【世陸東京】日本代表は「内定」「選考」か?複雑な10パターン!あるいは「リレー」
世界陸上競技選手権(世陸東京)が2025年9月13日(土)~9月21日(日)に東京の国立競技場で開催されます。
オリンピックと並ぶ2年に一度のこの世界大会は、世界中の陸上選手が目指す大舞台。
世界陸上東京大会に出場するには、(1) 大会が定める出場資格を満たす、(2) 各国の代表選手に選ばれるという2つのステップがあります。前回の記事では(1)の出場資格について詳しくご紹介しました。
前回の記事はこちら↓
ってことで今回はその続きの(2)として
【世陸東京】日本代表の選出方法:内定条件と選考条件
をテーマにご紹介。
世界陸上への参加資格を得ることは、世界のトップ選手であるという証です。しかし、それだけで日本代表あるいは各国の代表になれるというわけではありません。各国には各種目3名という出場枠(ワイルドカードがある場合は4名)があって、有資格者が3名以上いる場合には国内選考が行われるのです。今回はその、日本代表の選考プロセスについてご紹介していきます。
選考方法は国によって微妙に違うのですが、日本はオーソドックスな選出方法だと思われますので、今回の内容を覚えておけば、他の国の選手が代表に入れるのかどうかも大体予測できるはず!
『参加標準』やら『WAランキング』については前回説明していますので今回は省略しますが、頭に入れておいた方が良いスケジュールは…
7月4~6日→日本選手権
8月24日→参加標準、WAランキング有効期間終了
8月27日→世界陸連から参加資格者公表(WAランキング確定)
9月1日以降→エントリー締め切り
(競歩・マラソンは別日程)
いつもは日本選手権が6月末で、直後の7月初めにはエントリーが締め切られるのですが、今回は世界陸上が9月開催ということで、日本選手権からエントリー締め切りまでが約1か月もあります。これによって、選手にとっては【内定】と【選考】のどちらで代表入りできるかで、調整期間が1か月も変わってしまうんです!
これまでの大会は内定だろうが選考だろうがどちらでも似たようなものだったのですが、今回の世陸では『内定』が取れるかどうかが本大会での好不調に影響してくるかも…!?
なんて考えながら代表選考会である日本選手権をみてみると、いつもよりもっと楽しめるかも。
日本代表への道は10パターン!
【内定】が4パターン【選考】が6パターン
世陸東京の日本代表になるには大きく分けて【内定】と【選考】の2つのルートがあります。
【内定】は、その記録あるいは順位が確定した段階で代表入りが決まる方式です。一方の【選考】は、WAランキングの確定を待ってから、有資格者の中から優先順位をつけて代表を選出していく方式です。
内定の条件は4パターン、選考の条件は6パターンで合わせて10パターンもあります…ややこしいのですが、今回はその詳細もご紹介します。
【内定】の条件は4パターン
内定の条件は以下の4つがあり、各種目最大3名までが代表に選出される可能性があります。
- ワイルドカード
- パリ五輪3位以内 + 参加標準突破(日本選手権終了までに)
- パリ五輪8位以内 + 参加標準突破(2025年1月1日から日本選手権終了までに)
- 日本選手権3位以内 + 参加標準突破(日本選手権終了までに)
補足事項:
- 2と3の条件は、日本人最上位者のみが対象です。
- 3は、2に該当者がいない場合に適用されます。
- 4は、2または3に該当者がいる場合には、日本選手権2位以内が条件となります。
一見するとややこしい感じですが、
パリ五輪入賞or日本選手権3位以内 + 参加標準突破
と考えるとシンプルです。
【内定】とは、特定の条件を満たした時点で日本代表の資格が与えられることを指します。このため、WAランキングの確定(8月27日)を待たずに代表入りが決まります。特に、参加標準記録の突破が条件に入っているため、ランキングに左右されずに代表が決まる点も重要です。
内定のメリットは、本大会に向けて長い調整期間を確保できることです。場合によっては日本選手権に出る必要すらなくなるため、本大会での上位入賞を目指す選手にとっては、まずは国内で内定を勝ち取ることが非常に重要になります。
厳密には、日本選手権終了時点までに標準を突破する必要があり、3の条件では2025年シーズン中に標準記録を突破する必要があります。
パリ五輪のトラック&フィールドでの入賞者は北口(やり投1位)、村竹(110mH5位)、三浦(3000mSC8位)、赤松(走高跳5位)の4選手ですので、それ以外の選手については、4の条件でのみ内定が取れ可能性があります。
