アシックスのピンなしスパイクが世界陸上デビュー!!
アシックスのピンなしスパイクといえば2018年にそのプロトタイプが発表され、一部で話題になっていました。
次世代スパイクとして開発されているこのピンなしスパイクは、その名の通りピンを持たずに突起でグリップするという新しいコンセプトのスパイク(スパイクがついていないのでスパイクと言っていいのかはわかりませんが、便宜上スパイクとします)。
アシックスのピンなしスパイクとは?
スパイクというのは陸上に限らず地面にピンが刺さることでグリップを得るシューズです。陸上の場合はピンには針が使われていて、ゴムのトラックにピンが刺さることで強烈なグリップを発生しています。
普通のスパイクにはピンがある
従来型の桐生選手のスパイクはいわゆるフラット走法向けで、スパイクの傾斜が緩くピンが走りを邪魔しないような配置と本数になっているのが特徴です。
一般的なスパイクがこちら
がっつりピンがあります。緑のスパイクは9本ピン。
市販されているスパイクのほとんどは8本ピンか7本ピンで、短距離向けであればあるほどピンが多く、ピンが少ないモデルはロングスプリント向けの傾向があります。
アディダスは6本ピン
アディダスは短距離向けでもピンが少ないという特徴があります。8本ピンとかに慣れている普通の人には6本でもかなり不安になる本数です。
世界大会でアディダスを履いている選手はこの6本ピン配置のスパイクを履いています。
ナイキの場合は7本ピンか8本ピン。
ピンなしスパイクにはピンがない!!
ピンなしスパイクという矛盾。スパイクの付いていないスパイクはスパイクとよべるのだろうか。
そんなピンのないスパイクを作ってしまったアシックス。プロトタイプが発表され、一部でちょっとだけ話題になりました。プロトタイプが発表されたときはまだこれを実践で使うなんて思っていませんでした。
そのプロトタイプがこちら
引用:アシックスプレスリリース
正直、これでグリップするとは思えません。これ履いて走れと言われたら絶対にいやです。
しかし、工学的にはこれでいけるらしい。このモデルのコンセプトとしてはこんな感じ…
本モデルは、地面を「点」でとらえるピンスパイクと異なり、接地面を増やして「線」でとらえるようにすることで、より効率的に高い推進力を得ることが期待できます。
また、スパイクピンを搭載しないため、軽さを追求でき、靴底の適所を硬くするなど設計の自由度が広がります。
引用:アシックスプレスリリース
たしかに、ピンだと『点』で刺さるのでグリップ力がある一方で、接地感覚が良くないというのはあるかもしれない。それを嫌って最近は短いピンや少ないピンでロスを減らす方向のスパイクが増えている。
一方で、既存の短距離スパイクのほとんどが後列に3本か4本ピンを配置しており、ロスをなくすことよりも強烈なグリップを得ることを重視しているのも事実。
ピンなしスパイクが実戦デビュー!!
2019年シーズン、桐生選手が実戦でピンなしスパイクを使用して話題になりました。
8月17日、幅跳びで日本記録が大幅更新されたあの大会で桐生選手がピンなしスパイクを履いてレースに出場。夏ごろから練習で試していたそうで、この実践デビューでは10秒05という記録をマークしました。
従来のスパイクと同等のパフォーマンスを発揮できると証明したデビューと言えるでしょう。
その後、桐生選手は欧州転戦でもピンなしスパイクを使用。実践での手ごたえをつかんだのでしょう。
ピンなしスパイクが世界陸上デビュー!!
よっぽど感触が良かったんでしょうか。
アシックスは世界陸上に向けて開発を進め、ついに“次世代スプリントシューズ”を発表したのです。
それがこちら
引用:アシックスプレスリリース
なんだか肝心なところがぼかされてて全然よく分からないんですが…
とにかくアシックスは実践に耐えうるだけの製品に仕上げて桐生選手に提供したのです。
桐生選手が世陸で着用
桐生選手、なんと大事な大事な世陸100mという舞台でこの次世代スプリントシューズを着用してレースに臨んだのです。
100mではスパイクに匹敵するパフォーマンス
決勝進出こそできなかったものの、予選で10秒18、準決勝で10秒16という結果を出し、従来のスパイクに引けを取らない結果となりました。
リレーでも使った?
まだアシックスがこのシューズについて細かく発表していないからなのか、いまいち情報が出てこない感じがします。
個人的にはそんなに新しいものつくったんならもっと積極的に表に出していけばいいのにと思うのですが…
直線ならグリップ出来そうなピンなしスパイクですが、4継の3走を勤め、世界トップクラスのコーナーリングをみせた桐生選手のシューズはピンがあったのか、なかったのか。
ピンなしでコーナーを走れるとしたら革命です。
ウォルシュ・ジュリアン選手も着用!!
これほど実験的なものを世界選手権という大舞台で履いた選手は桐生選手だけじゃなかったのです!!
400mに個人で出場し、マイルリレーでも1走を勤めたウォルシュ・ジュリアン選手もこのピンなしスパイクを着用して世界陸上に出場しました。
ウォルシュ選手はPB連発!!
ウォルシュ選手もピンなしスパイクでレースに臨んでいたようです。
予選で45秒14、準決勝で45秒13をマークして連続でPBを更新しまし、ピンがない方が速い可能性を示唆しました。
ピンなしスパイクは市販されるのか?
結局これですが、たぶん市販はされるでしょう。
ただ、普通の人が普通に買えるようになるとは思えません。それなりの使い方をしないと滑って怪我をする可能性があるので、それほどのリスクをメーカーが取るとは思えないからです。
トップ選手への提供にとどまると思いますが、ごく少数の限定販売がされるかも。
アシックスはユージーン大会もスポンサー
ここのところ厳しい感じになっていたアシックスですが、ドーハ大会からユージーン大会まで、世界陸上のスポンサーとなることが決まっています。
スタッフのウエアの提供など、大きくアシックスが宣伝される舞台となります。今大会で実験的にデビューしたピンなしスパイクが勢力を伸ばすとすれば2年後のユージーン大会。
ここでアメリカのトップ選手がピンなしスパイクを履くようなことがあれば、アシックスの地位は一気にあがるでしょう。
さすがに男子短距離はきびしそうなので、NBを履いていた女子400mHのマクローフリンあたりと契約するといいんじゃないでしょうかね。
ってことで、ついに実戦デビューしたピンなしスパイク。
これから先、このシューズが製品となるのか、それともいつの間にか忘れされれてしまうのか。
2年後にはその答えが出ているかもしれません。
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