三段跳びの基本とコツ①~ホップステップジャンプの基本編~

三段跳びの基本

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陸上というメジャー競技のなかにもハンマー投げや三段跳びといった競技人口の少ないマイナーな種目が紛れています。
サブ種目として取り組まれることの多いマイナー種目ですが、奥の深さはメジャー種目と変わらない。いや、それどころか、ややこしい動きが多いのでむしろ難しかったりします。
そんなマイナー種目のなかでも特に意味不明なのが三段跳び(正確には「び」を表記せずに『三段跳』だそうです)。

ってことで今回は
三段跳びの基本とコツ①~ホップステップジャンプの基本編~
についてご紹介。全2回に分けて①ホップステップジャンプの基本②腕振りの基本について紹介して行きます。

専門的な技術が必要な種目にもかかわらず、競技人口が極端に少ない三段跳びには専門のコーチなんてほぼいません。
見よう見まねで跳んでるけどなにが正解かわからない…なんて人も多いはず!!
そんなあなたももう大丈夫!!『幅跳び専門』を自称しながらも実は三段跳びの方が全国順位が上だった管理人が三段跳びの基本に付いてご紹介します。なぜ今まで三段跳びの記事をほとんど書いてこなかったのか、それはもう需要が少なそうだから。
今回の記事を見ておけば基本的な知識が身について14mくらいは跳べるようになるゾ!!

 

 

三段跳びの基本

三段跳びってどんな種目?

まずは三段跳びについて簡単に説明。

三段跳びをザックリ・幅跳びと同じピットと砂場を使う。
・踏み切り板から砂場まで13mが基本。
・大会によって11m板、9m板の場合もある。

・3歩で砂場まで届かなかった場合はファール。
・左左右(or右右左)で跳んだ3歩の距離を競う。
・1歩目をホップ、2歩目をステップ、3歩目をジャンプと呼ぶ。
・腕振りは『シングルアーム』と『ダブルアーム』の2種類がある。
・男子世界記録はジョナサン・エドワーズの18m29(1995年)。
・かつて日本が五輪三連覇(織田幹雄、南部忠平、田島直人)したことも。
・女子は東京五輪でロハスが15m67で26年ぶりに世界記録を更新した。

三段跳びについてこれだけ知っていれば予備知識は十分。

ホップ・ステップは同じ足

三段跳びの奇妙なところはホップとステップは同じ足で、ジャンプだけ逆足になるところ。由来は諸説あってよくわかりません。
たまにルールを知らずに試合に出て右左右みたいにバウンディングしてファールになる選手もいます。

三段跳びは『潰れる』恐怖と戦うチキンレース

ステップが三段跳びで最も難しいところと言えるでしょう。
っというのも、ホップで何も考えずに幅跳びのように大きく跳んでしまうと、ステップで膝が耐えきれずにいわゆる『潰れる』という現象が起こります。
『潰れる』っていうのは跳躍種目でよく使われる表現ですが、三段跳びでは比喩ではなく本当にガクっ膝が崩れて潰れます。簡単に表現すると『ヒザかっくん』です。どうがんばっても絶対に耐えられません。
想像してみてください。助走で思いっきりスピードを出してホップで大きく跳んだ状態から突然ヒザかっくんされることを。
潰れるのはめちゃくちゃ怖い!!
潰れるのは恐怖でしかありません。場合によっては怪我もします。一度潰れる経験をしてしまうと、次からは潰れるのが怖くて思い切った跳躍が出来なくなることもあるでしょう。
陸上で怖い瞬間といえば①棒高跳びでポールが折れる②ハードルが引っ掛かる、そして③三段跳びで潰れるの3つです(陸上ch調べ)。あとは三段跳びで砂場に届かない恐怖っていうのありますので実質三段跳びが一番怖い種目です。
三段跳びはいかにして潰れないギリギリのスピードと高さで跳ぶかというチキンレースでもあるのです。

 

 

 

14m跳ぶための三段跳びのコツ

『タメ』をとにかく練習しまくろう!!


