【レビュー②】初心者ならこれ!アシックス エフォート13|実際に履いてメリットとデメリットを解説だ!!

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今回の記事は全2回にわたるレビュー記事の2回目です。
第1回目:エフォートが初心者におすすめな4つの理由
第2回目:(今ココ)エフォートを購入!実際に履いてレビュー!

1回目ではエフォートが初心者におすすめである4つの理由をご紹介しました。2回目の今回は、管理人がエフォートを購入して使用したレビューをご紹介していきます。

ってことで今回は
【レビュー②】アシックス『エフォート』のメリットとデメリットを実際に履いてご紹介!
をテーマにご紹介。
エフォートは初心者には間違いなくベストな1足ですが、しかし初心者以外には別のスパイクをおすすめしたいのも事実。

アシックスの『エフォート』は初心者向けのド定番モデルで、前回は4つの理由をあげて陸上chの見解としても初心者の最初の一足ならエフォートがベストという結論に至っています。初心者が店舗でおすすめを聞けばほぼ間違いなくこれが出てきますし、初心者であればエフォート以外を買う必要はないでしょう。
でも、中・上級者でエフォートを使っているひといないよね?

今回は、元7mジャンパーの管理人が実際にエフォート履いてみ感じた
エフォートが初心者にとって良い部分
エフォートが中・上級者にはダメな部分
を中心にご紹介して行きます!

 

 

エフォートはとにかく『足に優しい』スパイク

前回は4つの理由をあげて初心者におすすめな理由をご紹介しましたが、今回は実際に履いたレビューをご紹介します。

管理人が実際にエフォートを履いた感想は
性能を『足への優しさ』に全振りしたスパイクです。
これはエフォートの一番のメリットで、ケガをしたくないならエフォートを履いておけばいいと思います。足へのダメージがかなり少ないっていうのは初心者におすすめできる最大のポイントでもあります。
エフォートは速く走ことよりも『スパイクに慣れる』ことを重視したスパイクと言っていいでんじゃないかな?

ただ、走る性能は他のスパイクに劣るかな。エフォートはよく『シューズにピンを付けたようなスパイク』って表現されますが、なんならシューズの方が速く走れんじゃない?
実際、管理人がソーティマジックとエフォートで同じくらいの力感で走るとタイムは一緒でした。
グリップはピンが付いてるので当然エフォートの方が良いですが、シューズの軽さや踏んだ力が地面に伝わる感じはソーティの方が勝ってて、ソーティの方が足がよく回る。まあ、値段もソーティの方が高いですからね…
そんなわけで、エフォートは『初めてスパイクを履く選手でも安心して走れる!』っていうスパイクで、速く走るためのスパイクではないと思います。

プレート・ソール・アッパーがやわらかい!衝撃がマイルドだから足に優しい!


画像:エフォートはスパイクなのにシューズと同じくらい簡単に曲がる

まず、エフォートはシンプルに『柔らかい』から足に優しい!
プレートはグニャグニャで簡単に曲がる
ソールはゴム底と分厚いミッドソールでグニャグニャ
アッパーはスポンジ満載でグニャグニャ
こんな感じで、エフォートは全部の要素が『柔らかい』スパイクで、シューズと同じような履き心地なのでスパイク特有の足へのダメージはあんまりないです。

中級者向けでもプレートが柔らかいスパイクはあるのですが、エフォートはアッパーとソールもグニャグニャ!!
プレートはかなり屈曲性が高く、シューズと比べてもほぼ変わらないくらい簡単に曲がります。スパイク特有の負担が少ないだけでなく、全体にクッションが多いので地面からの衝撃や自分で蹴りだした時のダメージもマイルドに緩和してくれます。
特に、アウトソールがゴムなので接地時に力がかなり分散する印象。

『アーチラップ』は邪魔!?足のダメージは軽減されそうだけど…


画像:アーチラップはエフォートだけの新機構

エフォート『13』にモデルチェンジした際に採用されたのが『アーチラップ』という機構。


画像引用:アシックスHPより

ザックリ言えば、土踏まずを持ち上げてサポートする分厚いベルトなんですが…
土踏まずでどら焼きを踏んでる感じで邪魔です!!
ただのベルトじゃなくて、ベルトにクッションが付いてるのでどら焼きみたいな構造。普通に考えてこんなの邪魔でしょ!?しかも、靴紐と連動して締めあげる構造だからアッパーのフィット感も悪くなっちゃってます。

確かに、初心者や筋力が弱い選手は疲れてくると土踏まずが潰れて偏平足みたいになって、その状態だと衝撃が吸収できなくて骨や筋肉に負担がかかってケガをする可能性があります。アーチがサポートされれば足底筋膜炎とかシンスプリントみたいなケガを防止できる可能性はあるでしょうよ。

