<幅跳びのポイント>第1回:幅跳びで6m跳ぶ方法(踏切が大事編)

幅跳びのポイント

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管理人、現役時代は幅跳びが専門でした。で、7mジャンパーでした。
陸上競技の中でもメジャー種目のひとつであり、日本で育てば体育なんかで誰もが一度はやったことのある幅跳び。素人でも運動神経のいい中学生だと5mくらい跳べちゃう人もいます。
そして陸上部で幅跳びをやるなら越えておきたい大台の記録…
それが6m!!

ってことで今回は
第1回:幅跳びで6m跳ぶ方法(踏切が大事編)
ということで幅跳びで6m跳ぶ方法紹介していきます。これさえおさえておけばあなたも6mジャンパーの仲間入り!!
今回はスピードなんかよりまずは踏み切りが大事だよ!!っていうお話です。

 

 

幅跳びの大台であり目標の6m!!
6mは足が遅くても『踏み切りの基礎』を押さえれば跳べるゾ!

女子の場合は1m下げて5m跳ぶ方法だと思って下さい。
幅跳びにおいて、6mは最初の大台と言える記録で、多くの選手が目標とする距離でしょう。
管理人が高校のころは6mをコンスタントに跳べればとりあえず都道府県大会くらいまでは出られる感じでしたので、記録的にも成績的にも6mを跳べるかどうかは陸上選手としての大きな分かれ目となります。
6mという距離は才能があるひとにとってはちょっと練習すれば、あるいは最初から跳べる距離かもしれません。
しかし、普通の人にとってはそれなりにに練習したくらいでは届かない距離で、6mに達することなく引退して行く選手も珍しくはないのです。

ただ、管理人が言いたいことは…
6mは幅跳びの基本をキッチリ押えれば誰にでも到達できる距離ダ!!
ということです。足の速さなんていりません!!(多少はいるけど…)
足が遅くても、バネが人より強くなくても、ポイントをしっかりと押さえて練習をすれば6mを跳ぶことは夢ではありません!!

足が遅くても大丈夫!6mは技術だけあれば跳べる!!

今回の内容を今いちどハッキリさせておくと…
『踏み切り技術』だけあればスピードがなくても6mは跳べる!!
のです。
言い換えれば、足が遅くても踏み切りさえ上手にできれば6mは跳べます!!

『スピード』も幅跳びの重要な要素の一つであることは間違いありませんし、スピードがあった方が楽に6mを跳べます。
しかし、6mを跳ぶためにはスピードよりも踏み切りの方が大事です!!
むしろスピードを犠牲にしてでも踏み切り技術に注力した方が跳べるようになります。

『幅跳びの技術』が軽視されているからこそチャンスがある!!

幅跳びで6mが大台になっている最大の理由は…
6mを跳ぶための技術が出来ている人がほとんどいない!!
からです。
ほとんどの選手が技術が全くない状態で競技しているのが幅跳びの実態だと思います。

部活レベルだと先生やコーチが教えていることは総じて意味不明で、基本的な陸上の動きができていないのに『リズム』だとか『腕振り』だとかの枝葉の技術に偏重しがち。
また、コーチするような人はみんな足が速いので、ちょっとでも遅いと「スピードが弱点」ってなりがちで、そして行きつく先は『スピード強化』とか言いだします。
スピードは大事ですが、肝心の幅跳びの技術がおざなりになるのは本末転倒ですよ。
また、一概にコーチが悪いわけでもなくて、目でみて一目瞭然の『スピード』に対して、踏み切りの技術』は専門知識がないと判別出来ないため問題点が見過ごされてしまうことも多いでしょう

いずれにしても
幅跳びは『技術』が軽視され過ぎているというのが現状です。
スピードに偏重していて『踏み切って跳ぶ』という幅跳びの本質的なところがおろそかになってる。
これはしょうがないところもあるのですが、しょうがないですませていたら6mは跳べないので自分でなんとかしましょう。
いやむしろ、これはチャンス!!
技術さえ身につければライバル差を付けて勝てるので幅跳びは上位に入賞しやすい種目と言えるのです!

 

 

6m跳ぶための最重要ポイント!
幅跳びの『踏み切り技術』はここをおさえろ!!

