ダイヤモンドリーグってなに!?北口選手と三浦選手がファイナル進出!!
ダイヤモンドリーグ最終戦(チューリッヒ大会)が9月7、8日に開催されます。
『ダイヤモンドリーグ』といえば、女子やり投げの北口選手が6月のパリ大会で日本人初優勝を果たしたことでその名前をニュースで聞いた人もいるはず。
しかし、陸上ファンでなければダイヤモンドリーグ…??って感じだし、陸上部であっても名前すら知らない人も多いことでしょう。
ってことで今回は
そもそも「ダイヤモンドリーグ」ってなに?
をテーマにご紹介。
知ってるようで知らない、陸上のトップリーグのお話です。
ダイヤモンドリーグは陸上界最高峰の年間リーグ!
ダイヤモンドリーグ(以下DL)がどんな試合なのか簡単に言うと…
陸上の年間チャンピオンを決める最高峰リーグです!
五倫、世陸との大きな違いは試合数で、DLは年間14戦の転戦で世界をまわります。(中国企業がメインスポンサーなので中国でも開催!!)
また、13戦までの各大会で1~8位までにポイント(8,7,6,5,4,3,2,1ポイント)が与えられ、13戦終了時点のポイント合計の上位者が「ファイナル」への進出権を獲得します。
イメージとしては、13戦の予選があって、決勝としてファイナルがある感じ。そして、ファイナルで勝った選手がその年のチャンピオンとなるのです。
ちなみに、チャンピオンになるとワイルドカードで世陸の出場権を獲得できたりします。
プロが集まる賞金レース!
陸上選手ってのは日本では実業団選手として企業から給料をもらいながら活動している選手が多いのですが、海外だといわゆる『プロ』が結構います。
何をもってプロと言うかは微妙ですが、個人でスポンサーから資金を受けていたり、イベント出場でお金をもらっていたり、大会の賞金で生活している選手のこと。
で、そんな世界のプロ選手達が集まるのががこの『ダイヤモンドリーグ』です。
ちょっと乱暴な言い方をすれば、ダイヤモンドリーグと他の大会の最大の違いは賞金がでること!!
ダイヤモンドリーグの優勝賞金は1万ドル!!
ダイヤモンドリーグファイナルともなると優勝賞金3万ドル!!
ダイヤモンドリーグの賞金 | ||
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シリーズ戦
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ファイナル |
順位 | 賞金額 | 賞金額 |
1st | $10,000 | $30,000 |
2nd | $6,000 | $12,000 |
3rd | $3,500 | $7,000 |
4th | $2,000 | $4’000 |
5th | $1,250 | $2’500 |
6th | $1,000 | $2’000 |
7th | $750 | $1’500 |
8th | $500 | $1’000 |
9月6日時点で1ドルが140円だから…
まあつまり、ファイナルで優勝すれば1年普通に暮らせるレベルの賞金が手に入るんですね。
賞金が出るからトッププロが集まり高いレベルの試合となり、レベルが高いから観る方も価値を感じるという仕組みで成り立つ陸上の興業がダイヤモンドリーグです。
他のメジャースポーツに比べれば最高峰でこれっぽっちしかお金がもらえないっとも言えますが、それはもう陸上競技の興行としての課題でしょう。
ダイヤモンドリーグの前身はゴールデンリーグ
今は「ダイヤモンド」ですが、DLができたのは2010年。それ以前は「ゴールデンリーグ」って名前でヨーロッパを転戦していました。
ゴールデンっていうだけあって金塊が商品になっていたり、なんと全勝すると賞金100万ドル!!
100万ドルはジャックポットなので全勝者が複数いると山分けですが、夢のある大会だったんです。
実際にマリア・ムトラなんかが100万ドル獲得していたはず…
世界を転戦して年間14戦で総合優勝を争う
ダイヤモンドリーグは「リーグ」というくらいなので、全14戦でシーズンを通して世界を転戦する仕組みになっています。
ダイヤモンドリーグ 2022年カレンダー |
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大会 | 国 | 開催日 |
ドーハ | カタール | 5月13日 |
バーミンガム (ロンドン) |
イギリス | 5月21日 |
ユージーン | アメリカ | 5月28日 |
ラバト | モロッコ | 6月5日 |
ローマ | イタリア | 6月9日 |
オスロ | ノルウェー | 6月16日 |
パリ | フランス | 6月18日 |
ストックホルム | スウェーデン | 6月30日 |
シレンジア | ポーランド | 8月6日 |
モナコ | モンテカルロ | 8月10日 |
ローザンヌ | スイス | 8月26日 |
ブリュッセル | ベルギー | 9月2日 |
チューリッヒ | スイス | 9月7~8日 |
2022年は中国の大会がキャンセルになって代替戦がポーランドのシレンジアで行われたりもしましたが、基本は全14戦です。
開催種目は飛び飛びで実質5戦~8戦!!