でもさぁ…管理人は言いたい…
足底が痛くなるくらいならスパイクを脱げ!!
スパイクをずっと履いてたらそりゃあ足は痛くなりますよ練習が始まってから終わるまでずっとスパイクを履いてるような使い方はNGです。
サッカーや野球は練習中ずっとスパイクを履いていますが、陸上はダッシュするとき以外は脱いだ方がいいです。少なくとも、アーチが潰れるほど疲れているならスパイクなんか履いちゃだめ!
初心者のうちからセット間レストではスパイクの紐を緩める癖をつけておいた方がいいですよ。

ちなみに、HL-0メッシュを使用している『メタスプリント』世代の上級者向けスパイクもこれと似たような『ダイナラップ』っていうのが付いています。もっと細くて薄いやつですが。
で、管理人としてはダイナラップも邪魔でしたが、アーチラップはダイナラップの100倍邪魔です。
そんなダイナラップの話はジェットスプリント2のレビューで出てきますのでご参考にどうぞ↓

 

反発が弱い!でも反発がいらない局面では走りやすい


反発が弱いとされる「Xレーザー」ですらも高反発に感じちゃう!!

並べてみると、エックスレーザーとエフォートのピン配置ってかなり似てますね。エックスレーザーはロングスプリント向けでかなり反発が控えめなスパイクなのですが、エフォートと履き比べちゃうと高反発に感じちゃいます。
っていうか、エフォートには反発がほとんどないです

エフォートは『兼用スパイク』で、反発のない土での使用が前提なので反発性能は必要ないっちゃないんですが、オールウェザーで使用するとエフォートは明らかな反発不足を感じます。
タータンメインであれば、最低でもエックスレーザーやSP/サイバーブレードくらいの反発は欲しいところですね。
エフォートはミッドソールはいわゆる高反発素材ではなくて普通のクッションなので潰しても反発は返ってこないし、プレートは反発のためっていうよりもピンの土台っていう感じで曲げたからと言って反発する感じではないです。
スパイクは反発が高いほどトップスピードが出しやすく、トップスピードはタイムと相関があります。そのため、『速く走る』ための道具であるスパイクにおいては反発の弱さは基本的には致命的なデメリットではあるのですが…
エフォートに関して言えば反発の弱さ=扱いやすさと解釈していいと思います。

スタート局面の走りやすさはメリット!

反発が弱いとトップスピードが出しずらいです。
ただ、エフォートは反発の弱さが扱いやすさにつながっていて、前傾が深いスタートや加速局面では地面を踏みやすい!!
反発が高い方が体が起き上った中間以降はスピードが出せます。しかし、反発を受けるにはそれなりの体躯や技術が必要で、初心者だと高反発スパイクを履いても反発の恩恵を受けることはできないでしょう。そのため、初心者なら反発は弱くていい。
また、スタート局面では接地時間が長くて地面を踏むのが難しいため、上級者でもスタートを重視して柔らかいスパイクを好む選手もいます。
管理人は跳躍専門なのでスパイクは硬ければ硬いほど嬉しいタイプなのでエフォートは全然物足りないですが、どれだけ反発を求めるかは好みの問題でしょう。

そんなわけで、『反発がない』っていうのは管理人としてはデメリットに感じるポイントではありますが、これが初心者にとってはメリットになる場合もあって、この『扱いやすさ』はエフォートならではの特徴です。
物足りないとみるか、扱いやすいとみるかはスパイクに対する好みやレベルによって人それぞれですかね。

 

 

反発を使って走るならエフォートじゃ『全然ダメ』!?
「専用スパイク」と比べるとエフォートはデメリットも目立つ

エフォートの足へのダメージの少なさはたぶん全スパイクの中で一番だと思います。だからこそ初心者に人気で、管理人も初心者にはまずはエフォートをおすすめします。
でも、一定以上のレベルになるとエフォートを履いている人は全くいませんよね。それはなぜか?
ここからは、エフォートのダメな部分を中心にご紹介していこうと思います。

管理人がエフォートを履いて思うのは…
エフォートは反発を使って走れる選手にとっては全然ダメだと思う!!
陸上のコツというか、素人と陸上経験者の大きな違いって『反発を使った動き』ができるかどうかですよね。
中・上級者になると「いかに反発を生かすか?」っていう動きになって、スパイクもそれに応じたスペックになってるのですが、エフォートだとそれができない。
兼用スパイクは反発のない土の上を走るための道具で、反発じゃなくてピンで引っ搔いて走る動きに最適化されてるんでしょう。
そんなわけで、『反発を使って走る』中・上級者にはエフォートじゃあ全然ダメだと思いますね。

『反発』は主にプレートの問題なのですが、アッパー、ソールについても足に優しいというメリットを上回るデメリットがあると思います。中級者になるある段階でエフォートを卒業するべきでしょう。

反発を使った動きに対応できない!幅跳びじゃあ全く役に立たないぞ!

