【レビュー】ミズノ初の厚底スパイク『Xブラストネオ』 ガッチガチで反発力は驚異的!!
次世代短距離スパイクとして2022年にミズノが出したのが『Xブラストネオ』という厚底スパイク。
歴史的な日本メーカー初の「厚底スパイク」であり、ミズノ史上最強の反発力をもつというこのモデルですが、この時代のトップ選手はすでにナイキ・アディダスにどっぷり!!
さらにはミズノの選手ですらXブラストではなく別の特注モデル(インクスの厚底版)を履くというなんとも残念なスパイクなのです。
ってことで今回は
ミズノ『Xブラストネオ』レビュー!!ガチガチプレートと厚底がもたらす反発力は別次元!!
をご紹介。
いよいよというタイミングでミズノがリリースしたのは誰もが望んでいた「インクスの厚底版」ではなく、この『Xブラストネオ』なる謎のモデル。管理人も最初は「これじゃねぇ…」っと思わざるを得ませんでした。
スペック的には重量がかなりあり、さらに値段は3万弱。ナイキ・アディダスがあるなか、あえてミズノを選ぶ選手は多くありませんでした…
しかぁし!!
このXブラストネオは実際にはとんでもないポテンシャルを持つ超高反発スパイクだったのです!!
ってことで、管理人が実際に買ったので履いてレビューしていきます!
Xブラストネオはこんなスパイクだ!!
Xシリーズは2021年の発売から2023年モデルまでの3年でなんと13種類ものモデルがリリースされました。
その違いについては別記事でまとめているので前知識としてまずはそちらもどうぞ↓
そして、管理人は初代XブラストネクストとXレーザーエリート2を買って履いていますのでそのレビューもどうぞ↓
で、そんな色々あるXシリーズのなかで最も硬くて高反発なモデルが『Xブラストネオ』です。
このスパイク、一言でいうとガッチガチに硬いです。
形状は他のXシリーズと同じですが、樹脂が違ってこれが一番硬い。
また、定価は27,500円(税込)となかなかの高額!!
一世を風靡したナイキ「スーパーフライエリート2」は当初16,500円でしたからね…厚底は高いなぁ。
Xシリーズが「厚底」になって超高反発に!!
黄色いソールが挟まれて「厚底」になってる!!
XブラストネオはXブラストエリート2の厚底バージョンと考えて差し支えないでしょう。
アッパーとプレートはXブラストエリート2と共通で、その他の構造も他のXシリーズと通じています。
そのため、ソールに反発素材が挟み込まれているっていうところだけがXブラストネオ特有の構造なのですが、たったこれだけの違いによってXブラストネオは最強クラスの硬さと反発力を獲得したのです!!
他のXシリーズとくらべると厚さは一目瞭然
他のXシリーズとの最大の違いは『分厚い』ミッドソール
薄底のXレーザーエリート2と比較すると黄色いスポンジの厚みよくわかります。
細かいことは公式HPでも見てもらえればいいのですが、「ミズノエナジーlite」っていう高反発素材がミッドソールに挟み込まれていて、柔らかいミズノエナジーの回りを硬いEVAで囲むことで厚底ながら安定性も損わないってことになってます。
で、このミッドソールのおかげでとんでもない高反発を実現しています。
「厚さ」は幅・三段スパイクとだいたい一緒
厚さは20mm以下の規制があるので、ソールの厚さは幅跳び用のアシックス「LJプロ3」やミズノ「フィールドジオAJ」とほぼ同じ。
そのため、厚底とは言ってもランシューより薄いので走りずらくなるほどではないです。
管理人はこのスパイクを履いても特に厚みについては違和感は感じませんでした。短距離スパイクしか履いたことがなければ違和感があるのかもしれませんが、厚さについてはまあこんなもんかってくらい。
もちろん、Xレーザーエリート2と直接履き比べをすれば厚さは感じますがね。
アッパーは肉抜きなしのスケルトンアッパー
内側はベルトが足底までつながってるおなじみの構造
アッパーについての印象はXレーザーエリート2と一緒です。
アッパーのフィット感はけっこう良い!だけど、滑るから質感はイマイチ。
Xレーザーエリート2との構造的には肉抜きがあるかどうかくらいのため、詳しいことはあちらのレビューで見てください。
で、肉抜きがないからといってフィット感が高いとかアッパー剛性が高いってことは特に感じないです。
Xシリーズはアッパーの良さを求めるスパイクではないですね。値段の割に微妙なアッパーであることは間違いないでしょう。
重量級!28cmで194gもある!!
