【幅跳び】技術を身に付ける夏の1か月の集中練習!~③全助走のリズムをつくる編~

幅跳び集中練習, 幅跳びのポイント

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夏の1か月の集中練習で幅跳びの基本技術をザックリと身に付けようという今回の企画。
1回目は一番大事な「踏み切りとブロック」、2回目は「空中動作から着地」ときて、今回は最後の第3回。

ってことで今回は
【集中練習】夏の1か月で身に付ける幅跳びの基本技術③

をテーマにご紹介。
①踏み切りとブロックを極めろ!!編
②空中動作と着地を極めろ!!編
③全助走のリズムを極めろ!!編

1回目は一番大事な「踏み切りとブロック」、2回目は「空中動作から着地」ときて、今回は最後の第3回です。
幅跳びは『助走』して跳ぶので『走り』幅跳びと言うわけで、跳ぶ前に走る競技です。
足の速さってのは1か月何かやってもどうこうなるものではないのですが、助走の技術』を身に付ければ同じスピードでもより遠くに跳ぶことができるのです!!
今回の内容をチョチョっとおさえておけば、「適当な助走」や、「とにかくスピードを出して速く走る助走」から、「リズミカルでそれっぽい助走」ができるようになるはず!
記録も10cmくらいは伸びるかも!?

 

 

【ステップ3】助走でリズムを作る編

まず最初に、今回は集中練習なので「助走スピードを上げる」っていう話ではありません。
今回のテーマは…
『助走のリズム』が作れるようになれ!!です。
助走には2つ、「スピード」「リズム」という重要な要素があります。

スピードはそのまんま速さですね。物理的にスピードが速いほど遠くに跳べますので、助走ではスピードが高ければ高いほど有利です。
今回のメインテーマとなるのは「リズム」の方で、「助走のスピードをより効率的に踏み切りに繋げる」「重心位置をコントロールしてより高く跳び出す」ための技術のです。
世界大会なんかで幅跳びや三段跳びを観て「なんでこんな変な走り方してんの?」なんて思ったことがあるかもしれませんが、「助走の走り」「スプリントの走り」はちょっと違うのです。

大事なポイントは踏み切りの瞬間に最大スピードをもってくる!!ってこと。
序盤はゆっくりと出て、踏み切りに向けてだんだんとスピードを上げていくリズムで助走しましょう。
実際にはラスト3歩では失速するのですが、できるだけ速いスピードで踏み切りに入ることが大事。そのために必要なのが「助走のリズム」です。
ザックリ言えば、幅跳びの助走はタイムを競うものではないので最初の10mを速く走る必要がなくて、より良い踏み切りのためにはリズムアップが必要!!
こんな認識でOK。

助走のリズムは「最初ゆっくり、だんだん早く!!」

「そもそもリズムってなんだよ…?」ってところですが、とりあえずはリズム=ピッチだと思っていいと思います。
「だんだんリズムを上げる」っていうのはだんだんピッチを上げるってことだと思ってOK。

今回は集中練習で技術をザックリ身に付けるのが目的ですので、やるべきことをシンプルにしていくと…
助走は最初は大きくゆっくりと、だんだんリズムアップしてピッチを上げよう!!
この意識をもって助走をすればOKです!

スピード=ピッチ×ストライドの理屈で言えば、踏み切りでピッチとストライドが最大になるのが理想。っとはいえ、良い踏み切りをするためには重心を下げる必要があるので最後のストライドは絶対に小さくなります。
また、踏み切りの瞬間に最大スピードをもってくるためには前半から飛ばすのはご法度!詳細は割愛しますが、助走はダッシュしちゃダメ!なんです。
そこで出てくるのが「リズム」。ラストに向けてリズムアップしていく意識をもつことで、最後の数歩での失速が抑えられ、より速い速度を保ったまま踏み切りに入ることができるのです。

ややこしい…

 

最初からストライドは一定、ピッチアップでスピードをあげよう!

