com/

日本ではかなりマイナーなNBではありますが、管理人も今回紹介するモデルの前身であるVazeeSigmaを愛用しており、奇抜なアッパーとは裏腹に、高反発ながらマイルドな反発特性でかなり扱いやすいモデルでした。
今回は旧モデルであるVazeeSigmaと新モデルであるSigmaHarmonyの違いの比較を中心に紹介していきたいとおもいます。

前作同様フィット感がバツグン!!扱いやすさもなかなかいい


左の赤いのが旧型、右の緑のが新型です。ぱっと見は同じように見えますが細かくいろいろ変わっているのです。
最初に良いところをざっくりと紹介すると、前モデルであるVazeeSigma基本的な構造は変わっていないため、スパイクの性格としてはVazeeSigmaSigmaHarmonyではだいたい同じ印象。かぶる部分が多いので細かいことは前作のレビューを参照していただくとして、なんといってもアッパーのフィット感は最高です!!
SigmaHarmonyは多少の重さはあるものの、最高のフィット感と高反発でありながら懐の深い扱いやすい反発特性が持ち味で、いわゆるパワー系スパイクとして非常に使いやすいスパイクっていう印象。短距離種目でメインのスパイクとして使用できるスペックがあり、細めのワイズに足さえ合えば最高の一足になる可能性があります。
前のレビューでも言っている通り、特殊な構造のアッパーによってフィット感は最上級!!
アッパーのフィット感だけでこのスパイクを買う価値があります。こればっかりは本当に最高。
また、プレートは大幅に変更されているのですが、硬いプレートでありながらあまりクセがなく『硬くて反発が強いけど接地の自由度が高い』という基本特性は前作から引き継いでいます。
高反発ではあるものの非常に扱いやすく、国産スパイクから履き替えても反発の出方や接地感覚に違和感はないと思います。

 

 

アッパー改良によってガッチリ感と履きやすさが高次元で両立した!!

ぱっと見では旧型のVazeeSigmaと新型のSigmaHarmonyのアッパーは同じように見えます。しかし、大きな変更が2点あったのです。
①補強が入ってガッチリ感を手に入れた!!
②ハイカットが高くなって劇的に履きやすくなった!!
細かく見るとちょっと素材が変わっていたりといった変更もあるのですが、アッパーについての大きな改良はこの2つです。どちらも前回のレビューでもちょっとだけ言及した点だったのですが、やはりメーカーも気になっていたようで改良してきました。

補強によって高反発に相応したアッパーになった


前回のレビューでも少しだけ触れましたが、前作では硬いプレートに対しては少しアッパーが頼りない感じがありました。フィット感が桁違いだったのでアッパーの柔らかさは許容できていたのですが、SigmaHarmonyでは最高のフィット感を維持しつつもちょっとした補強を入れることでガッチリ感を手に入れたのです!!
SigmaHarmonyではアッパーのベロの部分の付き方に変更があり、前側は縫い付けられていて開かなくなりました。これに伴って、母指球から子指球の周囲にぐるっと補強の縫い目が入っていますで、この補強がめちゃくちゃ効いてる!!
前モデルでは踏み込んだときにアッパーが広がってしまいガッチリ感はありませんでしたが、新作では踏み込んでもアッパーが伸びずにガチっと力を受け止めてくれるようになりました。硬いプレートに対して思いっきり踏み込んでもアッパーのブレがなくなったため、硬いはずのプレートが柔らかく感じるくらい力の伝達がよくなっている感じがします。
たった1本の補強ラインが入っただけなのですが、硬いプレートを強い力で使うタイプのスパイクにふさわしいガッチリ感を手に入れたのです!!
やっぱり硬いプレートにはガッチリしたアッパーが合いますね。

 

 