実測でなんと194gもある!!
Xブラストネオの最大の欠点はこの重さでしょう。
ほぼ同じ構造のXレーザーエリート2は実測170gだったため、ミッドソールが約25gあると考えていいと思います。ちなみにクロノインクスは約150gです。
マックスフライが約163g、プライムSP2が約119g (どちらも27cm片足)と考えると、Xブラストネオの重さは致命的と言えるレベルでしょう。(プライムSP2が軽すぎるんだけど。)
世界レベルや国内でも10秒5を切るようなトップ選手に敬遠される最大の理由はおそらくこの重さ。
履いてみた感じはそんなに重い気はしないのですが、タイムが上がるほど効いてくるはず。11秒台でもどれを買うかってなったときにはこのスペック上の重さは落第の要因になり得ますね。
ただし、実際に履くと反発が強すぎるので管理人レベルだと重さは全然気にならないです。
Xブラストネオは「超」高反発なのに普通に履ける!!
高反発素材のミッドソールを挟み込んでさらに超高反発に!
まず、単純にプレートがガッチガチに硬いです。
マジでかなり硬いので、硬いの好きな人には嬉しいですが少しでも柔らかさを求めるならやめたほうがいい。
そして、ミッドソールも普通に硬い。
厚くてもクッション性があるわけではなくて、沈み込みもほとんどない。
全体としての「硬さ」は最強レベル。プレートに体重を乗せると従来のスパイクを凌駕するバズーカのような反発が返ってきます。
しかし..
Xブラストネオは超高反発なのに従来のスパイクと同じ感覚で使える!!
これはこのスパイクの最大の特徴だと思います。
厚さも硬さもこれまでのミズノスパイクとは大きく違うものの、意外にも走った感覚は薄底スパイクの延長にあります。
「厚底」ではあるものの、厚底だから走り方を変えるとか反応が遅れるってことはない。
また、「ミズノエナジー」は柔らかくて「EVA」が硬いらしいけど、厚みがあってもフワフワする感じは全くありません。
高さはあるのでコーナーでぐらつきがないことはないですが、プレート形状が面で捉える安定重視なので不安定ではない。イメージ的にはミッドソールはアシックスの「LJプロ3」と同じで、厚いから不安定とか沈み込みで力が伝わりにくいってことは一切感じません。
その点では長距離の厚底シューズとはだいぶ違いますね。
とはいえ、インクスやナイキの従来のスパイクのようにうすーい板の上に乗るようなスパイクに比べればかなりプレートの厚みは感じますよ。
ぶっ飛ぶような高反発!!反発性は「超」がつくほどすごい
『ぶっ飛ぶような高反発』ってのは発売時(22年)のカタログに載っていたXブラストネオの売り文句の一つ。
実際、Xブラストネオの反発はぶっ飛ぶレベル!!
