【初心者】移行期はなにをする?10~11月の移行期の過ごし方
陸上にはシーズンがあります。
4~9月を試合期と呼び、陸上ではこの期間にしか試合がないためオフシーズンは退屈な時間を過ごします。新人戦が10月にあったり春季大会が3月にあったりするので厳密なものではありませんが、遅くても10月がシーズン最終戦になると思います。
そして、シーズンからオフシーズンへ切り替わる最初の1カ月(10~11月くらい)のことを『移行期』と呼び、この期間は休養をとって1シーズンで疲れた体をリフレッシュすると同時に冬季練習に向けた準備をする期間とされています。
1カ月もの間、走り込むわけでもなくスピード練習をするわけでもない期間があるのでイマイチ何をすればいいのか分からない…
ってことで今回は
【陸上の基本】移行期はどうやって過ごせばいい?
をテーマにご紹介!!
強豪校なんかでは伝統的に移行期でやることが決まっていたりしますが、多くの場合は何をすればいいのかよくわからなくてダラダラ過ごしてしまいがちな移行期。ここでうまい事やっておくと冬季練習も順調にいくはずです。
移行期の練習パターン
今回のテーマである『移行期』は、シーズンが終わってから冬季練習を始めるまでのはざまの時期のことをいいます。
前提として、移行期には『シーズンで溜まった疲労を抜く』という役目があります。簡単に言えば、休養を取ることで心身をリフレッシュする時期のことを移行期と呼びます。
陸上はプライオ系の競技で、つまり反発を使う競技のため、体への衝撃が疲労として蓄積します。この疲労はあまり体感できないもので、知らず知らずのうちに関節や腱にダメージが貯まってしまい、怪我につながるのです。自分では疲れていないと思っていても実は疲れているものなんです。そういうものなんです!
移行期を設けずに冬季練習に移ってしまうと、疲労が原因でなんとなくだるくて思うような練習が積めなかったり、疲労によって春先の怪我に繋がる可能性もあります。そのため、陸上ではシーズン終わりに移行期を設けることで1年の疲れ一度リセットします。
では、移行期にはなにをすればいいのか?っというと、それぞれの選手によってシーズンの過ごし方が違うため、移行期もレベルや環境に合わせた過ごし方を考える必要があります。
ってことで、ここからは移行期の練習パターンをいくつかご紹介しますので、移行期では自分の状態を鑑みていろんな過ごし方があるということを知っておきましょう!!
①【初級】内容を変えずに練習を継続する
まずは、移行期を意識せずに練習を変えないパターンです。
最後の試合が終わったあとも、週末の競技場練習ではいつも通りにスパイクを履いてスピード練習をするようなパターン。
競技レベルで考えると初級的な移行期の過ごし方ではあるものの、陸上を始めて間もない『質より量』の段階では疲労の蓄積もないのでこの過ごし方が有効です。っというのも、練習量が少ないうちには疲労の蓄積よりも回復の方が上回るため、日々の休養がちゃんととれていればまとまった休養を取る必要がないからです。
そもそもの練習量が少ない場合や、1年を通した長い目でメニューを構成していない場合には移行期も必要ありません。
中学や高校の部活では、1年を通して練習内容を大きく変えないこともあり、陸上専門の先生がいない場合には1年中同じメニューで練習をしている学校も多いと思います。
翻って、『移行期の目的』が疲労を抜くことだとすれば、部活レベルであれば移行期は必要ないと言えますし、専門性が高くない段階であればシーズンを意識しすぎることなく、継続的に練習をする方がメリットが大きいでしょう。
移行期をはさむことで技術を充電出来る!?
スポーツってのは不思議なもので、同じことをやり続けているとある程度のところで技術が売り切れてレベルアップが止まります。
初心者の内はいわゆる『初心者ボーナス』によって練習すればするほどレベルアップできるため、最初は移行期であっても普通に練習を続けた方がレベルアップが見込めます。
しかし、ある程度のところにくるといくら練習をしても何も変わらないような感覚に陥ります。ここまでくれば中級者でしょう。
このような停滞はプラトーとも呼ばれ、技術や体力が売り切れ状態になっていると言えます。
で、ここで必要になるのが休養です!!