画像:https://worldathletics.org/
写真はクレイ選手のジャンプ前のタメの瞬間です。三段跳びの写真でよく見るポーズ。
三段跳びの最初のポイントは『タメ』です。これができなきゃはじまらない!!
三段跳びのホップとステップは同じ足で跳ぶため、ホップの後に空中で足を入れ変える『シザース』という動作があります
このシザースが三段跳びの最初の難しいポイントなのですが、入れ替えた足をそのままおろしてしまうとホップとステップの間が短くなってしまい、跳ぶというよりもバタバタ走っている感じになります。そのため、ステップの接地の前にちょっとだけ空中で『タメ』をつくります。この『タメ』によって滞空時間が伸びて良いジャンプになるのです。
『ステップのタメ』っていうのはホップの後にグイっと足を前に持ってきてステップに備える局面で、三段をやるなら絶対に身に付ける必要がある技術です。
また、ステップからジャンプの間でも空中でグーっと我慢をしてタメてからジャンプの踏み切りに入ります。
幅跳びが専門の選手には三段跳びが出来る人と出来ない人がいるのですが、その差はこの『タメ』が作れるかどうかです。たぶん。
空中では前方回転力が働くためどうしても手足をバタバタ動かしたくなるのですが、三段跳びではホップとステップの間のごく短時間でステップの準備体勢を作る必要がありとっても忙しい。
でもこれができるとホップだけでなくステップの距離が飛躍的に伸びます。ジャンプの前のタメはシザースがないのでちょっとだけ時間の余裕があるからマズはジャンプのタメで空中で止まる感覚を練習しましょう。

ステップの準備をすればステップがうまくなる

ステップのタメを作ると何が良いのかというと、ステップがちゃんと使えるようになります。
細かいことは後述するとして、タメを作ることでステップの準備ができ、真上から踏めてブレーキが抑えられたり上半身とのタイミングがとれたりバランスを崩しにくくなったりします。
そんなことで、タメるとステップの距離が伸びて記録も伸びます。
ホップとジャンプは気合と脚力でごまかせるのですが、ステップは技術がなければどうにも対応できません。タメを作ることは三段跳びのコツです。

跳べる選手はステップでグーンと伸びる!!

タメを作るのがうまい選手の跳躍は『ステップでグーンと伸びる跳躍』に見えます。
実際にはステップで加速できる人はいないのですが、ブレーキが少ないと目が錯覚して視覚的には加速して伸びるようにすら見えます。
また、三段跳びではたまたまうまくいってメチャクチャ良い記録が出ることがたまにあるのですが、この時の感覚もステップで体が投げ出されるような感じです。
とにかく、ステップを極めるものは三段跳びを極めるぞ!!

 

 

イーブンジャンプを心がけよう


専門でやっている人以外はまず知らない三段跳びのコツがこの『イーブンジャンプ』
ホップ・ステップ・ジャンプの配分は同じくらいの割合が理想とされています。
で、同じ割合で跳ぶことを『イーブンジャンプ』言います。三段跳びをするならなにはなくともまずはイーブンジャンプが出来るように頑張りましょう。
普通の感覚で跳ぶと
ホップで大きく跳んでステップが短くなってジャンプでまた大きく跳ぶ
という跳躍にながちで、これではステップが潰れた跳躍になってしまい割合的には40%・20%・40%みたいな感じになります。それでも脚力があればある程度は跳べると思いますが、これじゃあ素人。
心がけるのはイーブンジャンプで、感覚としては…
ホップは軽く、ステップで伸びてジャンプは頑張る
って言う感じ。このイメージで跳ぶと結果的にイーブンに近くなります。ジャンプは残った力を振り絞ればいいのですが、とにかくホップとステップをうまく繋いでいくことが三段跳びの肝になります。

35%・30%・35%で跳ぶのが理想

イーブンジャンプを具体的にいうと、ホップ・ステップ・ジャンプを35%・30%・35%で振り分けるのが三段跳びの理想です。
厳密に測るのはあんまり意味がないのでだいたい3等分できていればオッケー。
14mを目指すならそれぞれの跳躍が4m50くらいの距離になりますので、マーカーを4m50くらいの間隔で置いてホップ・ステップの練習をするのがおすすめです。ステップでも4m50が維持できればジャンプはたぶんもっと跳べるので14mに手が届くはず。
実際の練習では少し抑えて跳ぶので、3m間隔で50m分くらいマーカーを置いてピョンピョンやっていればイーブンのイメージが身に付くと思います。
ちなみに、世界記録(18m29)のときのエドワーズの跳躍は6m05・5m22・7m02で、割合に変換すると33%・29%・38%という理想的なバランスです。っていうか、この跳躍が『理想の跳躍』になっています。

 

 

接地はローリングして転がる感じで抜けていく


陸上にはいろんな接地感覚があってそれを表す表現もいろいろありますが、三段跳びの接地で意識するのは『ローリング』『転がって抜ける』感じだと思われます。
特にステップではブレーキを抑えつつも飛距離を出したいため、いかにして力を跳躍力に変えるかが重要。そこで出て来る意識が「ローリング」とか「転がる」という感覚です。ホップでも上に跳ばずに前に跳ぶためにはローリングの意識が重要。

ローリングの意識でブレーキロスが減らせる!?