そのため、日本選手権を観戦する際には、すでに標準を突破している選手が3位以内に入る or 3位以内の選手が標準を突破するかのどちらかを達成すれば内定すると考えていれば大体OKです。
パリ入賞者のうち、赤松選手以外はすでに内定済み(5/22時点)
執筆次点(5/22)で、トラック&フィールドで内定している選手は以下の通りです。
- 北口榛花(やり投):パリ五輪優勝によるワイルドカード
- 村竹ラシッド(110mH):パリ五輪5位に加え、25年4月26日に標準を突破
- 三浦龍司(3000mSC):パリ五輪8位に加え、25年4月26日に標準を突破
パリ入賞者では赤松選手以外はすでに内定を確保しており、その実力はさすがですね。
赤松選手が内定するためには、2025年1月以降に2m33の参加標準を跳ぶ必要があります。もし標準記録を跳べなかった場合には、内定ではなく【選考】に回ることになります。その場合、男子走高跳は4名以上の有資格者が出ると予想されるため、日本選手権で3位以内に入ることが重要になります。
また、マラソンと競歩は冬に別日程で選考が行われて以下の通りすでに内定者が決まっています。
マラソン:(男子)吉田祐也、近藤亮太、小山直城、(女子)安藤友香、小林香菜、佐藤早也伽
20km競歩:(男子)山西利和、丸尾知司、吉川絢斗、(女子)藤井菜々子、岡田久美子
35km競歩:(男子)川野将虎、勝木隼人、丸尾知司、(女子)梅野倖子
【選考】の条件は6パターン
選考の条件と優先順位
選考の条件は以下の6つで、それぞれに優先順位があり、最大3名が代表に選出されます。
- 日本選手権8位以内 + 参加標準突破
- 日本選手権8位以内 + WAランキング圏内
- 参加標準突破
- WAランキング圏内
- WAによる全種目の未使用出場枠の再配分
- 開催国枠
補足事項:
- 1の優先順位
① 日本選手権の成績
② 参加標準記録有効期間内の記録
③ 上記①~②の基準で優劣がつかない場合は、2025年度に開催される国内外主要競技会の成績 - 2の優先順位
① 日本選手権の成績
② 「Road to Tokyo」(WAランキング)の順位
③ 参加標準記録有効期間内の記録
④ 上記①~③の基準で優劣がつかない場合は、2025年度に開催される国内外主要競技会の成績 - 3,4の優先順位
① 「Road to Tokyo」(WAランキング)の順位
② 参加標準記録有効期間内の記録
③ 上記①~②の基準で優劣がつかない場合は、2025年度に開催される国内外主要競技会の成績
ややこしいですよね…
シンプルに考えると、出場資格を満たした選手のうち、日本選手権の上位3選手が代表に入れると思っておけばおおよそ間違いありません。
【選考】とは、内定条件を満たせなかった選手が、残りの代表枠を争うためのプロセスを指します。内定とは異なり、WAランキングや他の選手の状況が大きく影響するため、最終的な代表入りは8月27日のWAランキング確定を待ってから決まります。
内定を逃した場合でも、自身の記録からWAランキングでおおよその位置を把握することは可能です。しかし、代表入りが確定するまでの不透明な状況は、選手にとって大きな精神的負担となるでしょう。特に8月は、標準を突破できなかった各国選手がランキング上昇を狙って記録を出すことが予想されます。そのため、有力選手であっても、最後まで気を抜かずに好記録を出し続ける必要があります。
3名以上の有資格者がいる場合には、優先順に3名が代表に選ばれる
基本的なところとして、参加資格を持つ選手が国内に3名以下であれば、有資格者はそのまま日本代表に選ばれます。しかし、参加資格を満たす選手が4名以上になった場合には、代表争いが生じます。
優先順位を超ザックリ言うと、日本選手権の上位者が優先で、それで決まらなければWAランキング上位者が優先です。
ちゃんと理解するには優先順位についての把握が必要です。優先順位には以下の要素が考慮されます。
- 日本選手権の成績(8位以内の場合のみ)
- 期間内のベスト記録(標準突破者が複数の場合)
- WAランキング
- 主要大会の成績
これについては一見するとシンプルなように見えるのですが、実はこれがめちゃくちゃ複雑です。
実際に、男子100mの24年パリ五輪の選考では、日本選手権が終わった段階では誰が代表になるのか決まらず、他国の選手のランキングを待つ事態となりました。