で、ここからが本題
これだけやっておけば6m跳べるよ!!
っていう基本でありながら幅跳びで一番大事な『踏み切り技術』を紹介していきます。

内容としては、踏み切りの瞬間を3局面にわけて考えます
【第1局面】踏み切り足が接地する局面
【第2局面】体が踏み切り板の上にある局面
【第3局面】足が地面から離れる局面

踏み切りは一瞬の動作ですが、この一瞬でなにをするかによって記録は大きく変わります。
かなり専門的なのでちょっと難しいかもしれないけど、これだけがんばってやれば1年かからずに6m跳べるようになるはず!!

【第1局面】踏み切り足の接地

最初は踏み切り足が踏み切り板に接地する瞬間についてを考えます。

いわゆる接地局面のことで、ここがうまくできないと芋づる式に後のことも失敗します。
ポイントは…
①踏み切りではかかとから接地しよう!!
②膝は思いっきり伸ばして踏み切りに入ろう!!

①踏み切りではかかとから接地して『軸』を作ろう

踏み切りの接地にはいろいろなイメージがありますが、『かかとから足を置く』イメージで接地するようにしましょう。かかとから入れば自然と膝が伸びて1本の棒のように体が使えるはず。
最近はヒールストライクなんていう言葉も浸透しているのでかかと接地=ブレーキっと考える人もいますが…
幅跳びではつま先から接地すると膝が曲がってクッションしてしまうのでダメです!!
たしかにブレーキはかかるとは思いますが、踏み切りでは1歩でできるだけ大きな力をもらうことが大事。ブレーキを少なくする技術もありますが、それはかなり上級者編のテクニック。
まずは多少のブレーキは無視して『かかとから入る形』をしっかりと作れるようになりましょう。

かかとから入ると自然と体が足先から頭の先まで一直線の棒のようになると思いますが、この足・腰・頭を結んでできる1本の線が『軸』です。
軸ができていると踏み切り板を踏んだ反発が体の重心を通って頭の先に抜けるようになり、短い接地で体がポーンと浮き上がるような反発を使った跳躍になるはず。
この『反発を使った跳躍』の感覚がわかったら6mはもう目の前です。いやむしろすでに跳べるかも。

もし、かかとから入っているのに反発が感じられないと言う場合には軸が曲がって(折れて)いるはずです。真横からビデオを撮ってもらって一時停止で形を確認してみましょう。
接地の瞬間に腰が引けていたり頭が前に出てしまっていると軸ができずに『くの字』の姿勢になっているはず。これだと反発がどこかでクッションされてしまうので体が浮き上がることはありません。
まずは形として踏み切り板から腰を通って頭まで抜ける1本の軸をしっかりと作るようにしましょう。

ちなみに、スプリント動作ではつま先接地で走っているはずですので、踏み切りで急にかかとから入るのはけっこう難しいと思います。そんなときには踏み切り3歩前からのリズムをつくると簡単にかかとから入れるようになります。リズムの詳しいことは今回は省略しますが。
とにかく、踏み切りはかかとから入る!!これ大事。

②膝は伸ばして踏み切りに入ろう!!

かかとから入るのと同時に意識するのは…
踏み切りの瞬間に膝が曲がってはいけません!!
これ、非常に重要なのに教えてくれる人がほとんどいません。これさえできていれば6m跳べるといっても過言ではありません。
幅跳びで重要なのは伸脚バネを使う事で、いわゆるプライオメトリクスの動作です。

伸ばした膝関節が接地の衝撃で勝手に曲がり、腱の反射によってまた伸ばされるっという動作が伸脚バネ。
この『腱を使った伸脚バネ』は『筋肉を使った伸展バネ』の10倍くらいの強さがあるそうです。

なにそれ?だと思いますが…
要するに膝は曲げないで伸ばしっぱなしにした方が10倍跳べる!!ってこと。
沈み込んでジャーンプってやるのではなくて、一瞬でポンッって踏み切った方が強いバネが使えます。そのためには膝を伸ばさなきゃだめ。

 

 

 

【第2局面】遊脚が踏切足を追い越す瞬間

第2局面は後ろにあった足(遊脚)が踏切足を追い越す局面です。
この局面は最も踏み切り板に力がかかる瞬間で、反発力も一番かかってくる所ですのでうまく反発を受け止める動きを身に付けましょう。
ここで耐えきれずに潰れてしまうと跳躍全体も潰れます。

ポイントは…
①スイング(はさみ込み)を速く!!
②遊脚が遅れないようにタイミング良く前に出す!!
③膝を曲げるな!!