初めてこれを履いて軽く走ったときは「おおおぉぉぉ」って声が出るほどの衝撃。笑えるくらい反発がすごいです。
かるーく流ししただけでも今の10秒台出たんじゃね!?ってくらいスピードが出ちゃう。
足が弾かれるからストライドが思ったより伸びちゃう感じで、追い風参考的なスピードの乗り方をします。
管理人はいわゆる”ハイパースパイク”と呼ばれるマックスフライ、プライムSP2を履いたことないので、そことの比較はできませんが、例えば薄底のアディダス「アクセラレータ」やナイキ「スーパーフライエリート2」あたりの薄底の高反発スパイクと比べると、反発自体はXブラストネオのほうが全然上。
だから速く走れるかっていうとまた違うんですが、インクスを凌駕する超高反発スパイクです。
「弾む」感じは新感覚!長めの接地で強烈な反発
Xブラストネオは『弾む』感覚があります。
基本的にはプレートの硬さによる反発で走るスパイクではあるのですが、踏み込みでミッドソールを潰して弾む感覚は確実にあります。まあ、厚いんだからそりゃあそうですよね。
接地でしっかり乗り込んでミッドソールを踏みつぶすとバウンドが返ってくる来るっていうのは従来のスパイクにはない感覚です。踏めば踏むだけ強い反発が返ってくる感じがあって、これが体感的な反発感につながります。
そのため、従来の薄底スパイクと比べると踏み込みに対する許容量が大きいというか、接地時間長めのスパイクではあると思う。強い反発を受け止める技術と体が求められます。
ただ、そもそもXシリーズのプレートが接地長めだから「厚底」だからっていうよりもこのプレートの特性もありますね。
他のXシリーズと同じで高反発ながら扱いやすい!!
プレートは他のXシリーズと共通だから走り心地もほぼ同じ
Xブラストネオの反発はとんでもなく強くて、軽く走るだけでもバッチンバッチン足が弾かれます。
ただ…
普通に走れば強い反発が返ってくるので扱いが難しいスパイクではない!!
っと思います。
それもそのはず、Xブラストネオのプレートは他のXシリーズと共通で硬さと厚さがちがうだけなので、走り心地は他のXシリーズとけっこう似てる。っていうかほぼ同じ。
そのため、Xブラストネオは超高反発だけどけっこう扱いやすい!!
っと思います。
管理人、Xシリーズのプレートが結構好きなんですよね。2列の6本ピンは重心移動がしやすいし、プレートは硬くても厚みがあるっていうかスイートスポットが広いから踏み込みやすい。
最強レベルの硬さであるにもかかわらず、「まあそれなり」には扱いやすいと思います。
たぶん11秒台なら十分に扱える
Xブラストネオは何秒で使える?っていう俗っぽい質問を想定すれば…
11秒台なら普通に履けるんじゃない?って答えます。
従来の上級者向けってプレートが薄かったので、タイミングがちょっとずれると反発が全然返ってこないんです。
しかし、Xブラストネオはタイミングが多少ズレても関係なく驚異的な反発が返ってくる。
それを推進力に使えるかどうかっていう技術的な問題はありますが、反発自体は適当に走ってもちゃんと出ます。
また、Xブラストネオは硬いけどクセは少ないスパイクだと思います。
アディダスのように強い傾斜があるわけでも、アシックスのように極端なフラットなわけでもないので普通に走れる。中級者向けのXブラスト/レーザーネクストと同じプレートですからね。
そのため、上級者向けの中ではかなり扱いやすいスパイクです。
ってことで、さすがに中学生はやめておいたほうが良いと思うけど、11秒台で走れる高校生なら十分履けるんじゃないかな?
ただ、めちゃくちゃ硬いので「超上級者向け」なのは間違いないです。ケガのリスクを考えると学生が容易に手を出すべきスパイクではないでしょう。
必要以上に硬いので11秒台ならサイバーブレードで十分とは思いますが、硬いのが好きな人には嬉しい硬さ。次にも書きますが、硬いのに慣れている跳躍選手なら有力な選択肢になるはず。
『厚さ』も『硬さ』も幅・三段スパイクに近い!?
幅・三段スパイクとほぼ同じ厚さ!!
Xブラストネオの最大の特徴は『厚底』と『硬さ』です。しかし、管理人的には厚底だからどうということはないです!!
っというのも、Xブラストネオの厚さ・硬さは幅・三段スパイクと似てる!!んです。
だから跳躍スパイクに慣れている跳躍選手ならあんまり違和感なく普通に履けるはず。
管理人は「フィールドジオLJのスプリント版があればなぁ」っと昔から思っていたのですが、そこにきて、このXブラストネオはそれに近い気がしています。
跳躍スパイクでは反発がほとんど「上向き」に出ちゃうので走りにくいのですが、Xブラストネオはさすがスプリントスパイクだけあって反発がすべて「前向き」の推進力になるっていう点は大きく違いますね。
Xブラストネオの「フィールドジオ風アッパーバージョン」があればけっこう良い気がする。
硬いのが好きならめちゃくちゃ合うはず!!