反発がないからダメ!っていうのがエフォートの一番のダメなポイントだと思います。でもそんなことは、履かなくても想像すりゃあわかりますよね。ってことで、反発がないとどうダメなの?ってところをご紹介しましょう。

反発がないっていうか、正確に言えば
エフォートは反発を使う動きをしても反発が返ってこないからダメ!!
これでしょう。陸上的な動きに対してのレスポンスが悪いので、反発が使えるようになってきたレベルである『中級者』になると、もっとしっかりと反発が返ってくるスパイクを選ぶようになるんだと思います。
今やスパイクに限らずシューズであってもプレートや高反発材が使用されていて、正しく踏めばちゃんと反発が返ってきます。
当然、現代の理論では反発を使うほど速く走れるわけですが、エフォートはちゃんと踏んでも力が分散しちゃって反発として返ってこない!!
スパイクなので最低限の反発はあるんでしょうが、高反発スパイクに慣れた管理人からすると反発は『無』です。

具体的には
・プレートはそもそも反発しない!
・ソールは力を分散しちゃう!
・アッパーが力を吸収しちゃう!
こんな感じで、反発自体が弱いだけでなく、せっかく生み出した反発も体に伝えてくれずにスパイクのところで止まっちゃう感じ。

幅跳びに対応してるけど、実際には幅跳びじゃ使い物にはならない


跳躍スパイクとエフォートは見た目は似てるけど全くの別物だ!

エフォートはオールラウンドなので跳躍にも『対応』していますが、実際には全然だめです。
幅跳びでは反発が弱すぎて踏み切りの力にスパイクが負けちゃう!!
踏み切り板を踏むとプレートは曲がっちゃうし、アッパーはよじれるし、ソールは滑る。エフォートは剛性が低すぎて踏み切りの瞬間にかかる力を受け止めることができません。
お店で聞いたら「幅跳びでも使えますよ!」って言われると思いますが、正気か!?
ブレも大きすぎて足首を怪我しそうだから管理人は怖くて思いっきり跳びたくはないです。

6mくらいまでなら使えないことはないですが…
もし幅跳びを専門でやろうと思っているならエフォートなんか買わずにフィールドジオLJを買え!!

まだ幅跳び専門にすることを決めていなくて試しに幅跳びにも出るっていうならエフォートでいいと思うし、小学生のうちは記録なんてどうでもいい(!?)のでエフォートを使うのは全然良いと思います。でも、高校で幅跳びをやろうっていう人にエフォートを勧める奴はクソ。
もし、今とりあえずエフォートを使っていて6m跳べるなら、フィールドジオにしたら6m30くらいは跳べると思います。値段は2倍くらいしますが、スパイクとしての性能は100倍くらいですので幅跳びするならフィールドジオ買え!

とはいえスプリントでは反発の弱さ自体は問題ではない

反発が弱いからトップスピードが出しずらいのは間違いないのですが、幅跳びと違ってスプリントにおいては反発が弱いこと自体はそれほど問題ではないとは思います。
っというのも、前述の通り、反発は強すぎると扱いずらくて、反発が弱いなら弱いなりに良い面もあるから。エフォートの場合は中間以降はダメではあるけどスタートは結構出やすいスパイクだと思います。
初心者であれば中間以降でも別に反発不足を感じないだろうから、初心者がスプリントで使うのであれば反発の弱さは気にならないと思います。

とにかく問題はブレること!アッパーのフィット感は最低レベル


見た目にもボテっとしたアッパーは、つま先が硬くてメッシュが分厚くフィット感はかなり悪い

反発以外でのエフォートの欠点としては、ブレが大きい!!これをかなり感じました。
反発は弱い方が好きっていう選手もけっこういるのでエフォートでも十分だと思うのですが、ブレの大きさは誰が履いてもマイナスに感じるはず。
具体的には…
・アッパーのクッションが分厚すぎて踏み込みでズルっとする
・足首周りが緩すぎてスパイクがついてこない
この2点が気になるところ。
カーブではアッパーが動き過ぎるので全然パワーをかけることができないし、トップスピード付近ではアッパーが潰れちゃってスパイクの中で足がズレる感じがする。

フィット感は管理人の知るスパイクの中では最低レベルです!!
兼用スパイクなので耐久性を重視したアッパーなのは仕方がないのですが、硬すぎるのでフィット感はかなり悪いです。「木靴を履いているよう」と言うとちょっと言い過ぎですが、管理人がこれまで履いてきたスパイクの中ではワースト2のフィット感です。(最悪だったのは昔履いてた『ジオスパーク』のベルトのモデル。)

アーチラップのせいで足首周りが締まらない


このアーチラップにつながるループを靴紐が通るので足首が緩い!