かかとあるいはくるぶし下で接地してつま先にかけて重心が移動して行くことを『ローリング』と言います。
外国のおじいちゃんが暖炉の前で座っているユラユラするあのイス(ロッカーチェアー)をイメージするとわかりやすい。
いわゆる『ロッカー構造』をしたシューズでは、ソールがカーブした構造になっていてローリング動作を助けてくれるようになっています。三段跳びのスパイクもつま先がカーブして持ち上がっているものが多いのは、このローリングのためです。
このローリングですが、三段跳びでは接地の衝撃をうまくいなして前向きの力に変換するために意識されます。
通常のスプリントの接地は『真下にグっと一瞬だけ踏み込む感覚』が多いのですが、ローリングだと『足の裏全体を使って力を順番に移動させていく感覚』になります。
この意識をもつことによって、接地の衝撃を減らしてブレーキを抑えて力をうまく跳躍方向に使うことができます。また、膝は勝手に伸びているはず。
見た目にはスムーズで優しい接地になり、力強さとなめらかさが両立するはず。ガツンではなくグリンっという接地。

 

 

スピードを維持することが記録に繋がる!!

三段跳びの最も重要な要素はなにか?っといえば、『スピードの維持』です。
ここでいうスピードっていうのは、ホップしてから着地するまでのスピードの維持のこと。助走を速く走るっていうことではなく、助走のスピードをジャンプまで維持するという意味です。
考えればわかると思いますが、前に跳ぶ競技ではスピードはあればある程有利で、ブレーキが3回もある三段跳びにおいては1歩1歩のブレーキロスが大きいことは致命的
これは逆に、ブレーキロスを減らしてスピードを維持することが出来れば飛躍的に記録が伸びるチャンスがあるとも言えます。そのため、出来るだけ助走のスピードを維持したままジャンプまでもっていきたい!!
いかにして助走のスピードをジャンプまで保つかというのが三段跳びのポイントで、スピードさえ維持できれば記録もおのずとついてきます。
ちなみに、行き着くと結局は助走のスピードも大事です。男子世界記録保持者のエドワーズは10秒48(イギリス歴代228位)、世界歴代2位のテイラーは10秒58という100m公認記録を持っています。ちなみにテイラーは400mでも45秒07の世界歴代366位で走っています。

上下動の少ないスムーズな跳躍をしよう

跳躍種目は高く跳べればそれだけ記録も出るのが普通です。しかし、三段跳びだけは別。ホップ・ステップではできるだけ低く跳んだほうがスピードを維持できるのでいい記録が出ます。頑張るのは最後のジャンプだけ。
動きのイメージとしては100mなどのスプリントのように頭をできるだけ上下に動かさない感じで跳躍ができるといいでしょう。上下の力を前向きの推進力に変えるイメージで、実際には1歩で4m以上飛ぶので上下動はあるのですがスーっと流れるように見える跳躍ができればロスなく跳べているといえます。
『ガンガンガツーン』っていう跳躍だと脚力に頼っているので、脚力ではなく反発を使って跳ぶように心掛けて『トントンターン』っていう感じで軽く接地すると良いです。
ぜひ一度、自分の跳躍を横から動画で撮ってみましょう。自分の跳躍を客観的にみてみると、主観で動かしているのとぜんぜん違う動きをしているのがわかるはず。

 

 

ホップ・ステップ・ジャンプのコツ

ホップの角度は超低く!!20度以下で跳びだそう

幅跳びの踏み切りは25度くらいで跳び出すのが良いとされています。
三段跳びの跳び出し角度の理想は15~20度くらいとされていて幅跳びより低い。よく水切り(石を投げて水の上をバウンドするアレ)に例えられ、これはつまり『ホップで跳びすぎない方が良い』ということを意味します。
三段跳びはその特性上、ステップ・ジャンプでも大きなブレーキがかかるため、いかに助走のスピードを殺さずに最初のホップをするかが非常に重要。ホップで角度を付けてしまうと確かに1歩目の距離はでるのですが、ステップで大きなブレーキがかかり結果的にジャンプも小さくなり3歩トータルの距離でみると伸びません。
踏み切りで意識するべきは『とにかく超低く出てスピードをロスしない』ことです。とはいえ、最初のうちは限界まで低く跳び出しても15度より高くなってしまうと思います。
ただし、ホップで低く出たがためにスピードが出過ぎているとステップで耐えきれずに潰れてしまいます。そこのバランスもとらないといけないのでこれがまた難しい。

ホップは踏み切り板を触るだけ!

前述のとおり、ホップではできるだけ低く飛び出すのが理想。
しかし、踏み切り板を踏むと高く跳ぼうと思っていなくても自然と高く跳び出してしまいます
そのため、ホップではできるだけ跳ばないようにあえて低く抑え込むイメージが必要です。
感覚として、ホップは『跳ぶ』ではなく『踏み切り板を触るだけ』で十分。最初のうちはそれでも高く跳びすぎるくらいだと思います。
踏み切りは助走の延長で踏み切り板を軽くチョンっと触るだけにして、早めにステップのタメを意識しましょう。

 

 

ステップの接地では膝を思いっきり伸ばせ!!