ハイカットが高くなって脱着性がものすごく改善した


前作VazeeSigmaの最大の欠点と言えたのがその脱着の面倒臭さでした。
くるぶし丈の靴下のような構造のアッパーはフィット感は最高なのですが、足を入れるのに一苦労で履くのに失敗すると一回脱いでやり直すこともあるなど、履くだけで数分かかるという海外製品ならではのとんでもないモノでした
SigmaHarmonyではハイカットの部分が数センチだけ伸びたのですが、一見するとさらに履きずらくなったのかと思いきや、なんとハイカットが高くなったことによって掴む部分が増えて引っ張りやすくなりかなり履き易くなったのです!!
たぶん脱着時間は半分以下になって、普通の紐のスパイクと比べてもむしろ早く履けるくらいになりました。慣れないと靴下が引っ張られることもあるのですが、最大の欠点がほぼ完全に解消したためアッパーに関しては欠点がなくなったと言えます。
最高のフィット感を実現しつつ、補強とハイカットの改良で履き易さとガッチリ感を得ることになった進化のスピードはさすがアメリカメーカー!!

 

 

プレートがスタイリッシュになって軽さも体感できるようになった!!

前作のVazeeSigmaは現代のスプリントスパイクとしては重たく、後半で足が回らなくなる感じがありました。
NBのスプリントスパイク最大の欠点は間違いなく重量で、重すぎて全然ダメっていうレベルでした。あえてNBを選ぶ必要がないくらいに重さを感じてしまうため、普通の人はナイキかアディダスを選んだほうが良かったほど。
しかし、新作では重さもしっかり改良されていたのです!!
新作を実測してみると…

28cmで189.5g
前のモデルは195.5gでしたので、ぱっと見は変わっていなくても旧型から約10gもの軽量化されています!!

軽くはなったとはいえパワー系重量スパイクであることに変わりはない

ここで、NBのスパイクの立ち位置を確認するために管理人の手元にあるほかのスパイクを適当に計ってみます。
他メーカーのスパイクは…

ズームJAフライ3の159gが抜きんでていますが、パワー系スプリントスパイクはだいたいみんな180~190gといったところ。旧型のVazeeSigmaの最大の欠点は重さだったのですが、SigmaHarmonyでは10gもの軽量化によってギリギリ許せる範囲の重さに収まっています
とはいえ、やっぱりNBは重量級のスパイクであることには変わりないので、間違いなくパワー型のスパイクです!!
ピッチ型の選手で軽い接地で足を回していきたいのであれば、NBではなくナイキやミズノのインクス(ここにはないですが)などの軽量スパイク(だいたい150g前後です)を選ぶべきでしょう。
しかし、跳躍選手のような荒い動きでパワーを使って走っちゃうタイプには非常に合うと思います。特に慎重や体重のある選手には軽量スパイクよりも1歩1歩の感触がつかみやすいので扱いやすいと思います。
ちなみに、かつて一世を風靡(?)したアシックスの超軽量スパイクのサイバーレイは140gとかでした。

 

 

SigmaHarmonyをレビュー

ここからは、SigmaHarmonyを使った感想やどんなタイプの選手にオススメなのかっていうレビューをご紹介!!
ざっくり言えば、パワータイプでゴリゴリ行きたいなら最高のスパイクになる可能性がある!!
いろんなスパイクがあるなかで、あえてNBのSigmaHarmonyを選ぶ理由があったのです。

プレートは高反発で硬いけど扱いやすい反発特性

新型と旧型ではプレートの見た目が大きく変わりました。
旧型は昔ながらの何の変哲もない硬いタイプのプレートが付いていて、溝によって硬さを出している印象の高反発プレートでした。硬さは10段階で8くらいとかなり硬いものの、プレート自体に厚みがあるので踏み込みの容量が大きく、雑に踏んでもしっかりと反発を返してくれる高反発でありながら非常に扱いやすいプレートでした。欠点は重さ。
新型ではプレートの見た目が一新してツブツブがたくさんついたクリアなプレートになりました。見た目の印象ではナイキのアミアミプレートに近い感じ。ツブツブ自体にもそれなりのグリップ力がありそうです。
ピン配置自体は変更なく、後列の4本ピンでパワーを受けるタイプで硬いプレートでありながら力を加えやすいので扱いやすい印象です。
プレートの硬さは旧型となじ10段階の8くらいなのですが、旧型は溝によって無理やり曲がりにくくしている感じだったのに対し、新型では1枚の板の硬さによって反発を出している感じになりました。旧型はミズノ・アシックスっぽい反発だったものが、新型ではちょっとナイキっぽくなったと言えるかもしれません。
プレートの感じとしては前作よりも多少はシャープな反発にはなったものの、ナイキよりも厚みがあるため旧型から基本特性は変わっておらず、い接地でしっかりと踏み込んで反発を出すタイプだと思います。

