【世界室内ベオグラード】3つの世界新!世陸イヤーは好記録ラッシュで幕開け

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3月18~20日の日程で2年に1度開催される『世界室内陸上』がセルビアのベオグラードで開催されました。
室内陸上は日本ではあまりなじみがないのですが、ヨーロッパは寒いので冬場の室内競技が結構盛んです。2022年は世界陸上イヤーとなるため有力選手も多くエントリーしており、東京五輪のメダリストも多数出場しました。

ってことで今回は
世界室内陸上ベオグラード大会をまとめ!!
についてご紹介します。

室内はカント(傾斜)のついた200mトラックとその内側に設けられた直線の60mで行われ、風の影響がないため跳躍では好記録が出やすく、特に棒高跳びと走高跳びでは毎回けっこういい記録が出ます。
今大会では3種目(男子60mH、女子三段跳び、男子棒高跳び)で室内世界新記録が誕生!!
東京からの好記録ラッシュはまだまだ続いていて世陸オレゴンにも期待がかかります。

 

 

60m

室内では100mではなく60mが開催されます。
短い距離で行われるためダッシュの強い選手が強い種目で、男子の世界記録はコールマンが18年にマークした6秒34という驚異的なもの。

男子60m

世陸ドーハ金のコールマンと東京五輪100mのヤコブスも出場し、オレゴンを占う前哨戦の様相を呈しました。ちなみにヤコブスはわりと後半型で50mからの伸びが特徴的な走りをする印象がありますが、大会前の60mPBは6秒47と記録的には世界歴代でもトップクラスです。今大会では6秒42のアジア記録をもつ蘇炳添は不参加。
日本からはスタートダッシュで世界トップレベルの力を持つ多田選手(PB6秒56)が出場。
多田選手は6秒57で予選3着に入り準決勝に進出したものの、準決勝でまさかのフライング…決勝進出はなりませんでした。

決勝では3レーンコールマン、4レーンブレイシー、5レーンヤコブスという並び。

超前半型のコールマンと後半型のヤコブスというイメージそのままに、スタートから30mまではコールマンが大きくリードしたのですが、ラスト10mくらいでヤコブスが大きく伸びで逆転してフィニッシュ!!
6秒41のPBをマークしてヤコブスが優勝、2着コールマン(6秒41着差あり)、3着ブレイシー(6秒44)で、それぞれが持ち味を発揮したレースとなったのですが、ドーピング検査の違反でブランクがあったコールマンに対してヤコブスが貫録を見せた結果となりました。
世陸の決勝でもおそらく同じような展開となると考えられますが、ここからの40mでヤコブスがさらに伸びることができるのか、あるいはコールマンが後半を鍛えてくるのかに注目です。

女子60m

ジャマイカからはシェリカ・ジャクソンと東京でリレーメンバーだったウィリアムスが出場となり大本命と言える選手は不在でした。
そのなかで世陸ドーハ200m3位、東京五輪100m6位、200m7位のカンブンジ(スイス)が世界歴代4位タイとなる6秒96の好記録で優勝!!
2010年以降では世界最高記録となる好記録です。

 

 

 

走り幅跳び

今大会はファールの判定が変わり、従来は粘土板に跡が残らなければ白旗だったもんがセンサーでの判定となっており、こればちょいちょい問題になる結果となりました。
これでファールですからねぇ…↓

まあ、ルールはルールですが、世陸ではまだ目視と粘土板のほうがいいかな?

男子走幅跳

順位 選手 記録
1 Miltiadis
TENTOGLOU
GRE 8m55
(×,8.55,×,8.26,-,8.51)
2 Thobias
MONTLER
SWE 8m38
(×,8.13,×,×,×,8.38)
3 Marquis
DENDY
USA 8m27
(×,7.69,×8.27,-,×,×)
4 Jarrion
LAWSON
USA 8m19
(×,7.99,×,8.19,,7.84,×,×)
5 Cheswill
JOHNSON
RSA 8m19
(8.02,×,×,6.91,8.14,8.02)
6 Emiliano
LASA
URU 7m99
(7.99,×,7.88,7.79,×,7.75)
7 SREESHANKAR IND 7m92
(7.58,7.90,7.92,7.21,7.83,7.84)
8 Lazar
ANIĆ
SRB 7m92
(7.47,7381,7.90,×,7.79,7.92)
9 Samory
FRAGA
BRA 7m87
(7.48,7.87,7.86)
10 Jose MANDROS
MARTINEZ
PER 7m81
(×,7.81,7.47)
11 Kristian
PULLI
FIN 7m76
(×,×,7.76)
12 Filippo
RANDAZZO
ITA 7m74
(7.74,5.74,×)
Yuki
HASHIOKA
JPN NM
Maykel MASSÓ CUB NM

東京五輪金メダルのテントグルー(ギリシャ)は1本目に8m後半まで跳んで屋外PBの8m60を超えたかと思われたものの、センサーが反応してファール。おそらく従来の目視判定であれば白旗だったと思われますが…
しかしテントグルーはこれにめげずに2本目にも大ジャンプをしてPBとなる8m55をマークしてこの記録で優勝となりました。

テントグルーは3本記録を残したのですが、8m55,8m26,8m51と非常にハイレベルで安定した跳躍を見せており、世界陸上では間違いなく優勝候補筆頭でしょう。
2位には8m37で東京五輪7位のモントレル(スウェーデン)が入りました。
日本からは橋岡選手が出場し、8mを越える跳躍をしてはいたものの3本ファールとなりベスト8には進めず競技終了となりました。また、東京五輪銅メダルだったマッソ(キューバ)も3ファーで記録なしでした。