①スイングが遅れないように素早く意識

後ろ脚を前に持ってくることを『スイングス』といいます。そのまんまですが。
スプリントでも幅跳びでもスイングは速いほどいいのですが、特に幅跳びの場合はスイング足がそのままリードレッグとして前に振り出されるため、これが跳び出しの強さにも影響してきます。
ここではどういう意識でもいいのですが、「スイング」というよりも「はさみ込み」の意識の方がより素早い動きができるかも。
ダラーっと足を前に持ってくるのではなく、パッと素早く持ってくる意識が大事です。

②遊脚のタイミングは思ってるより早く!!

遊脚を前に持ってくるタイミングについてですが…
体が踏切板の上を通過するその瞬間には遊脚が体よりも前にあるようにしましょう!!
ピンとこないと思いますが、遊脚を前に出すタイミングは思っているよりワンテンポ早いタイミングです。
タイミングが遅れてしまうと、板からの反発が腰でクッションされてしまい弾み切れずに足が残るいわゆる「流れた跳躍」となり、潰れた印象の跳躍になってしまいます。
はやい話が、が流れないようにタイミングに注意しましょう!!っていうことです。
っというのも、ランニングと違って幅跳びの踏み切りは1歩しかないため、足がちょっと流れただけでも致命的。板からの反発を受けて体が上に弾むようなタイミングを探しましょう。

③膝を曲げずに反発を受け止めろ!!

この局面では大きな力がかかるので膝が耐えられずに曲がってしまいがちなので気を付けましょう!!
前述の通り、バネは膝を押し潰した反射ですので、多少は曲がってもそれが伸脚バネの範囲であれば問題はありません。しかし、大きく曲がりすぎてしまうとそれは潰れすぎ。反発が返ってくることはないですし大きなブレーキにもなってしまいます。
つまり、ここで膝が曲がりすぎてしまうと潰れた跳躍になって記録は出ません。
伸脚バネは腱の反射なので意識してどうこうするのは難しいのですが、膝は出来るだけ伸ばした状態で踏み切ることを心掛けましょう。
もちろん、膝が曲がらないようにするにはある程度の筋力も必要になってきます。前モモの筋肉を固めてしっかりと真下に踏み込む感覚で反発をもらえると良いと思います。
また、膝を伸ばす意識が強い下を向いてしまって腰が曲がりくの字の姿勢になって軸が崩れがち。踏み切りでは頭から足まで1本の軸を常にキープするように気を付けましょう!

 

 

【第3局面】跳び出しの瞬間

踏み切り後半の踏切板から足が離れて空中に飛び出す局面です。
この時、体は上に向かっていますので踏切板への下向きの力は急激に減っています。そして最終的には力が全部上向きになって跳び出します。
イメージ的にここで強く蹴り出した方が跳べそうな気がするかもしれませんが、ここでいくら頑張って蹴っても力は伝わりません。それどころか膝の伸展をつかってしまうと反発がもらえなくなるので記録も落ちます。
この局面では反発をロスなく受け止めて体がポーンと浮き上がるように意識しましょう。


ポイントは…
①ブロックを確実に!!
②踏み切り足を巻かないで!!

①ブロック動作はガチっと確実にやろう!!

幅跳びの跳び出しでは『ブロック動作』という専門的な技術があります。これができるかできないかで幅跳びの記録の半分が決まる!?
もしあなたが「踏み切ってすぐに着地しないといけないような感覚」があるのであればおそらくブロックの形が出来ていないと思われます。
だとしたら6m跳ぶためにやることは簡単。跳び出した瞬間のモモアゲのポーズをガチっと固めて崩さないままポーンと跳んで行くだけ
たったそれだけですが、ブロックをするだけで跳躍距離は飛躍的に伸びます