スパイク選びの最大のポイントって「プレートの硬さ」ですよね。
で、硬いのが好きで国産スパイクが履きたいならXブラストネオは最適解です!!
『程よい傾斜にガッチガチのプレートが組み合わさったスパイクがあればなぁ…』っと思っているあなたはXブラストネオを買うべきです。
硬さだけなら海外メーカーでも良いと思いますが、Xブラストネオは硬いだけじゃなくて扱いやすい!
つまり、Xブラストネオは硬いけど反発を推進力として使いやすいです。
日本メーカー特有の「扱いやすさ」はさすがミズノで、質感こそ高くないものの、おさえるべきところはしっかりおさえています。
また、前述の通り従来の薄底スパイクの延長で使えるってのもメリットでしょう。
まあ、それならスーパーフライエリートでよくね?って気もしなくもないですが、バッチンバッチンの反発を使って走りたいならXブラストネオを選ぶべき。
ミズノ特有の「安定感の高さ」は選ぶ理由になり得る
管理人はミズノ派なのですが、ミズノのスパイクって安定感が非常に高い。
安定感って抽象的ですが、言い換えれば『適当に走ってもちゃんと走れる』のがミズノスパイク。
シャープさはないけど、踏み込みに対してしっかり反発を返してくれるってのがミズノのスパイクで、Xブラストネオも例に漏れずそのミズノ特有の走り心地を有しています。海外メーカーだとタイミングがずれると走りにくかったりしますが、ミズノなら大丈夫。
ってことで、私はミズノが好きなのです。
~まとめ~
『厚底』のXブラストネオは驚異的な反発力とそれなりの扱いやすさ
印象:推進力がヤバい!!
反発:超がつくレベル
扱いやすさ:まあそれなり
重さ:重いけど大丈夫
接地:フォア気味ではある
プレート:最強レベルの硬さ
厚さ:気にしなきゃ気にならない
アッパー:それなりに良いけど残念ではある
履き心地:質感は高くないけど十分
総評:驚異的な反発。反発重視ならすぐ買うべし!硬いスパイクに慣れていれば普通に扱えるはず。
これが陸上ch的な評価です。
いままでこんな評価してないんで突然で意味わからないですが、まあこれでどんなスパイクかわかると思う。
とにかく超高反発で推進力がヤバくて、管理人史上最強の超高反発!!
かつて一部にカルト的人気を誇った『クロノダッシュ』のように廃盤になってからが本番かもしれません。
発売当時はこれじゃないとか言ってたし、実際これじゃない感はあります。だけどミズノをなめちゃだめです。これほどの反発をこの扱いやすさで実現しているのはすごい技術。
高い安定感と驚異的な反発を両立したすごいスパイクです。
最強のポテンシャルをもつスパイクなので買う価値あり。体が反発に耐えることさえできればベスト出ると思う。
ただ、信じられないくらい硬いし他の上級者向けスパイクと比べると重いのは間違いない。
じゃあ、27,500円出すか?っていうと…さすがにそれは高すぎ。
管理人は9,999円で買えました!!なにかの間違いと思いましたが、楽天でその値段で出てたんです。
在庫次第だしモデルチェンジしているのでこのリンクからいくらで買えるかはタイミングによると思いますし、1万円で買えなくても管理人のせいではありません。
どうせ買うならより硬くなった『2』がいい!?
今回紹介したXブラストネオは22年モデルの『初代』です。
23年には残念ポイントだったアッパーを改良し、さらにプレートを硬くした23年モデルの『2』がリリースされています。
管理人も店頭でちょっと触りましたが、明らかに硬さが増しています。超高反発がウリなスパイクなだけに、どうせならより高反発になった『2』を買った方が幸せになれるかも!?
ただ、初代でも必要以上の硬さなので、安いなら初代で十分すぎると思います。記録を追求するなら2かな。
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