『踏み切り足の膝は曲げない!!』
これは幅跳びや高跳びの踏み切りにも共通している跳躍種目の基本です。膝を伸ばすことで助走の力を跳躍力に変えることができ、膝が曲がると力をクッションしてしまうので潰れた跳躍になります。
簡単に言えば、膝を曲げると筋力で跳ぶことになり、膝を伸ばせば反発で跳べます
これは跳躍の基本にもかかわらず、これが出来ない人は非常に多い。跳躍をやるなら余計なことを考える前にまずは膝を伸ばして踏み切れるようになりましょう。とりあえずこれだけできればどの跳躍種目でもそれなりの記録が出せます。三段跳びも例外ではありません。
三段跳びは特に潰れやすい種目のため、この『膝を伸ばす』ができているかどうかは記録に大きく影響します。
ただし、三段跳びは3回ジャンプしなくてはいけないという点が幅跳びや高跳びと決定的に違います。幅・高だと膝を思いっきり伸ばして踏み切ればそれだけで記録が出るのですが、三段跳びの場合は前述のようにホップは極力低く出る必要があるのです。
そのため、ホップはランニングの延長で軽く踏み切り、本格的に膝を伸ばすのはステップから!!最初はそのくらいの意識の方が良いと思います。
ステップでは膝が少しでも曲がっていると簡単に潰れてしまうので、特にステップでは他の種目よりも膝を伸ばすことの重要性が高いと覚えておきましょう
もし、ステップで潰れてしまうと悩んでいるのであれば、いちど思い切って膝を伸ばしてステップの接地をしてみましょう。多分ポーンと弾むはず。

ステップの接地は思っているよりも1足分くらい先にしよう!!

膝を伸ばしてステップの接地をすることは三段跳びで潰れないための絶対に必要な技術です。
しかし、『膝を伸ばす』ていうのは意識してやると結構むずかしい。でもそんなあなたももう大丈夫。
簡単に膝を伸ばせるようになる方法がありまぁす!!
それは、『ステップの接地は自分が思っているより足1つ分だけ向こう着く』というもの。つまり、接地する瞬間に意識的に接地場所を30cmくらい先に変えるのです。
具体的には、接地直前にかかとをグイっと前に出して接地します。これだけで勝手に膝が伸びて潰れないステップができるようになります。
これ、管理人が高校時代に調子に乗って出た大学の試合で強豪大学の監督に教えてもらったこと。一瞬で記録が50cmくらい伸びて目から鱗でした。

 

 

ジャンプはがんばって高く跳べ!!

ホップ・ステップはできるだけ低く跳びます。しかし、ジャンプだけは思い切って高く跳びましょう!!
そもそもホップステップはスピードを維持する為にブレーキをかけないようにした結果の低い跳躍です。最後のジャンプでは今あるスピードを全て跳躍力に変換するためにとにかく高く跳びましょう。
考えるところはあると思いますが、物理的には出来るだけ高く跳んだほうが飛距離が出ますので、ジャンプではブレーキロスを気にするよりも出来る限り高さを求めて跳んだほうが有利です。っというか、ジャンプは逆足になるので高く跳ぼうと意識しないとちゃんと跳べません。

着地は余裕があるから落ち付いて

幅跳びと違って三段跳びの着地には余裕があります。それはスピードが落ちているので前方回転力が小さいから。
つまり、三段の着地は空中動作をしなくていいから余裕があります
世界レベルになれば最後の1歩で7m近いジャンプをするのですが、部活レベルならせいぜい5m。
かがみ跳びで十分対応できるので、着地は落ち付いてゆったりと有利な姿勢をとるように意識しましょう。

 

 

今回はここまで!次回はアームアクション特集だ!!

さあ、ここまで三段跳びの基本と言うことで跳び方や意識について紹介して行きました。
単純な種目が多い陸上において最も謎な動きをする三段跳び。専門的な技術が必要なので初心者と上級者の差は他の種目と比べても明らかに大きい種目です。
にもかかわらず、競技人口が少ないことから指導者も少なく、専門のコーチなんて強豪大学にしかいません。
ってことは、ちょっと知識を付ければ他の選手より跳べるようになって勝てる可能性が高い穴場の種目と言えるのです。この記事を見ておけばそれだけで13mくらいは跳べるはず。14mも手が届く!?
つまりはステップが重要なので、三段跳びではホップとステップをうまく繋げることが肝で、スピードを維持したままジャンプまで行ければ勝ちは目の前。

しかし、まだ重要なアレが残っています。そう、アームアクションです!!腕振りのこと。
次回は、三段跳びの奇妙なアームアクションについてご紹介!!

 






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