ざっと言うと、日本の代表枠は残り2枠という状況、日本選手権2位の選手はWAランキング圏内が確実だったものの、1位の選手はこの時点ではランキング圏外だったため参加資格を満たさない可能性があり、もし圏外になった場合には1位の選手が外れて3位の選手が代表になるかもしれないというものでした。意味わからんでしょ?結果的に、1位の選手がランキング圏外から日本選手権のポイントによって圏内に上昇して代表入りしました。
テレビの実況や解説者もよくわかってないというか、不確かなことは言えない感じで、テレビ放送では代表についてほぼ触れずに終わってしまいました…まあ、こんなんわからんよね。
詳細は記事を1本作るほどヤヤコシイので、詳しいことはそちらの記事をご参考ください↓
まあ、難しいからあんまり複雑なことは考えなくていいと思いますよ。もし、また同じような事態になったらその時は管理人が誰が調べてご紹介しますから、とりあえずザックリ覚えておけばOKです。
滑り込みで代表入りの可能性:『未使用出場枠の再配分』と『開催国枠』
前提として、「参加標準突破」または「WAランキング圏内」のどちらもクリアしていない選手は、仮に日本選手権で優勝したとしても日本代表として世界陸上に出場することはできません。だって、そもそもの出場資格がないですから。
しかし、例外的に代表入りできるケースがあります。それが、「未使用枠の再配分」と「開催国枠」で代表に入るパターン。
基本的には8月27日のWAランキング確定で出場資格が決まるのですが、そこから辞退やらがあると繰り上がりで出場資格が得られる場合があるんです。
未使用枠の再配分(インビテーション)
エントリー数が出場枠に満たなかった場合、ターゲットナンバー+10のランキングに入った選手に対して、順番に出場資格が与えられます。例えば、100mの場合はターゲットナンバーが50枠なので、WAランキングで60位までの選手は最後の最後で繰り上がって出場資格を得られる可能性があります。このとき、日本の選手が他国の選手よりも優先される順位にいた場合に、その選手は日本代表になれます。
なにその状況!?
なわけですが、各国に最大3名までの出場枠が与えられているものの、必ずしも3名の代表を出す必要はなく、出場辞退や予算の都合などで代表を絞ることがあります。その際に余った枠が、この再分配にまわされます。
レアケースでしょ…!?と思いきや、実際にこれによってパリ五輪では日本からは4名の選手が出場権を獲得しています。
案外、辞退するんですねぇ…
開催国枠
ここまで紹介してきた方法では1人も代表を出すことができなかった種目に限り、開催国枠で1名を代表を出せる可能性があります。
ただし、
①WAランキングでターゲットナンバー+10以内で最上位
②日本選手権優勝者かつエントリー設定記録突破(2025年1月1日~8月24日)
このどちらかの条件をクリアする必要があるため、そのハードルはかなり高いと言えます。①と②それぞれを満たす選手がいた場合には、①が優先されます。
今のところ、ありそうだなぁと管理人が思っているのは、男女の800mの落合選手と久保選手。
執筆次点でのランキングは両名とも43位で、これはターゲットナンバーの56位圏内なので、このままいけばWAランキングで出場資格を得られます。しかし、ここからシーズンが進めば8月までに押し出される可能性があります。それでも、もしランキング66位以内に残れば開催国枠を使って参加資格が得られます。あるいは、どちらもすでに派遣標準を突破しているため、日本選手権で優勝することでも要件を満たします。
例外:個人種目で代表になれなくても『リレー要員(リレープール)』として代表に入れる可能性がある
ここまでは、個人種目で日本代表に入る条件をご紹介してきました。それ以外にも、リレー要員で日本代表に入る場合もあります。
リレーメンバーは最大で6名を登録できますが、混合リレーを除き、対応する個人種目(100mまたは400m)に出場登録されているすべての選手(3名,最大4名)は、自動的にチームの6名のエントリー枠に含まれます。
つまり、リレーメンバー6名のうち3名は個人種目の代表が入り、残りの3枠は個人で代表に入れなかった選手で埋めることが可能です。これはアメリカでは「リレープール」と呼んでいる代表枠で、管理人は「リレー要員」って呼んでいますが、日本で正式になんて呼ぶのははわかりません。
また、リレーには個人種目の出場選手であれば登録できるため、200mやハードルの選手を残りの3枠に入れることもできます。その場合には、リレー要員は3名より少なくなります。
リレー要員がいれば選手の温存ができる!
リレー要員というのは、個人種目で代表に入っていない選手を招集することです。
リレー要員って、それ補欠でしょ…?