開催日を観たらわかる通り、日程がかなり近いです。オスロとパリなんて2日後ですからね。
この日程で走ってるのかと言えばそうではなくて、大会ごとに開催種目が異なっています!!
引用:https://www.diamondleague.com/
男女それぞれ16種目(全32種目)なので、順番ってわけでもなく大会ごとに種目が結構違う。
例えば、パリでは男子200mでオスロでは代わりに男子100mをやったり、幅跳びがあるときには三段跳びがなかったりって感じで、大会ごとに14種目くらいを開催して持ちまわっています。これによって、移動や休養をとりつつ転戦ができる仕組みなんですね。
ややこしいのは、種目によって開催回数が違うこと。
例えば、
男子幅跳びは5回開催(ラバト、オスロ、シレンジア、モナコ、ファイナル)
女子100mは8回開催(バーミンガム、ユージーン、ラバト、パリ、モナコ、ローザンヌ、ブリュッセル、ファイナル)
って感じで14大会のなかで32種目が入り乱れてます。
ただ、ファイナルだけはチャンピオン決定戦なので32種目がすべて行われる!!
そのためファイナルは2日間開催となります。
近年は日本選手も活躍!!
DLは世界規模の陸上の最高峰リーグなわけですが、開催国はヨーロッパが中心です。
ヨーロッパは昔から陸上が盛んな地域で、ゴールデンリーグ時代から日本では考えられないほどの賞金が用意されていました。
そんななかで日本人選手が活躍するのはなかなか難しく、室伏さんが2002年に優勝経験がある以外は為末さんですら3位でした。
しかし、近年はちょっと状況が変わっていて、2019年には高跳びの戸部選手が2位!
そして、2022年にはパリ大会でやり投げの北口選手が日本人初優勝!!
さらにはシレジア大会でも優勝してシーズン2勝目!!
65.10!
Haruka #Kitaguchi snatches victory from the jaws of defeat in the Final 3, stealing her way into top spot with the very last throw of the competition.#DiamondLeague#SilesiaDL 🇵🇱
📷 @matthewquine pic.twitter.com/7vIUH5fgFW— Wanda Diamond League (@Diamond_League) August 6, 2022
北口選手の活躍はもはやワールドクラスで、ポイントランク1位でファイナルへの出場権も獲得!
もしかするとチャンピオンシップ獲得もあり得る!!
さらに、ヨーロッパ勢が強い中距離においても3000mSCで三浦選手がローザンヌ大会で4位入賞!!
これまたファイナル進出を決めました。
そんなわけで、2022年は2名の日本人選手がDLファイナルに出場するという快挙!
日本でも海外志向が強まってくれば、海外を拠点に活躍する選手がでてくるかも!?そうすると、国内レースの賞金や選手の扱いにも影響がある可能性があるのです。
世界陸上は7万ドル!!陸上の大会は賞金が出る!?
実は、世界陸上でも賞金が出てるんです!!
たとえば、世界陸上オレゴン大会の個人種目の賞金は…
金が7万ドル
銀が3万5千ドル
銅が2万2千ドル
しかも世界記録を出すと10万ドル!!
っていう賞金が設定されていて、優勝すれば数年の活動費は賄えるくらいの額が出てるんです(リレーはチームに8万、4万、2万)。
この額が高いか安いかってのはありますが、世界1足が速いと7万ドルもらえるんですね。
テレビでみてるとそこのシビアさがあんまり感じられませんが、選手達はプライドのためだけじゃないからこそ、あれだけピリピリしてるんです。
実は、日本の大会でも格付けによっては賞金が設定されている
そもそも、なんで賞金を設定してるのか?ってとこでいえば、世界陸連(WA)の格付け(ラベリング)を受けるために賞金が設定されている!!っと言えます。
WAは大会に格付けをしているのですが、そのうちトップカテゴリーとなる『コンチネンタルツアー』(ゴールド、シルバー、ブロンズ、チャレンジャーの4ランクある)の格付け要件には「賞金額」があります。
そして、ゴールドラベルの大会では優勝賞金5000ドル以上!!8位までのトータルで1万5千ドルってのが条件になってます!
