【東京五輪】日本代表選手選考要項 が発表。2020年日本選手権が重要な選考会になる

代表選考の基準

Twitterもありまぁす↓

2020年7月 31日~8月9日の日程で開催される東京五輪。その代表選手の選考要項が発表されました。

代表条件を端的に言えば
①標準突破+世陸3位以内
②標準突破+日本選手権3位以内
③ワールドランクで有資格+日本選手権3位以内
④標準突破の上位者
⑤ワールドランクで有資格の上位者
この上から優先度が高くなっています。実に分かりにくい。

今回は、この東京五輪代表の選考についてご紹介します。

 

 

東京五輪代表選考の基準

まず、五輪代表には2つの基本的な選考基準があります。
1つ目は『標準記録』、2つ目は『ワールドランキング』です。
この2つを知らないと選考も意味不明なので、そこからご紹介します。

標準記録とワールドランキングによる選考

従来から陸上競技の代表選考には『標準記録』というものが用いられています。
これは世界大会に限らず、東京選手権などの大きな大会でも使われるシステムで、予選会を勝ち上がるのではなく、標準記録を突破した選手に大会出場の権利が与えられるというものです。
例えば、東京選手権の男子100mでは11秒00以内のタイムを持っていないとエントリーすらできません。
東京五輪の男子100mでは10秒05が参加標準記録です。
この標準記録には期間が設定されていて、2019年5月1日~2020年6月29日が記録の有効期間です。この間に出した記録のみが標準記録突破に有効となります。

いままでの世界大会はこの『標準』による選考だけだったのですが、今回からは『ワールドランキング』という精度も導入されます。これは、期間内に標準を突破できなかった有力選手がエントリーできるように考えられたものです。
極端な例でいえば、ダイヤモンドリーグで全戦優勝しているけど天候等の要因で期間内に標準を突破できなかった選手が代表漏れしないようにしたシステム
ランキングは記録と大会のグレードによって付さるポイントによって決まりますので、小さい大会で出した良い記録よりも大きい大会で出したそこそこの記録の方が上位に来る場合もあります。

普通に考えれば有力選手は標準突破出来そうなものなのですが、標準による選考だと1発選考になってしまいがち。今回の山縣選手のように日本選手権を欠場してしまった場合には代表落ちしてしまいます。
1発選考ではなくシーズンを通して大きい大会で良い記録を出した選手を優遇するというのがこのワールドランキング制です。

また、標準の有効期限終了間際に突然多くの選手が標準を突破する怪しい大会での記録を無効にしようという意図もあります。

国際陸連は標準を廃止してランキング制を取り入れようとしていますが、東京五輪は過渡期にあたるため、標準とランキング制が併用されるというちょっと特殊な選考になっているのです。

東京五輪の標準記録

東京五輪の標準はすでに発表されています。

男子標準 種目 女子標準
10.05 100m 11.15
20.24 200m 22.80
44.9 400m 51.35
1:45.20  800m 1:59.50
3:35.00 1500m 4:04.20
13:13.50 5000m 15:10.00
27:28.00  10000m 31:25.00
13.32 110mH  
  100mH 12.84
48.90  400mH 55.40
8:22.00 3000mSC 9:30.00
2.33 走高跳 1.96
5.80 棒高跳 4.70
8.22  走幅跳  6.82
17.14 三段跳 14.32
21.10  砲丸投 18.50
66.00 円盤投 63.50
77.50 ハンマー投 72.50
85.00  やり投 64.00
8350 混成 6420

代表条件をわかりやすくご紹介

代表条件は非常にややこしいです。
標準を切っていればわかりやすいのですが、今回は標準を切っていなくてもランキングで出場の可能性があります。

陸連発表の選考基準は以下です

7.選考基準
下記の各条件中の競技成績については、当該種目に係る成績のみ考慮する。下記の数字の若い順に優
先する。
(1)個人種目
1)ドーハ 2019 世界陸上競技選手権大会(以下、「ドーハ世界選手権」)個人種目において、3 位入賞以上の成績を収めた日本人最上位の競技者であって第 104 回日本陸上競技選手権大会(以下「日本選手権」)終了時点までに、参加標準記録を満たした競技者。
2)日本選手権 3 位入賞以上の成績を収めた競技者であって、日本選手権終了時点までに参加標準記録を満たした競技者。ただし、下記の項目(数字の若い順に優先)により優先順位を定める。
①日本選手権の順位
②ワールドランク(2020 年 7 月 1 日 IAAF 公表)
③2020 日本グランプリシリーズプレミア(東京、兵庫、広島、静岡)の順位
④ゴールデングランプリ陸上 2020 の順位
⑤参加標準記録有効期間内の記録
3)日本選手権 3 位入賞以上の成績を収めた競技者であって、ワールドランクにより出場資格を得た競技者。ただし、下記の項目(数字の若い順に優先)により優先順位を定める。
①日本選手権の順位
②ワールドランク(2020 年 7 月 1 日 IAAF 公表)
③2020 日本グランプリシリーズプレミア(東京、兵庫、広島、静岡)の順位
④ゴールデングランプリ陸上 2020 の順位
⑤参加標準記録有効期間内の記録
4)参加標準記録を満たした競技者。ただし、下記の項目(数字の若い順に優先)により優先順位を定める。
①ワールドランク(2020 年 7 月 1 日 IAAF 公表)
②日本選手権の順位
a.ラウンド進出上位
b.同じラウンド内で比較する場合は記録上位
③2020 日本グランプリシリーズプレミア(東京、兵庫、広島、静岡)の順位
④ゴールデングランプリ陸上 2020 の順位
⑤参加標準記録有効期間内の記録
5)ワールドランクにより出場資格を得た競技者。ただし、下記の項目(数字の若い順に優先)により優先順位を定める。
①ワールドランク(2020 年 7 月 1 日 IAAF 公表)
②日本選手権の順位
a.ラウンド進出上位
b.同じラウンド内で比較する場合は記録上位
③2020 日本グランプリシリーズプレミア(東京、兵庫、広島、静岡)の順位
④ゴールデングランプリ陸上 2020 の順位
⑤参加標準記録有効期間内の記録
6)ファイナルエントリー後に IAAF から追加による出場資格が認められた競技者。