それも間違ってはいないと思うのですが、パリ五輪4×100mRでは、リレー要員としてメンバー入りした栁田選手(予選)と桐生選手(予選、決勝)が出走しています。
リレー登録6人のうち3名は100m(あるいは400m)の個人種目の代表である必要があるので、レースを走る4名の少なくとも1名は個人種目代表が入ります。個人種目の選手にとっては、予選・準決勝・決勝を走りさらにリレーでも予選・決勝を走るとなると、なかなかキツイ…
そこで、リレーの予選ではリレー要員を使うことでメンバーを温存することも、重要な戦略となります。また、日本のように走力にほぼ差がない場合には、フレッシュなリレー要員を使った方がタイムが良いこともあるはずです。
実際、パリ五輪アメリカ代表の4×100mRでは、予選では個人代表はカーリー1人だけで、残りの3名はリレープールからコールマン、キング、リンジーを起用し、それでも予選を1着通過しています。
パリ五輪では、日本リレーチームのエントリー6名はサニブラウン(100m代表)、坂井(100m代表)、東田(100m代表)、栁田、桐生、上山(200m代表)だったので、リレー要員としては栁田選手と桐生選手の2名だけでした。
もし、3名のリレー要員を用意できていれば、違うレース戦略とれてメダルに手が届いていたのかも…?なんて可能性も考えられます。たらればですが。
そんなわけで、個人で代表に入れなかったとしても、リレー要員で代表入りできる可能性があります。
リレー要員は戦略的に重要で、本大会で走れる可能性は大いにありますし、リレー要員を3名そろえることができれば戦略の幅も広がり、メダル獲得の可能性も高まります。
リレー種目については、日本陸連は個人種目とは別に選考要項を出していますので難しいことはそちらで。(https://www.jaaf.or.jp/files/upload/202412/10_171210.pdf)
リレーメンバーの選出は『個人種目の代表』『リレー候補競技者』『総合的に勘定』
世陸東京大会での、リレーメンバーの選考プロセスをザックリとご紹介。
男女4×100mリレーの場合
- 100m代表
- リレー候補競技者の中から、日本選手権の8位以内の選手(100m,200m)
- 選考競技会,参考競技会の成績を総合的に勘案し、リレーの特性と戦略を考慮(100m,200m,4×100mR)の
男女4×400mリレーの場合
- 400mの代表
- リレー候補競技者の中から、日本選手権の8位以内の選手(400m,200m)
- 選考競技会,参考競技会の成績を総合的に勘案し、リレーの特性と戦略を考慮(400m,200m,4×400mR)
混合4×400mリレーの場合
- リレー候補競技者の中から、日本選手権の8位以内の選手(400m,200m)
- 選考競技会,参考競技会の成績を総合的に勘案し、リレーの特性と戦略を考慮(400m,200m,4×400mR)
上記の選考基準は数字が若いほど優先順位が高く、それぞれ「リレーの特性と戦略を考慮して選考する。」の一文が入っています。
リレー候補者の条件は
- クミアジア選手権での対象種目優勝者(100m,200m or 200m,400m)
- 世界リレー広州で14位以内に入った場合には、その代表として派遣された選手(補欠含む)
- 日本選手権での対象種目優勝者
- 以下の基準の突破者
男子 | 種目 | 女子 |
60m:6 秒 55(室内に限る) 100m:10 秒 08 200m:20 秒 26 |
4×100mリレー | 60m:7 秒 25(室内に限る) 100m:11 秒 30 200m:23 秒 00 |
200m:20 秒 38※ 300m:32 秒 02 400m:45 秒 29(室内:46 秒 21) |
4×400mリレー (混合含む) |
200m:23 秒 19※ 300m:37 秒 08 400m:52 秒 30(室内:53 秒 20) |
※4×400mリレーの特性を考慮した選考を行うため、200m については設定記録を満たした場合でも候補に選 考されない場合がある |
(追記)
基準記録の有効期間は、参加標準記録有効期間と同じ2024年8月1日~2025年8月24 日です。
執筆次点(5月22日)で、4×100mRでリレー候補者の要件を満たす選手は10名います。
上記の内容はややこしいので、結果を。執筆次点で、リレー候補者の要件を満たす選手は4継で10名、マイルで2名います。
4×100mリレーでリレー候補者の要件を満たす選手(男子10名)
- 世界リレー代表:サニブラウン、西岡、井上、大上、愛宕、鵜澤、木梨、飯塚
- 基準突破者:サニブラウン(9秒96,24年8/6)、栁田(10秒06,25年5/18)、鵜澤(20秒13,25年5/3)、水久保(20秒14,24年8/18)
4×400mRでリレー候補者の要件を満たす選手(男子4名、女子1名)