硬いのに扱いやすいのが最大のメリット


SigmaHarmonyのプレートはそれなりに傾斜があって硬いのですが、非常に扱いやすいのがほかのスパイクと大きく違う点です。
高反発なスパイクという意味ではアディダスやナイキもそうなのですが、ほかのメーカーの高反発スパイクはどれも必ずクセがあって、スパイクに合わせた走り方を要求されます。
しかし、SigmaHarmonyは高反発でありながらめちゃくちゃ扱いやすい!!
最近のスパイクは軽量化が進んだことで反発の出方にもクセがあるものが多く、めちゃくちゃ踏み込まないといけなかったり、逆に短く接地しないとおいしいところを使えなかったりします。しかし、SigmaHarmonyは後列の4本ピンによってフラット気味でもフォア気味でもしっかりと踏み込むことができるため、走り方にかかわらずグッと地面を踏めればかなり大きな反発を受けることができます。
硬くはあるものの、硬さをうまく使える感覚が得られるスパイクなので、いままで高反発が欲しいけど扱いきれないからという理由でサイバーブレードなどの中級者向けを選んでいたのであれば思い切ってSigmaHarmonyに履き替えると幸せになれるかもしれません。

 

 

極上のフィット感に加えてパワーロスも少くなった最高のアッパー!!


SigmaHarmony
の良さはなんといっても最高のアッパーです。
見た目は相変わらず意味不明ですが、旧型から少しだけではあるものの効果的な改良が入っており、旧型の欠点がしっかりと改善されており、もはやアッパーのフィット感に関しては他の追随を許さないレベルになっています。このアッパー以外のアッパーはすべてクソと言えるほどに最高。すべてのメーカーがこのアッパーをNBから借りてきてすべてのスパイクがこのアッパーになればいいと思っています。

パワーロスが少なくてフィット感も最高!!つまり最高のアッパー!!

旧型では若干ゆるさを感じたアッパーですが、補強がはいったことでアッパーの欠点は完全に改善されています!!
さらに、旧型に比べれば履き易さもかなり改善されています。ってことはもはや欠点はなくなったと言って過言ではないでしょう。
フィット感自体は旧型と変わらないにもかかわらず、新型では硬いプレートの反発に対してしっかりとアッパーが受け止めることができるようになりました。これによって旧型で若干感じることがあった『アッパーがちょっと頼りない感じ』は全く感じなくなりました。
最高のフィット感とガッチリ感を高レベルで両立していることはSigmaHarmonyの最大の魅力でしょう。
フィット感をとるかガッチリ感をとるかという悩みはこのアッパーによって完全にクリアできます!!

 

 

【デメリット】足幅が狭かったり甲が高いと履けないかも!?

スパイクでは海外メーカーは足幅が狭い、っというか日本メーカーは比較的足幅が広くなっているものが多い。
そのため、足幅が広かったり甲が高い人はそもそも海外メーカーのスパイクを履けないことがあります。そんなこともあって、失敗しないスパイク選びをしようとするならミズノ・アシックスを選ぶのが無難です。
では、SigmaHarmonyのサイズ感はどうかというと…
・足幅は結構せまい!!
・甲が高いと履けないかも!!
こんな感じ。
他の海外メーカーに比べればクセが少ないものの、やはり国内メーカーに比べると特徴的です。
参考に、管理人はミズノで育ったのですが、オーダーするときには足幅を一つ狭く(たぶんE)にしていて、海外メーカーでも足が合わないということはなく、むしろアシックスがの甲周りに緩さを感じるので日本人としては甲が低くて細めなんだと思います。

プレートの幅が狭いから足がはみ出るかも?