休めばいいというわけでもないのですが、シーズン中に染み付いてしまった『走りのクセ』を一度リセットすることで、次のステップに進めるかもしれません。感覚的には充電に近いかも。
シーズンが終わったら一度移行期を挟むことでリフレッシュし、新たな気持ちで次のシーズンを目指すというのが中級者の心得です!!
②【中級】スパイクを履かないで負荷を下げる
中級編の過ごし方としては、スパイクを履かずにシューズで練習をするパターンが良いでしょう。
練習自体は継続して行うものの、スパイクを履かないようにするだけで劇的に負荷を軽減できます。また、シューズで練習することによって、シーズン中に付いた走りのクセを是正することも期待出来ます。
スパイクを履かない場合には練習内容は必然的に長めの距離になるため、瞬発系よりも中間疾走を意識したようなフローティング系の練習がメインになると思います。
長めとはいえ、まだ冬季練習ではないので『300mを10本!!』とかではなく、150mを5本くらいにしてリラックスしてある程度のスピードで踏んで行くような練習が良いと思います。移行期の本質的な狙いは疲労を抜くことであるため、ちょっと物足りないくらいの練習量で大丈夫です。
また、スパイクを履かないことでシーズンが終わった感覚があるため、気持ち的にも切り替えができます。
トラック向けシューズがあるといい!!
スパイクを履かない場合には『ドリルシューズ』や薄底のシューズがあるといいと思います。
ウインドスプリントについてはもはや説明するまでもないでしょう。ほかにもウエーブデュエルやビルトトレーナーといったシューズがスパイクの代わりに使えます。
このようなシューズは足裏の感覚が非常にわかりやすく、地面を掴んで走る感覚を磨くことができます。シーズン中にスパイクを履いている場面で、移行期から冬季にかけてはトラック向けのシューズを履くようにすると、スパイクに頼らない本質的な走りを身に付けることができるはずです。
シーズンが終わったらスパイクはもう棚の中にしまってかわりにトラック用シューズを履くようにすれば、それだけで練習の負荷を軽減して疲労を抜くことができます。練習メニューが調整できない場合であっても、使う道具で不可の調整ができるのです。
また、質の高い冬季練習をするならトラック向けのシューズは1足あったほうがいいので早めに買っておいて損はないと思います。
③【上級】2~5週間の休養をとる
上級者になると、シーズンをガッツリ過ごして休養もガッツリとるパターンが多くなります。オリンピックレベルの選手だとオリンピックが終わったらもうシーズン終了で、そのまま10月くらいまでお休みという場合もあります。
中学や高校では移行期がちょうど2学期の中間試験や文化祭の期間とも重なるため、ここで2週間くらいのまとまった休養をとる学校もあります。
9月から10月くらいになると、ハイスピードの練習によって足に疲労がたまった状態にもかかわらず気温が下がってくるため、怪我のリスクも非常に高くなります。この時期を移行期としてあえて休養することで、精神的にシーズンを終えると同時に体もリフレッシュし、来シーズンにむけた冬季練習へと移行して行きます。
ただし、トップ選手でないのであれば1カ月まるまる完全に休養してしまうというのはいかがなものか。プライオ系の練習は完全にストップしてもいいのですが、ウエイトトレーニングや神経系のトレーニングを取り入れて、ある程度は体を動かしていた方が良いと思います。
休養も練習のうち?
『休むのも練習』っていう言葉がある通り、休養を取ることでかえって練習効率が上がることがあります。
陸上の練習は基本的には高付加なため、同じ部位の練習が連続しないようにメニューを組んで疲労を分散させるのが一般的です。しかし、分散させていても走る練習が多くを占めるためどうしても足腰への負担が蓄積します。
そんな疲労を抜くにはまとまった休みをとる以外に方法はありません。休むと一時的にパフォーマンスが低下するかもしれませんが、半年後のシーズンに向けて長い目でみれば、ここで休むことは大きなプラスになるはずです。
移行期ってなに?そもそも必要あるの?
