【レビュー】サイバーブレード17は『厚底入門』に最適!練習用にもおすすめなプレーンで走りやすいスパイクだ!

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『サイバーブレード』といえば言わずと知れたアシックスの超ロングセラースパイク。管理人が陸上を始めたころにはすでに存在していて、1回だけ(たぶん)プレートの変更があったもののそれ以外は小変更のみで20年くらい存続してきたシーラカンスのようなスパイクです。
そしてアシックスで最後の薄底スパイクとして残っていたサイバーブレードがついに厚底にモデルチェンジ!!そりゃ、買っちゃうよね!

ってことで今回は
【レビュー】厚底になったサイバーブレード17はめちゃくちゃ走りやすい!!
厚底入門に最適なスパイクで練習用にもすごくいい!
をテーマにご紹介。

発売間もなくでまだほぼ定価の時期ですが、買っちゃいました!ベルトタイプのサイバーブレードと、紐タイプのSPブレードがありますが、管理人は脱着性を重視してサイバーブレード派。

管理人も初めて履いた専用スパイクは先輩に借りたサイバーブレードだったはず。「なにこれ軽くてめちゃくちゃ走りやすい!」ってなった光景は今でもわりと記憶に残っています。
旧型は管理人も2回買っているお気に入りスパイクで、詳しいことはレビューを書いているのでそちらをご参照↓


今回も例によってめちゃくちゃ長いレビューになりましたが、書きたいことはだいたい詰め込んでます!!

 

旧型と比較しながら新サイバーブレードの詳細をみていこう!


画像:サイバーフィットをブラッシュアップして厚底化!!

まずは、外観や手に取ったり足を入れるとわかる部分からご紹介!
最初に厚底入門機としておすすめなことを紹介して、
①厚底(ミッドソール)
②プレートとピン配置
③アッパー
④重量

の順で新旧の違いと基本的な概要を見ていきます。これである程度はスパイクの性質もわかるはず。
走った感触については次の段落で詳しくやりますので、スっ飛ばす人は次の項目までジャンプ!

【厚底入門ならサイバーブレード】
「初心者のステップアップ」や「中級者向け」としての性能はさらに高まっている!


画像:エフォート(左)からサイバーブレード(右)の流れは新型でもそのまま!

サイバーブレードといえば「初心者のステップアップ」や「中級者向け」の代名詞的スパイクです。兼用スパイクから履き替える初めての専用スパイクとして多くの支持を受けています。高い屈曲性からくるコントロール性の高さやクッション性の高さによる足へのやさしさは、旧型の大きなメリットでした。
詳しいことはレビューを読み進めてほしいのですが、厚底になったサイバーブレードはさらに走りやすくなっていて、ステップアップ勢や筋力が弱い選手が履くのに旧型よりさらにおすすめできるようになっています!

「硬くなった」とか「厚底」っていうことで旧型の良さが消えていることを心配する人も多いと思いますが、安心してください。新型サイバーブレードは厚底スパイクのなかで一番走りやすくて足に優しくて、実際に履いてみるとちゃんと『サイバーブレード』になっています。兼用スパイクからのステップアップには引き続きサイバーブレードを選ぶのがベストで、足に優しくなったことでおすすめ度はさらに上がっていると思います。

新型は「薄底みたいで履きやすい」とは違って、しっかりと【厚底スパイク】の感覚を持ってます。それゆえにプレートの硬さもあるのですが、「厚底スパイクとして履きやすい」ように作られています。
今や『スプリントスパイク=厚底スパイク』の時代。アシックスの専用スパイクから薄底が消えたことで、「エフォートの次は何を履けば…」という状況になるかと思いきや、新型は厚底スパイク入門ならサイバーブレードっと言える性能にちゃんとなっています。
薄底専用スパイク入門なら旧型サイバーブレード。厚底専用スパイク入門なら新型サイバーブレード。時代によって形を変えてはいるものの、その枠のなかでサイバーブレードは『入門機』として最適な性能をもっています。

①【ミッドソール】
『厚底』は沈み込みが少なくて安定性重視


画像:形状は似てるけど反発材が挟み込まれた『厚底』に生まれ変わった!

