【冬季の出口】春の練習~シーズン直前にやるべきことは?~

練習いろいろ

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陸上競技の年間スケジュールは移行期・冬季・試合期の3つの主要な期間に分けられます。
試合期は競技シーズンであり、冬季の前後に移行期が設けられています。『冬季練習資材で試合期(シーズン)の結果が決まる』と言われるほどに冬季は重要視されているのですが、冬季で良い練習が積めたとしても、春の過ごし方を失敗するとシーズンインに失敗してしまい3年生の場合はそのまま引退!!なんてことにもなりかねません。

ってことで今回は
【冬季練習の出口戦略】3月頃、春にやるべき練習について
をテーマにご紹介。
学生陸上において、4~5月の春シーズンは最も重要な時期と言っても過言ではありません。せっかく冬季で走り込んで地力をつけたとしも、それをうまくスピードに変えることができなければ苦労は水の泡。
『冬季』から『シーズン』への切り替え方と春やるべきことについて紹介します!!

 

 

3月は試合に向けた準備をする期間!!

冬季練習が大事。そんなことはみんな言っていますが、冬季練習をどのように終わらせるか?については、あんまり教えてくれる人がいません。しかし実際のところ、冬季練習で頑張るよりも、シーズンインに向けて調子を上げていくほうが春シーズンの試合でいい結果を残すためには重要です。
ってことで、今回は冬季練習の出口戦略についてのお話です。出口戦略っていうのは冬季練習のやめ方っていうこと。冬季練習はいつかやめなきゃいけないのですが、やめ方がわかっていないと春シーズンで失敗します。

で、なにをすればいいのかっていうと…
3月は試合に向けた「準備」を意識して練習しましょう!!
練習で速く走ることも大事なのですが、シーズンインを意識しておくだけで練習の質も変わるはずです。

春は専門種目に備えろ!!

3月の練習の位置付けは『試合の準備』です。いつまでも走り込みなんかしてたら、気づいたら時にはレースが始まっちゃうぞ。
寒さが和らぎスピードが出るようになると、自然と練習の質も上がります。しかし、いつまでも冬季練習を引きずっていると、スピードを上げきれずに調子を落としたままシーズンインということになりかねません。

陸上競技は、頑張れば強くなれるわけではなく、頑張った分を競技力に変えることではじめて記録が出ます。そして冬季練習でつけた力をスピードに変換するために重要なのが、3月の過ごし方です。
春の大会で結果をだすためには『冬季練習』から『スピード練習』にしっかりと切り替えることが必須であり、3月はその準備をする時期と位置付けましょう。
3月のことは難しく『専門的準備期』とも言い、徐々に専門練習に移行していくことでシーズンの準備をする時期です。

3月には『量から質』に練習を変えろ!!

陸上の練習には、量と質のバランスをシーズンを通してコントロールする『マクロサイクル』という考え方があります。(質ってのは単純に速いっていうことではありません。)

陸上では練習は「量」より「質」っていうのはよく言われていることですが冬季練習では多少質を落としても量をこしていきます。まあ、寒くて体が動かないですからね。

では、冬季の『量』重視の練習からシーズンの『質』重視の練習に切り替えるのはいつか?っていうと、それが3月です。

大きなサイクルで練習を考えると、3月が質と量のバランスが入れ換わるタイミングになります。
なんとなく練習をしていても、気温が上がると自然とスピードも上がってきて質も高くなるだろうとは思いますが、3月には意識して練習の方向性を変えることで、4月下旬に控える公式試合で最高のパフォーマンスを発揮できるようになるはず!!

3月の試合で結果を出す必要はない

春の心構えですが…
3月の試合は練習試合!!っと思っていいです。
陸上にはサッカーや野球と違って練習試合とうものはないのですが(記録会はあるけど)、3月末や4月初めにある春季大会は試合形式の練習だと位置づけて、結果を出せなくても何かしらの収穫があればOKです。
試合の標準記録を切ってなくてヤバいとか、3月の記録でメンバーが決まるというのであれば話は変わりますが、本番は4月・5月の公式戦だから3月の試合の結果はどうでもいいです!!