女子走幅跳

女子は五輪3大会連続入賞(ロンドン8位、リオ3位、東京4位)のベテランであるイヴァーナ・スパノヴィッチ(セルビア)が7m06で優勝。
スパノヴィッチはヨーロッパ室内選手権で3連覇するなど欧州を代表する跳躍選手で、2017年に7m24の室内世界歴代3位の記録を出しています。
跳躍の特徴は股関節を前後に大きく使ったダイナミックなフォームで、力強い助走から駆け上るように踏み切り、その勢いのままダイナミックに1回転半シザースをして着地する選手のため、動きが小さくなりがちな人はスパノヴィッチを参考にすると力強い動きができるようになると思います。

力強くありながらも丁寧な動きで、非常にうまくまとまった跳躍です。
世陸オレゴンにもおそらくでてくるはずで、優勝候補の一人でメダルライン上にいるはずなので注目です。

 

 

三段跳び

女子三段跳

天才っぷりは世界歴代トップと思われるロハスが出場。
ロハスは東京五輪で15m67の世界新記録をマークしており、室内でも2020年に15m43の世界記録をだしています。
そのロハスが世界新記録更新となる15m74で優勝!!

2位のロマンチュクは14m74のため、ちょうど1mの差をつけて圧倒的しての優勝となりました。
これによって室内歴代パフォーマンストップ3はロハスが独占。屋内・屋外含めて15m50以上を跳んだ唯一の選手です。
現役では抜きんでて最強なので世陸でも間違いなく優勝でしょう。それどころか16mジャンプもあり得る!?

男子三段跳

ピチャルド(PB18m08),クレイ(PB18m14)の18mジャンパー2人にスコットマルティネスポントビアンヌといった世界大会入賞者が顔を揃えた男子三段跳び。
マルティネスが17m64の室内世界歴代16位タイの好記録をマークして優勝。

マルティネスはピチャルドの陰に隠れがちな選手ですが、1997年生まれでU18,U20のカテゴリーで実績がある若手の選手。
2014年(17歳)には17m24を跳んでU18の当時世界最高記録をマーク。これはU20でも歴代9位となる好記録。
おそらくこれから数年はトップレベルでの活躍があると思われます。最後のジャンプでシザースをする珍しい選手ですので覚えておくと世陸オレゴンでドヤ顔で解説できるかも?

 

 

男子棒高跳

注目はなんといってもデュプランティス(スウェーデン)です。
1999年11月生まれの22歳と若いのですが、2020年には6m15をマークしてブブカを越えて屋外世界記録保持者となっており、室内では13日前に同じベオグラードで6m19をクリアして自身の持つ世界記録を更新していました。
そのため、今大会では前人未踏の6m20への期待がかかっていました。
6m19の時の記事はこちら↓


正直、デュプランティスの力は大きく抜けていて、ほかの選手は6mに届かず競技を終えたにもかかわらずただ一人5m60,5m85,5m95,6m05を1発でクリア。余裕で優勝を決め、バーの高さを6m20へと上げました。
1回目2回目は体が浮かずにクリアランスまで持っていくことができず、さすがに20cmは難しいのか?っという跳躍のあと、3回目でついに…
バーにこそ触れるものの体はまだあと3cmくらいはクリアできそうな大きな跳躍で人類初の6m20のクリアとなりました。

この跳躍はやべぇ…

 

 

60mH

グラント・ホロウェイが登場。
ホロウェイは7秒29の室内世界記録保持者で屋外110mHでは12秒81の世界歴代2位の記録を持っています(世界記録は12秒80)。
ホロウェイの力はかなり圧倒的で、準決勝では1台目から大きくリードすると7秒29の世界タイ記録をマーク!!
決勝でも圧倒的な走りで7秒39をマークして優勝。

60mでこんなに差つくもんかね…!?

日本からは野本選手が出場して予選を突破!!
準決勝ではタイムで並んだキング(イギリス)との抽選の結果惜しくも決勝進出はなりませんでした。

女子400m

女子400mにはリオ・東京と五輪2連覇をしているショーナ・ミラーウィボ(バハマ)が登場。
また、400mHハードルで東京五輪3位にはいり52秒03の世界歴代3位(五輪前の7月なら世界記録)をマークしたフェムケ・ボル(オランダ)も出場して異種対決が実現しました。
室内ではトラックを2周するため外のレーンでは傾斜が強く、1周目のホームストレートからはオープンレーンとなります。


結果はショーナミラーがオープンレーンになる段階でトップに立つとそのまま50秒31でフィニッシュして優勝。
ボルは50秒57で2着となりました。

 

 

男子砲丸投げ

ライアン・クルーザー(アメリカ)とトーマス・ウォルシュ(ニュージーランド)という2強が出場。
力的にはこの2名が抜けていて、1本目でクルーザーが22m44(当時室内世界歴代位相当)、ウォルシュも1本目で22m29(当時世界歴代7位相当)を投げて好記録が出ました。
しかし、3本目世陸ドーハ4位、東京五輪4位のダーマン・ロマーニ(ブラジル)が22m82の室内世界歴代4位の記録をマークして逆転優勝!!
クルーザーとロマーニの2名が大会新記録の好勝負となりました。

 






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