意識すべき助走のリズムは、ゆっくりからだんだんとリズムアップです。
それを具体的にやると、最初からストライドを大きくして、ピッチアップでスピードを上げる!です。
イメージはこんな感じ↓

ストライドは序盤でほぼ最大に達して、ピッチは踏み切りに向けてどんどん上げていく感じ。
スピード=ピッチ×ストライドなので、ピッチが上げればストライドは一定でもスピードが上がります。

集中練習のなかで意識すべきなのはピッチコントロールでスピードを上げる感覚
ただ頑張って走るのではなく、スピードを自分でコントロールしながら体を踏み切りに向けて加速させていきましょう。

詳しいことは別記事でまとめていますので興味あればそちらをご参照ください↓


助走を3区間に分けて『リズム』をつくってみよう

助走のリズムってのは「リズム」なので頭で考えてっていうよりも体が勝手に動く系の技術です。そのため、何度も繰り返して体にリズムを染み込ませることが大事。
しかし、全助走での練習は体力がキツイし、そもそもリズムを作るのは難しい!
そんなときに助走をザックリと3分割とか4分割して考えるのがおすすめです!今回は3つに分けるパターンをご紹介します。

①スタート~体が起きるまでは大股!(今回の重要点!!)
②フロート(速度維持)
③踏み切り前の「きざみ・さばき」

3つの局面に分けることでそこだけを意識して練習することができます。練習では必ずしもMAXスピードでやる必要はないので、流しくらいのスピードでリズミカルに走るような意識で練習しましょう。
それぞれのポイントは…
①ストライドで踏んでいく!
②ピッチアップでスピードを出す!
③踏み切りに向けて刻む!
ザックリとそれでいて詳しくみていきましょう。

③の局面はラスト3歩か5歩での「刻み」の局面で、いわゆる「タン・タターン」のところですが、詳しくは別記事でもまとめています↓

①スタート~体が起きるまでは大股で!

まず最初は1歩目からだいたい10mくらいまでの区間で、歩数でいえば最初の6~8歩くらいが最初のリズムの区間。スタートから最初の中間マークまでの区間です。
ここではできるだけ大きいストライドでグングン踏んでいく!ことを意識するとリズムが作れると思います。
最初の5歩くらいでほぼ最大ストライドに達するイメージで、前傾をかけながら大きな動きで一歩一歩しっかりと地面を踏んでいきます。
スピードを出そうとすると動きが小さくなりがちなので、直感的に走るよりもゆったりした動きを意識しましょう!ここではあえてゆったりと走るくらいで大丈夫!

ちなみに、管理人の場合は37mちょいでスタートして27mちょいに最初の中間マークを置いていました。

 

②中間ではピッチアップでスピードを出す!

①の区間でグングン踏んでいくと、スピードが乗ってきて自然と体が起き上がってくるところで中間マークを踏みます。
ここでストライドからピッチにリズムを切り替えましょう。
②の区間の位置としては、最初の中間マークから踏み切り準備の直前までの区間です。
ここではピッチアップでスピードを上げていく!ことを意識しましょう。
ピッチを上げることを意識すると足が流れにくくなり、踏み切りに向けて前捌きの助走ができるはず!
ストライドは最初のマークの時点でほぼ最大になっているので、この②の区間ではストライドは変化せずにピッチによってスピードが上がるイメージ。
また、助走スピードはこの区間の終わりで最大スピードになり、③の踏み切り準備動作ではちょっと減速します。そのため、いかにこの区間でスピードを上げるか、そして準備動作に減速しない形で入れるかも大事です。ただ、これは難しいので集中練習ではスピードについてはあんまり触れません。

③ラストは踏み切り前の「きざみ」

②でピッチとスピードが上がったままの状態ではうまく踏み切れませんので、「準備動作」が必要です。
幅跳びの踏み切りの跳び出し角度は20~25度くらいが理想で、水平に走ってきた重心をその角度で発射する為の準備がこの「きざみ」とか「さばき」と言われる技術です。
ザックリ言えば、スピードを維持しつつ重心を下げながら踏み切りに備える動き
ちなみに三段跳びは15~20度で跳び出せばいい(高く跳ばない)ので「きざみ」は小さくなります。

位置としてはラスト3歩かラスト5歩の区間で、②でリズムアップしてきた「助走のリズム」をまとめる局面です。
管理人の場合はラスト3歩でしたが、人によっては踏み切り5歩前に2個目の中間マーク置く場合もある。やりやすい方で良いと思います。
「きざみ」についてはこれはこれで一つの高度な技術なので、集中練習では完璧にできなくてもザックリとわかれば大丈夫!今回はとにかく「助走のリズム」を意識します。
ここでは軽い接地と『タンタターン』のリズム!これを意識しましょう。