ブロックができていないと踏み切りの反発力が逃げてしまって体が浮き上がらずにすぐに着地姿勢に入るような跳躍になりがち。このような跳躍はスピード感は確かにあるので自称『スピード重視』の選手に多いので注意しましょう。
ブレーキの少ない踏み切りはたしかに大事ですが、それってかなりハイレベルな技術です。スピードを生かすことを重視するあまり、肝心の『跳び出し』が弱くなってしまっては幅跳び選手としてはダメ。
多くの選手がこの罠にはまっていて、6m跳べない選手の多くがブレーキを恐れるあまり踏み切りが弱くなりすぎています

ブロック動作は静止のため、ランニング動作からブロック動作に移ると大きなブレーキがかかるのは確かです。しかし、たとえブレーキがかかろうともブロックが出来るようになれば使える反発がケタ違いに増えるのでたぶん6mは簡単に跳べます!!
それくらいブロックは重要な技術。ブロックが出来るだけで跳躍の次元が飛躍的に進歩します

②踏み切った足は巻いちゃダメ!!

踏み切ったあとに踏み切り足を巻いてしまうと言う選手は非常に多いのですが、これはダメ!!
こんなやつ↓

この絵がダメな状態
多少巻いてくるのは仕方ないというかそういうものなんですが、巻くのは跳び出しが終わって着地姿勢に入る段階まで我慢しましょう!!
つまり、跳び出しではとにかくガチっとブロック動作をするのが大事。足が巻くということはブロックができていません。

どうしても巻いてしまうという選手はおそらく「踏み切り板を蹴る」意識が強すぎるのだ思われます。
高くジャンプしようとすれば人間ならだれしも地面を強く蹴ろうとするものなのですが、幅跳びでは「蹴る」のではなくて「弾む」のがコツです
実は、スプリントでも幅跳びでも、足が体の真下からより後ろにときにいくら頑張って力を加えようとして(蹴っても)地面に力は伝わりません。足が体の真下に来るタイミングでどれだけ強い力を発揮できたかどうかが大事。
足を巻いてしまうということは踏み切りで足の力で地面を蹴ろうとしているということで、これでは力が地面に伝わっていないので反発も使えません。
もっと「軸」が弾む感覚で、力を使っていないのに体がポーンと弾んで浮き上がるタイミングや力の入れ方を探しましょう。

『弾む』ためのアドバイスどうやったら『弾む』のかがわからないと言う人も多いでしょう。
そんなときはつま先を思いっきり持ち上げて走ってみましょう!!
つま先を上げるのは「トゥアップ」という方法で、不思議な事につま先を持ち上げるだけで地面を蹴らずに走れるようになります。
トゥアップすると自然と膝や足首が固定されて真下に踏むような走りになると思いますが、これが正解。
これは幅跳びのみならず陸上競技全ての基本となり、蹴るのではなく反発を使った走りをするためには必須な技術となります。
レベルが上がると末端は意識しない方が良くなってくるのですが、まずはトゥアップで反発を受ける感覚を身に付けましょう!

中学生なんかだとほとんど全ての選手が足を巻いていますので、足を巻かない跳躍をするだけ大会で勝てるようになると思います。

 

 

 

今回のまとめ

今回は、
幅跳びで6mを跳ぶためにはスピードよりも踏み切りを頑張れ!!
っというお話でした。

スピードはたしかに重要ではあるのですが、管理人の経験として大学時代に10秒台の選手に遊びで幅跳びをさせたことがありますが、6m以上跳べる選手ってほとんどいませんでした。
また、桐生選手が遊び半分で出た幅跳びで6m80しか跳べなかった(も跳べた?)という記録もあり、世界トップレベルのスピードがあったとしても踏み切り技術がなければ県大会の高校生程度しか跳べないのです。

ってことで…
幅跳びで6m跳びたいなら踏み切りが大事!!

それにもかかわらず、幅跳びでは『スピードが大事』と言う意見が根強く、これは踏み切り技術が軽視されているのが現状!!ということでもあります。
踏み切りのブレーキを抑えようとするあまり、そもそもちゃんと踏み切ることが出来ていないと言う選手が非常に多い!!
見方によってはこれはチャンスです。まわりがスピードが…ってやってるときに基本的な踏み切り技術を習得すればそれだけで県上位に入れる可能性が!!

とはいえ、助走が下手だと踏み切り準備動作もできませんので、いい踏み切りのためにはそれなりの助走技術は必要です。
ってことで
次回は6m跳ぶために最低限必要な助走技術についてご紹介します。






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