出典:https://www.jaaf.or.jp/files/upload/201907/01_171958.pdf

意味分かります?
順番に分かりやすく書き換えてご紹介します。

代表になるための5パターン

(1)標準突破+ドーハメダル
世陸ドーハで3位以内に入っていれば標準を突破した時点で即内定。

(2)標準突破+日本選手権3位以内
標準を突破していて日本選手権3位以内なら内定。

(3)ワールドランキングで有資格+日本選手権3位以内
日本選手権3位以内だけど標準を突破していない選手はワールドランキングで参加資格を得られれば選考。

(4)標準突破だけど日本選手権4位以下
標準を突破しているのに日本選手権で3位に入れなかった場合はランキングや記録で選考。

(5)ワールドランキングで有資格だけど標準未突破で日本選手権4位以下
標準突破していないし日本選手権も4位以下だけどワールドランキングによる参加資格を得られを得られている選手ならランキングや記録で選考。

多くは日本選手権終了時点とランキング確定時点で内定

陸連は日本選手権終了時点での内定を想定しています。例外として、世陸ドーハでメダルを採った場合には先立って内定が出ます。
2020年の日本選手権は6月25日(木)~28日(日)を予定しており、7月1日にIAAFからワールドランキングによる有資格者が発表されて確定します。

つまり、日本選手権上位入賞での内定が最も多く考えられます。
形式上は1発選考ではないものの、日本選手権が事実上の1発選考会となる。

 

代表争いを楽しむ

選手にとってはややこしい選考基準ですが、我々は代表争いにはからみませんので、遠目に観て楽しむ立場です。
1年の間おこなわれる選考レースの楽しみ方をご紹介します。

選考レースのみどころ

10000mと混成競技は2019年1月1日~2020年6月29日
その他の種目:2019年5月1日~2020年6月29日
これが記録の有効期限です。つまり、選考レースすでに始まっているのです。

やっぱり日本選手権が最大の山場

記録の有効期限ギリギリの6月25~28日で開催予定の日本選手権
ワールドランキング制が導入されるとはいえ、やっぱりこの大会が最大の山場になります
日本選手権では2パターンの代表争いがあります。
①標準を突破していれば3位以内
②ワールドランキング上位であれば3位以内

①は順位確定時点で代表内定です。基本的には全ての選手がこれを狙います。
②は7/1にランキングが発表された時点で代表内定です。標準は難しいけどランキング上位が狙えるという選手は3位以内を狙います。

ラベリングの高い試合が面白くなる?

ワールドランキングでは、記録や順位や試合の格によってポイントが決まります。
詳しいことは難しいので省略(そのうち別記事でまとめるかも)。
試合の格が高い試合で結果を残すと多くのポイントが獲得できます。戸邊選手のように海外転戦をする選手はポイントを獲得出来るチャンスも増えます。
っていうか、そういう選手を増やす為の施策です。
こうなると、全世界の選手が同じことを考えるので、ダイヤモンドリーグなどはより一層ハイレベルなものになるため、ポイント稼ぎには海外転戦が良いとは一概には言えなくなります。

そこで、日本で開催されるラベリングの高い大会が面白くなるかもしれないのです。

たとえばゴールデングランプリは『A』にラベリングされた大会です。
これは世界室内ツアーと同じ格付けで、普通に開催される大会では最上級の格になります。
レベルの割に格が高いということは、海外選手も狙ってくるはず。今年のノーマンのように、来年のゴールデングランプリでは多くの海外有力選手が観られるかも?

海外で活躍する選手が増える?

試合の格とからんで国内の試合よりも海外の試合を狙う日本人選手もいるかもしれません。だからどうということはありませんが、海外で日本人選手が活躍しているとなんだか嬉しいもの。






Twitterで更新をお知らせしています↓