もし、3月に記録が出なくて怒る先生やコーチがいたらそれはダメコーチ!
だって、ピーキングの事を全く知らないか、あるいは自分が設定した冬季練習が失敗したってことに気付いてないわけですから。しくじってガッカリする気持ちはわかりますが、3月の試合の結果なんてマジでどうでもいい。コール漏れ以外で怒られる筋合いはありません。

もちろん手を抜けってことじゃありませんが、例えばスタートの5歩くらいを意識してあとは流れに任せるとか、幅跳びなら踏み切り前の捌きだけ意識するとか、そんな感じでやって結果はついてくればラッキーくらいに思っておけばでいいです。
これも一種の『ピーキング』ってやつで、今回は詳しいことは省略しますが、3月に調子を上げすぎると4月5月の大事な時期に失速します。公式戦で結果を出すためには、3月はあえて緩くやるってのも大事なのです。

ちなみに、管理人は高校時代(たぶん当時PB6m50くらい)の3月に5m台を出してさすがにやべぇと思ったけど、4月には普通に6m後半をコンスタントに跳べてました。だからほんと、3月の試合結果で落ち込んじゃだめ。

 

 

春にはどうやってメニューを移行すればいい?

3月に量から質に変えるとはいうものの、具体的にはなにをすればいいの?
ザックリ言うと…
①集中して走る
②徐々にスピードを上げる
専門のコーチがいるならもっとやることもあるでしょうが、一般レベルならこの2つだけやっておけば大体OKだと思います。

当たり前のことですが、『質』というのは言い換えれば1本1本のクオリティです。量から質に変えていくためには、『練習全体の頑張り』よりも『1本1本の内容』にこだわるようにしましょう
ただし、まだシーズンではないのでスピードを上げ過ぎるとケガのリスクも最大化されてしまいます。集中しながらもスピードは徐々に上げていって、シーズンに向けて徐々に体を慣らしていくようにしましょう。

練習内容を徐々にスピード系に移行していく

3月には冬季よりもスピードを重視してメニューを組んでいく必要があります。
例えば
(冬季)100m→(3月)加速走
(冬季)坂ダッシュ→(3月)SD
といった具合に、同じようなメニューでも、より短い時間で大きな力を出すような練習に変えていきます。
気温が低い日は怪我のリスクが高くなりますので、まだタイムにこだわる必要はありませんが、瞬間的に力を出す感覚を呼び起こすことを意識しましょう。

春はまだトップスピードは出ないと心得ろ!!

質を上げるとは言うものの…
1本1本の内容にこだわるのは大切ですが、1本1本のタイムにこだわる必要はありません!!
それは春先はケガのリスクが高い時期だから。

冬季で走り込んでいた状態から移行すると、最初のうちは「感覚よりもいまいちスピードが出てないなぁ」なんて感じることもあります。そうするとスピードを上げるために頑張ってしまいがちですが、そういう時は気を付けろ!!
また逆に、暖かくなってスパイクを履いたら感覚よりもスピードが出すぎちゃう!ってこともあると思いますが、これも要注意。
春は3回に1回くらい満足いくスピードで走れれば良いって感じで、1カ月くらいかけて徐々に最大スピードが出せる状態にもっていくように心掛けましょう。遅れても4月の終わりまでにちゃんとスピードが出せれば大丈夫です。焦らずに徐々にスピードを上げていくようにしましょう。

ケガをしたら1発退場!!
イマイチな日はそういうもんだと思ってタイムを計らずフォーム重視で走っても大丈夫!!

春の練習メニュー

春の練習では、冬季から量を減らして徐々にスピードを上げていけるようなメニューを組んでいきましょう。
短い距離を基本にして、足りないと感じるなら距離ではなくセット数で強度を調整します。具体的なメニューをいくつか置いておきますので、色々組み合わせてそれっぽく使ってください。

メインメニュー

具体的な練習メニューは以下の感じのものを組み合わせるとそれっぽくなります。これを順番に毎日やっても良いくらい。

・インターバル系(プラス走)
200m×5
100m×3×3
(200m+150m+100m)×3
(200m+100m)×3
基本的なスプリント系のトレーニグ
です。トップスピードが高めなので肉離れに注意しながら負荷を調整していきましょう。寒くてスピードが上がらないときは多めのセット数にしてフォーム重視で走ってもOK。