NB、アディダス、ミズノ、アシックスのスパイクを並べてみました。ちなみにナイキはNBと大体おんなじ感じの見た目です。
左から管理人が幅が狭いと感じた順番なのですが、後列ピンの一番幅が広くなっているところの幅をはかってみると、実測ではどれもではほぼ差はありませんでした
そのためはがば違う気がしたのは管理人の気のせいという可能性もあります。んー、なんでだろう?測っても幅の違いはないものの、履いてみると左の2つは明らかにプレートの幅が狭いと感じます。
ただ、ピンの周辺では同じ幅ではあるものの土踏まずの辺りは海外メーカーは大きくエグレており、国産メーカーは非常に広くなっているのがわかります。もしかすると、土踏まずのエグレが足幅の感じ方に大きな影響を与えているのかもしれません。

いずれにしても、アディダスと同じようにプレートから足がはみ出しそうな感覚があるほどワイズが細いので購入する際には注意しましょう
また、前述の通りアッパーの母指球まわりにはグルっと補強があって伸びなくなっているため、足幅が広い人は踏み込んだ時にきつさを感じるの可能性もあります。
試着の際には履いてみるだけでなく、軽くジャンプしたりグッと踏み込んでみて足幅が合っているか注意したほうがいいかもしれません。

 

甲高だと足が入らなくて履けないかも!?


旧型と比べるとハイカット部分が伸びたのでかなり履き易くなったものの、開口部が狭いので甲が高いと足が入らない可能性があります!!
旧型のレビューでも指摘した点ではありますが、足が合う合わないとかそういうレベルではなくてそもそも足が入らない人もいると思います。
SigmaHarmonyのアッパーは見ての通り非常に特殊になっています。上にかぶさっているベロの下には伸縮するニットがあって、ベロの部分のBOAフィットの締め付けはそれを押さえる程度の締め付けしかありません。
じつはアッパーの本質はこのニットで、ひもを締めて締め付けるのではなく、ニットの伸縮によって
靴下のようにピッチリと履く構造になっています。
で、ニットの伸縮が足型の許容範囲なので、普通のひもで締めるタイプのシューズと違って伸縮の範囲を超える足だとそもそも足が入らないくらいきつくできています。
つまり、このアッパーは最高のフィット感を実現するために足の形の許容範囲が狭くなっているのです!!
足が合う人にとっては最高のフィット感なのですが、合わない場合には足を入れることすらできないくらいピッチリ。アシックス派だと履けない気がします。

 

 

今回のまとめ

今回はニューバランスのスプリントスパイクであるSigmaHarmony V1(USDSGMHG)のレビューでした。
結論から言えば..
高反発だけど扱いやすさもを求めているなら超オススメ!!足さえ合えば最高のスパイクかもしれない!!

シグマシリーズとして旧型のVazeeSigmaから良いところは引き継ぎつつも、欠点だった重さとガッチリ感をしっかりと改善したことで、最高のフィット感をもちつつ不満な要素のないかなりいいスパイクに仕上がっていました。
ナイキがエア入りのスパイクを出し、各メーカーがトップ選手向けにソールの厚さを増やした厚底スパイクをスパイク出し始め、スパイクも新しい世代へと切り替わりつつある2021年ですが、従来的な構造のスパイクの一つの到達点となるのがこのSigmaHarmonyといえるでしょう。
軽量性を重視して短い接地でガンガンピッチを回していくならナイキを、強い傾斜と硬いプレートにで思いっきりパワーをかけて走るならアディダスを、そしてパワーしっかりとかけつつも走り方を限定しないキャパシティの大きなスパイクを求めるのであればニューバランスを選ぶのが良いでしょう。
ニューバランスは奇抜な見た目とは裏腹に非常に扱いやすく、日本メーカーのスパイクと同じような懐の深さをもっており、トップ選手のような技術がなくてもスパイクの性能を引き出すことができると思います。
足幅こそ狭いものの、NBのスパイクは日本メーカーのスパイクと同じような扱いやすさと海外メーカー特有のパワフルな走り心地を持っています
扱いやすいスパイクがほしいけど日本メーカーだとしっくりこない選手や、大きな反発がほしいけどナイキ・アディダスだと足が合わないという選手にはぜひ一度NBを試してほしい!!
管理人はしばらくはSigmaHarmonyをメインスパイクとして使用していこうかと思っています。

 






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