特に気になるのは足首周りの緩さで、アーチラップが靴紐とつながっているせいで紐を締めても足首周りが全然ギュッとならない!!
普通は紐を締めつければアッパーがギュッとなるのですが、エフォートは紐を締めてもアーチラップが持ち上がるだけなので足首周りはかなり締まりが悪い。なんでこれでOKとされているのか疑問なくらい足首がダルな構造になっています。
また、初心者向けってことで筋力が弱くて柔らかい足を想定している感じで、ヒールカップはほかのアシックススパイクと比べても大きくてボテっとしています。
硬いアッパーに締まらないシューレースが組み合わさった結果、ダルくてレスポンスの悪い性格のスパイクになっていると思います。

プレートとソールが分厚すぎて接地感覚が悪い!


分厚いプレートは小石を踏んでも大丈夫だけど接地感覚は悪い

エフォートは兼用スパイクなので小石が突き上げても壊れないようにプレートが分厚くなっています。
また、画像を見てもらうとわかりますが、土ピンを付ける際にアタッチメントがつくようにピンの土台にゴツゴツした凹凸もついています。専用スパイクは土台はあるものの最低限の厚みでもっとシュっとしています(画像は固定ピンですが、取り換え式ピンでも同じです。)。
そんなわけで、エフォートはプレートの厚みがありすぎて地面が遠くて接地感覚が悪い!
小さな違いですが、実際に走ると接地感覚はかなり違います。

近年の『厚底』は物理的に地面が遠くて柔らかいので意外と地面を掴む感じがわかります。しかし、エフォートは地面と足の間に分厚くて邪魔なプラスチックが挟まっている感じ。専用スパイクと違って小石の混ざるグラウンドで使うことが想定されているのでこれはこれで良いのですが、タータンを走るうえではダメです。
ソーっと丁寧に接地しようとしても、ベタン!って感じの叩く接地になりがちで、どうしても足首の伸展が起こっちゃう。うまく走ろうと思うと先端を必要以上に意識して走ることになるので、いわゆる『末端操作』的な動きに陥りやすいです。

まとめ
エフォートは『足に優しい』けど走る性能は低い

前回と今回で2回にわたってエフォートのレビューをご紹介しました。
1回目は初心者にエフォートがおすすめな理由を、そして今回は実際に履いて感じたメリットとデメリットをご紹介。

エフォートの良いところは
・足に優しいくて安心して履ける
・柔らかいから扱いやすい
この2点です。同じスパイクではあるものの、専用スパイクとエフォートとでは求めているものが違う感じで、エフォートは「速く走る」ことよりも「スパイクに慣れる」ために履くような感じ。

一方のエフォートの悪いところは
・アーチラップが邪魔
・反発がなくてスピードが出ない
・ブレが大きすぎて幅跳びは無理
・アッパーのフィット感が最低レベル
・分厚いから接地感覚が悪い
こんな感じ。
体重75Kgで跳躍専門の管理人が履くと明らかに反発は足りないし、踏み込みに対してスパイクが全然耐えられません。サポート機能であるアーチラップも管理人からすれば邪魔でしかない。
ただ、メリットに対してデメリットが多くなるのは使用状況のせいもあって、土で初心者が使うのであればデメリットはないと思います。
前回も書きましたが、管理人が初心者におすすめするならエフォートです。

初心者におすすめなエフォートですが、10年以上ぶりにじっくり履くと中・上級者にはおすすめできないポイントもわりとハッキリとあるスパイクでした。何のためにエフォートを履くの?っていうのが『ケガ防止』や『スパイクを履くのがまだ不安だから』っていう理由であればエフォートを履くべき。でも、『速く走るため』であれば専用スパイクの方がいいです。
っていうかSP/サイバーブレードをおすすめします!

初心者であってもSPブレード・サイバーブレードであれば十分に扱いきれるはず。陸上chとしてエフォートの次の段階の選手におすすめなのはSP/サイバーブレードです!っていうお話はサイバーブレードのレビューで書いているのでそちらもどうぞ↓






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