・ダッシュ系(短ダッシュ)
SD(30m、60m)等
30~100mの距離のダッシュ練習です。スタブロは使っても使わなくても良いと思います。距離も適当に「体が起きるまで」とかでもいいと思います。1歩1歩をしっかり踏む感触で走れると〇。
スタブロを使わなければ短ダッシュとなってスプリントのトレーニングに、スタブロを使えば技術系のトレーニングになるため、前後の日のメニューをみて強度を調整できる便利なメニューです。

・加速走・流し
ダッシュに近いのですが、ハイスピードでの動きを意識したトレーニングです。
スタンディングの最初の1歩はけっこうケガのリスクが高いのですが、加速走りはローリングなのでそこを回避できます。
気持ちよく加速してからフローティングでトップスピードを維持するように意識できるとイイと思います。高い速度での足さばきや接地感覚を感じながら走れば、冬季からハイスピードに切り替えていくなかで忘れていたスピード感を取り戻せます。

200m×5をやっておけば間違いない!?

当ブログでは事あるごとに言ってますが…
困ったときには200m×5をやっておけ!!
初心者から上級者まで、冬から夏まで、ショートスプリントから跳躍まで、いつどこで誰がやっても走力を上げてくれるなんとも便利で使いやすいメニューが200m×5。ほぼトップスピードが出せるけどケガのリスクも回避できるので春先にも重宝するメニューです。
ごちゃごちゃややこしいメニューを組むくらいなら、200m走っておいた方が間違いない。
キッチリやると強度は高めだけど、練習に困ったらとりあえずこれをやっておけば大丈夫!!

 

春はドリルを念入りにやるのがオススメ

多くの選手がアップの一環としてドリルを行っていると思いますが、春は『質の練習』としてドリルを取り入れるのもおすすめ!!
気温が高くなって薄着になるとそれだけで細かい動きが意識できるようになるので、春になるとドリルの精度も上がってより効果的な動きができるようになります。走り込みで細かい動きを忘れてしまった体に怪我のリスクなくスプリントの動きを叩きこむにはドリルが最適!!
いつものドリルが15分なら、30分かけて2周ドリルをやるだけでも練習の質を高めることが出来るぞ!!

ストレートレッグ系のドリルもおすすめ

これやっとけ!っていうドリルがあって
・ストレートレッグ
・バットキック
・ファストレッグ
この3種はすごくいいです。
混成競技アメリカ代表のチャリ・ホーキンスがやり方を教えてくれているので、これを見まくって真似しましょう。

チャリ・ホーキンスの足さばきは天下一品!

春のうちにスキップ系ドリルを習得しておこう!

ドリルにはいろんな種類がありますが、中でもスキップ系のドリルはスプリント動作に直結するものです。
陸上の基本的なスキップドリルとしては3つ、Aスキップ、Bスキップ、Cスキップがあるのですが、これが出来ない人は結構多いです。まあ別に出来なくても走れる人もいますが、できるに越したことはない。
っていうか、普通の人はスキップドリルがちゃんとできるようになればそれだけでちょっとだけ足も速くなるはず!!
Cはややこしいのでできなくてもいいと思いますので、とにかくAとBはそれっぽい形でできるように、今のうちに練習しましょう。できて損はないです。
これまたチャリ・ホーキンス姉さんが教えてくれています。Bは難しいですが、頑張れ。

あとはライルズがきっちり教えてくれますので、100回見ましょう。これだけで足速くなるぞ!

ドリルについては別の記事でザックリまとめています。


 

今回のまとめ

学生にとって最も大事な時期となるのが4月~6月。ここの試合で上位に入れなければ引退となってしまう選手も多いでしょう。しかし、春シーズンで実力を出せない人はけっこう多いのです。
冬季練習で走り込みをして地力をつけたはずなのにシーズンインからなかなか調子が上がらずにそのまま引退…

なんてことになってしまう原因は冬季練習の出口戦略をちゃんと考えていないからかもしれません。
冬季練習で量をこなするのは間違っていないのですが、陸上競技の基本は『量より質』。冬季練習は辛く苦しいからやっている感があるので感違いしてしまいがちですが、冬季でいくら頑張ってもシーズンでスピードに出来なれば無駄なのです!!

冬季練習の出口、つまり量から質に切り替えるための春先の練習についてちゃんと意識できるかどうかが場合によってはあなたの陸上人生を大きく左右するかも!?
冬季練習で積んだ練習を陸上のスキルに変換することさえできていれば、春シーズンでいい結果を出して長く陸上を続けることができるはずです!!






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