ポイントとしては2つあって…
1つ目は、減速をできるだけ小さくする!!
きざみは重心を下げる動きなので、トップ選手であってもは絶対に減速します。ただ、スピードは高ければ高いほど有利。
そのため、軽い接地でうまくさばく意識をもつと良いと思います。
接地を軽くする意識を持つとラストでスーっと伸びるような印象の助走になり、減速が少なくなるはず。

2つ目は、重心をうまく下げる!!
きざむことで重心を下が下がって、踏み切りで高く浮くことができます。とはいえ、重心を下げようとしたせいで大きなブレーキがかかって全然跳べなくなってしまっては本末転倒。
重心をさげつつも、スピードを落とさない…このバランスが大事なのですが、これがまた難しい!

そこで出てくるのが『タンタターンのリズム』です。
タンタターンのリズムで踏み切りに入ることで、何も考えなくても勝手に重心が下がってくれます!!
しかも、余計なことするよりも減速が小さくできるはず。
「タン」は2歩前、「タ」が1歩前、「ターン」が踏み切りです。つまり、2歩前は歩幅が伸びて、1歩前は歩幅が短くなるリズム
タンタターンはこれ↓

ちょっとわかりにくいけど、「タ」は歩幅が短くなっています。
言われてもあんまりイメージしにくいと思いますが、そんなときにはもっと極端にギャロップ走で「タターーーンタターーーン」のリズムをつくってみてください。
踏み切り前の歩幅を極端に短くすると自然と体がポーンと浮かぶはず。この浮く感じを踏み切りで再現できると跳べるようになるはずです!
それもよくわからなければスキップです。スキップって何も考えてないのにポーンて浮くと思いますが、これと一緒。
踏み切り直前の歩幅が短いと次の一歩が自然と大きくなるんです。

 

 

集中練習ではこれをやれ!!助走のリズムの練習方法

助走はスピードだけじゃなくて『リズム』が大事。でも、普通に練習しているだけじゃあリズムなんて身に付きません。
ってことで、集中練習でやり込むべきリズムの練習方法をご紹介!!
3つの練習をご紹介しますので、これをやっておけば助走の安定度がアップして自然な感じで踏み切りに入ることができるようになるはず!?
・全助走練習
・ウエーブ走、マーカー走
・イメトレ
4つじゃね?とにかく、スピードではなくリズムに注目しましょう!そうすればこれだけでそれっぽい助走技術が身に付くはずです!

全助走練習

結局、助走のリズムは助走を繰り返すことで身に付けるしかないのです…!!
大体30~40mくらいの助走だと思うので、1回の練習で10本くらいはできるはず。
ポイントは、マークおいてリズムを意識する!
練習と試合では助走距離が50cmくらい変わることもあるので、助走距離にはあんまりこだわらなくてもいいです。スピードも9割でいいのでとにかく『リズムを作る』ことを重視しましょう。
大事なのはマークを置いてしっかり踏むこと。毎回歩幅が違っちゃあリズムも毎回変わってしまうので、できるだけいつでも同じリズムが刻めたほうがいいです。
「出だしはストライドで持って行って、中間マークからピッチに切り替える」っていうのをしっかり意識しましょう。

また、リズムに注目して練習する場合には踏み切りまでやらない方が意識を集中しやすいはず。その場合でも『助走は踏み切りのためにある』ってことを忘れないようにして重心を落とすところまではやりましょう。

ウエーブ走、マーカー走(ミニハードル)

走りのなかでピッチやストライドをコントロールする練習ご紹介します。
それが、「ウエーブ走」「マーカー走」です!
ポイントは、ピッチを変化させつつスーッと走る!!これです。
スピードを上げ下げするとどうしてもブレーキをかけたり加速したりしがちですが、そういうことじゃなくて、回転を上げたり下げたりしながらもブレーキをあんまりかけない動きを心がけましょう。回転が下がればスピードも下がるはずですからね。
っていうか、回転を上げるとスピードが上がる感覚を意識するようにしましょう。パワーをかけるのではなくてピッチを回してスピードをコントロール。