妙に金がかかるので2022年はゴールドラベルとなった大会は世界で9大会だけで、そのうちのひとつが日本で開催された「セイコーゴルデンGP」だったんです。その割に大会がショボイのは興行的な問題。
「セイコーゴルデンGP」にはなぜかコールマンやノーマンといった超有名選手が来ましたが、あれはちょっとしたお小遣い稼ぎなんですね。
ちなみに、アジアでコンチネンタルツアーになっている大会はほぼないため、日本はちょっと特殊っていうか、陸上人気が高い国と言えるのかも。
織田記念や静岡国際も賞金がでてる!
あんまり知らないと思いますが、織田記念や静岡国際なんかも「ブロンズ」の格付けを受けた大会です。そのため、実は1000ドルくらいの優勝賞金がちゃんと出てるんです(1000ドルが高いか安いかは一考の余地あり。)
格付けを受けて何かメリットあるのか?っていうと微妙なところですが、格付けが高い大会だとポイントが多く得られるため、世陸や五輪の出場に必要なポイントランキングを伸ばすことができたりするんです。
もちろん、格付けには賞金額以外にも決まりがあるのですが、日本の大会ってのはちゃんとしてるので他の要件はその気になればクリアできるんです。
ちなみに、多分誰も聞いたことないと思うけど、JMC(ジャパンマラソンチャンピオンシップ)シリーズってのがあって、これは2年で1シーズンとしてシリーズチャンピオンには600万の賞金が出ます。
「賞金レース」は日本陸上の未来を拓くかも?
今でこそ海外の試合に日本人選手が出ることも珍しくありませんが、20年くらい前はまだ実業団選手しかいなかったため、海外の試合に出る選手なんてほとんどいませんでした。
そこで出てきたのが為末さん。
海外からお金をもらって日本のレースに出る海外選手あってな…と、日当だけでそれに挑む日本人選手とでは待遇が違いすぎるってことで、為末さんのプロ化は当時かなり話題になったわけです。
実際に、エージェントをつけていろいろやっていたようですが、その後それに続く選手はあまりおらず、現在に至るまでそんなに陸上界が変わった感じはないかな…
しかし、ここにきて北口選手や三浦選手、あるいは戸邉選手らの活躍が!
「海外って言っても北口選手と戸邉選手はJALだからなぁ」ってのはありますが、日本人選手が実質的なプロとして海外で活躍すれば、国内でも「賞金レース」がはじまるかも?
実際、布施スプリントでは『クリヤマジャパン株式会社』がスポンサーとなり優勝30万円、2位10万円、3位5万円の賞金が設定されています!!
日本グランプリシリーズってのがあってな…
実は、日本にも賞金レースがあるんですよ。
その名も『日本グランプリシリーズ』です。知ってる?
以前記事にしたことがあるのでそちらも見てくれると話が早いです↓
(今はサトウ食品ではなくなりました…)
簡単に言えば、国内の主要大会の成績をポイント換算して総合優勝者を決めるっていうのがこれ。
種目別チャンピオンを決めるのはもちろんですが、ポイント換算しているので種目が違っても換算して順位をつけることができるそうです。
2021年まではシリーズチャンピオンに賞金があったんですが、22年はどうなんですかね?
現状の陸上人気(っていうか興行)だと賞金をペイするほどの宣伝効果はなさそうなのでなかなか難しい気がしますが、これから10年くらいすれば…っという期待はある。
まとめ~ダイヤモンドリーグはプロの賞金レース!~
今回は
ダイヤモンドリーグってなに?
をテーマにご紹介しました。
陸上をやっていてもその存在こそ知っていても、ダイヤモンドリーグが何なのかイマイチ知らない人も多いでしょう。
22年はパリ大会で北口選手が日本人初優勝を果たし、ファイナルには北口選手と三浦選手が出場するというけっこう歴史的な年だったんですよ。
かつては「ゴールデンリーグ」という名称で、実際に金塊を分け合うというブルジョアな大会だったものの、不況のあおりか「ダイヤモンド」になったこの大会。それでも各大会の優勝賞金は1万ドルというなかなか太っ腹な興行なんです!
全32種目で年間を通して世界を回って試合をし、13試合の成績上位者によって『ファイナル』で年間チャンピオンを決めるというDLは、五倫、世陸と並ぶ陸上の世界一決定戦!
陸上のプロが多くいる海外ではこいったショーレースというか賞金レースがけっこうあって、実は日本でも「セイコーGGP」をはじめ、国際陸連の格付けを受けた「コンチネンタルツアー」が開催されてるんです。
そういう大会には海外の有力選手がきたり、日本選手も上位を狙ってきたりするので見ている方も一段上の楽しみを得られる!
もしかすると、22年は日本の賞金レース元年になるかもしれなくて、日本人選手が海外で賞金を獲得することで、日本国内のレースも賞金が設定されてショーアップが進んでスポンサーがつくように…なんてことがあるかも!
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