- 基準突破者:佐藤風雅(45秒23,25年5/18)、平川(45秒25,25年)、※鵜沢(20秒13,25年5/3)、※水久保(20秒14,24年8/18)
- 【女子】:松本 奈菜子(52秒14,25年5月3日)
上記の選手は、個人種目で代表に入れなかったとしてもリレーメンバーとして代表に入れる可能性が高いと思われます。
「選考競技会および参考競技会の成績を総合的に勘案し、リレーの特性と戦略を考慮する」っていう選出要件はちょっとよくわかりませんが、上記の選手が明記されている条件を満たしています。
(修正)
4×400mRの要件を満たす選手に、200mの基準突破者が入っていませんでした。数を2→4に修正しました。
女子の突破者を追記しました。
まとめ:【世陸東京】日本代表になるためには内定と選考、さらにリレー要員のルートがある
今回は、世界陸上東京大会の日本代表の選出方法についてご紹介しました。
個人種目で代表に入るには、【内定】と【選考】の2つのルートがあり、リレー種目で代表に入れる可能性もあります。
【内定】は、条件を満たした時点で代表入りが決まるルートです。8月末のWAランキング確定を待つことなく代表入りが決まるため、本大会までの調整期間を長くとることができます。
パリ五輪入賞者が標準を突破する場合と、標準突破者が日本選手権で3位以内に入るパターンがあります。
パリ入賞者は4名いるのですが、そのうち3名は既に代表に内定済みで、赤松選手は標準を跳べばその時点で内定です。
日本選手権の観戦ポイントとしては、3位以内に入った選手が標準も突破できるのか!?を観るとわかりやすいと思います。
【選考】は、内定をとった選手以外の出場資格を持つ選手が代表になるためのルートです。他国の状況もからむため、8月27日にWAランキングが確定するまで代表入りは確定しません。そのため、ギリギリの選手は8月まで好記録を狙う必要があり、精神的・肉体的に負担がかかります。
参加標準突破 or WAランキング圏内のどちらかをクリアしていれば代表になることができるのですが、有資格者が4名以上いる場合には、優先順位をつけることで代表を3名にまで絞ります。
日本選手権決勝で上位になった選手に優先権があると思っておけばだいたいOKです。
未使用枠の再配分は、エントリーが辞退などによってターゲットナンバーに達さなかった場合に追加で出場資格を分配するもので、日本人トップで対象になった場合には、代表に入ることができます。
また、東京開催のため日本には開催国枠があります。ランキングがギリギリ圏外で出場権を得られなかった選手や、設定記録突破し、かつ日本選手権で優勝した選手が、各種目1名に限り出場することができます。
個人種目で代表に入れなかった場合でも、リレー要員(リレープール)で代表入りする可能性があります。
リレー登録6人のうち個人種目代表以外の枠を埋めることができるため、4継ではたぶん3名の選手がリレー要員として追加招集されることになると思われます。
ここでは、世界リレーに出たメンバーと、設定記録を上回った選手が中心に招集されることになっていて、執筆次点で要件を満たす選手は4継が10名、マイルが2名となっています。
世界リレーに日本チームが出場した理由は「シードレーンを取るため」ってことでしたけど、これにエントリーされた選手(補欠も含む)はリレー要員としての招集要件を満たすので、それが目的だったのかな?
ってことで世界陸上東京大会の日本代表の選出方法でした。むずかしいよね。
管理人が世界陸連と日本陸連が出している要項を読んで解釈した内容なので、もしかすると根本的なところから間違っているという可能性も…その際は、ごめんなさい!
元にしている要項等はこちら↓
Qualification System and Entry Standards
トラック&フィールド種目(リレー種目除く)日本代表選手選考要項
リレー種目日本代表選手選考要項
マラソン種目日本代表選手選考要項
世界リレー日本代表選手団
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コメント一覧
複雑ですが面白いですね!
リレーメンバーについて質問ですが基準記録の集計期間はいつからでしょうか?(多田選手の日本記録のタイミングは入っていないのか気になっています)
抜け穴のないよう法律のように入り組んでいるので、読み取りごたえがあります!
基準記録の有効期間は、100mなどの参加標準記録と同じく(2024年8月1日~2025年8月24日)が定められています。追記しておきます!
多田選手の60m6秒62は、24年3月なので残念ながら期間外となっています。
ちなみに、参加標準記録は『10000m、混成競技、リレー(チーム自体の記録の有効期限)』が2024年2月24日~2025年8月24日で、『その他の種目』は8月1日からとこれもまたややこしいことになってます笑