・ウエーブ走

流しのなかでスピードを上げ下げするのがウエーブ走です。
例えば、スピードを一定にしたまま接地を弱くしてピッチで回してみるとか、ピッチを落としてストライドでもっていってみるって感じで、上げたり下げたりすることでピッチとストライドでスピードをコントロールする感覚が掴めます。
助走路ではなくてトラックで150mくらいでリラックスしてやるのがおすすめ。

・マーカー走(ミニハードル)

マーカーやミニハードルを置いて強制的にストライドを決めてしまう練習がこれ。最近は練習に取り入れるチームが増えたので競技場でマーカーを貸し出してくれるところもかなり多くなりましたので、場所によっては自分で持ってなくても大丈夫。
最初の内はうまく足が回せなかったりしたばかり見てしまったりすると思いますが、リズム感が身に付いてくると感覚的に走れるようになるはずです。
30mくらいの助走をとってマーカー置く場合には、スピードが出た状態からピッチアップする感覚が身に付くし、加速中にマーカーを置けばストライドで持ってくる感覚が身に付きます。
ミニハードルを使うとちょっと難易度が上がりますが、足が流れにくくなって『前捌き』の動きも身に付くという一石二鳥な練習です。
助走練習に限らず、陸上の練習として総合的に普通に優秀なのでスプリント練習としてもやって損なし!

イメトレ

助走練習のいいところは、イメトレも結構使えるところ。授業中でも目を閉じればピットが見える!?
ポイントもなにもなくて、どれだけそれっぽい妄想ができるかが決め手でしょう。
イメトレかよ…っと思うことなかれ。トップ選手でも助走のスタート前にイメージを作っていることもありますよね。あれを普段からやってもいい練習になるんです。
出だしの1歩目で力強く出て…2歩3歩とグングン踏んでいく…ってな感じでイメトレしとけば実際にピッチを走ったときにもあたふたすることなくスムーズに体が動いてくれるはず!

 

 

まとめ③】『さいしょ大股、だんだんピッチ』で助走リズムをつくれ!!

全3回の集中練習の最終第3回目として、『助走のリズムをつくる』をテーマにポイントと練習方法をご紹介しました。
助走はスピードを出してエネルギーを得ることが最大の目的ですが、そのエネルギーを踏み切りでうまくつかうための技術が『助走のリズム』です。
スピードはあるのに全然跳べないなんて場合にはリズムが作れていないのが原因かも?

助走のリズムを作るために意識すべきなのは…
最初はストライドで走って、ピッチアップでスピードを上げていく!!
これを意識して練習すれば集中練習でそれなりのリズムがつくれるようになるはず!
スタートから最初のマークまではストライドで持っていって、マークを踏んだらピッチアップでスピードを上げていく感覚で助走をするとリズムができると思います。
最後の3歩は難しいのでとりあえず「タンタターン」で踏み切れればOK。それができれば浮くはず。

助走の練習は
・全助走練習
・ウエーブ走、マーカー走
・イメトレ
これがおすすめ。
どの練習をするにしても、スピードではなくて『リズム』を意識しましないからね…ょう。スピードなんてものはどうしようもないからね…

ってことで、夏の集中練習でザックリと幅跳びの基本技術を一通り身に付けよう!!
ってテーマで幅跳びの基礎・基本を3回にわたってご紹介しました。

1か月で幅跳びをマスターすることはできないのですが、”それっぽい跳躍“までならレベルアップできるはず!
一番大事なのは第1回の踏み切りの話です↓


それっぽい踏み切りができるようになったら次は着地で稼ぐ↓

そして最後に今回の『助走のリズム』が作れるようになればもはや素人とは言えない程の跳躍レベルに達していることでしょう!
難しく考えれば難しくなる幅跳びですが、おさえるところだけおさえておけば1か月でその他大勢を出し抜いてちょっとした大会のベストエイトに残るくらいにはなれると思う…

とはいえ、難しい話なのでわからないことあればツイッターでもなんでもいいので連絡してください。その内容で次回の記事を書くかも。あるいは動画とか送ってもらえれば個別にわかる範囲で解説できるかもしれません。
少しでも、専門技術がわからない選手やコーチの力になれればと思います!

 






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