移行期って言うのは、試合期から冬季に移行する期間のことです。
陸上ではシーズン最終戦が10月頃行われると、次は3月まで試合がないという空白期間があります。その後年末ごろから本格的な冬季練習がはじまるわけですが、シーズン終了から冬季練習までの期間を移行期として利用して休養をとるわけです。
そして、移行期を経ることで心身ともにリフレッシュされ、一度リセットした状態で次のシーズンの準備ができるとされています。
そのため、例えばシーズン中にケガをして全く走っていない選手や、夏ごろ入部したような選手であれば移行期だからと言って休養を取る必要はないでしょう。
移行期だからといって何も考えずに休むのではなく、移行期を設ける目的を明確にし、必要に応じた過ごし方を検討するようにしましょう。
基本的には移行期にやるべきことは休養!!
前述の通り、移行期の最大の目的はシーズンで溜まった疲労を抜くことです。
そのため、疲労がたまっていない初心者であれば移行期は必要ないかもしれないし、緊張状態が続いていたなら長めの移行期が必要になるかもしれません。
また、プライオ系の疲労が回復のターゲットだと考えると、休養と言っても完全に休むのではなく、筋トレや神経系のトレーニングは行った方がいいと思います。
人によってそれぞれ移行期に必要な休養の度合いは変わるはずですが、ほとんどの場合は一時的な休養はプラスになります。『休養も練習』と捉えるのはなかなか難しいかもしれませんが、移行期を口実にしてプライオ系のトレーニングをちょっとだけ強制的にストップすると思わぬレベルアップが出来るかも!?
移行期にはシーズンを反省して来年の目標を決めよう
移行期は1年で最も余裕がある時期です。まとまった休養をとることで体が回復するだけでなく、精神的にもリフレッシュできるため、ここで一度冷静になってシーズンを振り返っておくのもいいでしょう。
また、みんなで投擲種目をやってみたりといった感じで、レクリエーション的に陸上競技と接してみるのも休養になるだけでなく、陸上との向き合い方を見つめなおせると思います。
移行期のうちに課題を明確にして、冬季練習のターゲットと来季の目標を決めておくとモチベーションにもなると思います。
怪我あるならちゃんと治す!!
陸上競技最大の敵は怪我です。軽い肉離れであっても、慢性的に怪我が続けば競技レベルは上がりません。
もしケガがあるなら1か月くらいマルっと完全休養してケガを完治させておくとイイでしょう。
大きな怪我がある場合には当然として、シーズン中に怪我のクセがついてしまっている場合には思い切って休んでちゃんとケアして完全に治しておきましょう。
トレーニングを続けながら治す場合でも、冬季練習が始まるまではプライオ系は全くやらなくても大丈夫!!この機会にウエイトトレーニングなどで関節を守る筋肉をしっかりとつけ、来シーズンに備えるのもありです。
勉強も今のうちにやっておけ!!
移行期にはテストがあったり文化祭があったりするかもしれません。
いつもは部活で勉強がおろそかになっているのであれば、1か月くらいがっつり勉強して2学期の勉強を予習しておくと年末に楽できます。また、勉強はどこかのタイミングでちゃんとやっておかないと将来困るというか、勉強しておけば将来困らないので、やれる時にやっておくことをおすすめします。
夏休みからなんとなく部活中心になってしまっている生活を立て直すという意味でも、移行期はけっこう重要です。
今回のまとめ
今回は『移行期』についてその過ごし方をご紹介しました。
シーズンがある陸上競技において、オフシーズンの過ごし方は非常に重要なのですが、その最初の段階が移行期です。
基本的には蓄積した疲労をとってシーズンで着いたクセを抜くのが移行期の目的で、レベルが上がるほど疲労も大きくなるため休養も長くなります。逆に、初心者で回復が間に合っているうちには移行期を設ける必要はないでしょう。
休養が基本的な過ごし方となるのですが、プライオ系の疲労を抜くのが目的のため、完全に休養するのではなくてある程度の運動量を確保した方が良い場合もあるでしょう。
学校によってはちょうどテスト休みや文化祭と重なるため、数週間のオフとなる場合もあり、環境や選手個人によって移行期の位置づけも変わるかもしれませんが、休養でもただダラダラと休むのではなく、シーズンを振り返ったり、筋力の弱い部位にウエイトを入れて鍛えたりといった、シーズン中にはできないケアをするのも移行期です。
また、移行期にはシーズンを振り返ったり、冬季練習をどのように行うかを検討する時期でもあります。
体だけでなく、精神も落ち着けることができるちょうどいい時期となりますので、自分の競技観をみつめなおして、より良い競技生活が送れるようにしましょう。
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