今回のモデルチェンジで最も注目すべき点は、ソールが厚底になったことです。これにより、アシックスの短距離用専用スパイクから薄底モデルが姿を消すことになります…
これまでアシックスのラインナップでは『厚底入門』を中位モデルの「ジェットスプリント3」と「ソニックスプリントエリート3」が担ってきましたが、サイバーブレード17/SPブレード10の登場によりその役割はブレードシリーズに移ります。

サイバーブレード17のミッドソールには「FF BLAST PLUS」が採用されていて、厚底だけどあんまり潰れない(沈み込みが少ない)ので安定感はかなり高いです。初めての厚底スパイクとして手に取りやすいように扱いやすさを重視して設計されていることが伺える履き心地で、厚底入門としては最適だと思います。
アシックスにはもっと反発重視の「FF BLAST TURBO」があったり、一番反発が必要であろう跳躍用のソニックスカイプロには無印の「FF BLAST」が使われていますが、正直言って何が違うのかはわからん。厚底なら全部TURBOにしろよ!と思うけどあるものを履くしかない。研究者がそれが良いっていうんだからいいはず。

前足部は他の厚底スパイクに比べると薄めで、おそらくこれは厚さを抑えることで屈曲を妨げないようにしているのかな?それもあって、厚底スパイク特有の『バウンド感』は薄く、反発は控えめで走りやすい印象。
実際に履いてみて一番『厚底』を感じるのは後列ピン付近(中足部)で、多少のバウンドはありつつも沈み込みが少なくプレートの硬さと傾斜で推進していく感触。近いのはアディダスの厚底フィネスで、それを安定性に振ったような走り心地です。(詳しいことは後述!)

かかとのクッション感は健在!安定感が高いからハードルにも良さそう


画像:かかとのクッションの感じは旧型とだいたい一緒。
 
アッパー形状は後で触れるので、まずはかかとのクッションに注目。旧型と比較すると当然ながらソール全体の厚みが増しているのですが、旧型でもかかとにはクッションが入っていたのでかかとを着いた時の感触は新型も旧型もあまり変わりません。
新型でも引き続きかかとが接地したときのグラつきが少ないため、ロングスプリントの後半で接地が雑になった時や、筋力が弱い選手が履いても安定した走りができると思います。これならハードル種目で旧型を使用していた選手が新型に履き替えても同じような安定感で走れるはず!
他の厚底スパイクは前足部にしか反発材が入っていなかったりして、そもそもかかとを着くことを想定していないのですが、兼用スパイクからステップアップするような使い方ならやっぱりサイバーブレードのかかとの安定感はメリットになると思います。
っていうか、そういうステップアップ層のために安定性を高くしているんだと思います。

それなりに走れる人であればショートスプリントなら最後までかかとを着かずに走ったほうが速いはずなので、中~上級者でこのスパイクの性能が一番生きるのは旧型と同じくロングスプリントかと思いますね。後述しますが、外した時でもちゃんと進んでくれる安定性の高さはさすがです。
また、ゴール後でブレーキをかけたときにもかなり安定していて、スパイクに変な力をかけずに止まれる感じがするし足にも優しそう。

②【プレート】
厚底らしくかなり硬くなった!!


画像:基本的な構造は継承しつつ、現代的にアップデート!

管理人が旧型との違いを最も感じたのは屈曲性です。つまり、新型はかなり硬くなりました!!プレートというかミッドソールの厚みによって曲がりずらくなっているところもあるとは思いますが、とにかく屈曲は硬くなっています。
旧型は屈曲性が非常に高いのが特徴で、足裏に吸い付くような、いわゆる「裸足感覚」のあるスパイクでした。屈曲性が高いので地面にパワーを伝える感触が掴みやすく、この特性が未熟な選手の技術向上に大きく貢献していたし、それこそがサイバー/SPブレードを履くメリットだったと思います。

一方、新型のプレートは旧型とは全くの別物と言えるほど硬くなっています!
実際にグニグニやってみたのがこちら↓

みてわかる通り、屈曲は完全に別モノです。だから良いとか悪いってのは置いといて、別モノになっているというのは事実。

手で曲げられるので【厚底スプリントスパイク】の枠の中では柔らかい部類ではありますが、新型で走って屈曲を感じることはほぼありません。スタートで強い前傾がかかっているときなんかに他の厚底よりもちょっと踏みやすい程度の屈曲感かと思います。厚底の恩恵でクッション性が高いので走っていて「硬い」と感じることはないものの、旧型で感じるようなグニャっとした感覚は一切ないし、薄底の感覚でいえば別次元の硬さです。
走った感覚について詳しいことは後述しますが、プレートを踏んで推進力を得ている感覚は他の厚底スパイクと共通するもので、その感覚の中での扱いやすさが新型のプレートの特徴。まさに「厚底入門」と言える特性のプレートに変わっています。

プレートのデザインとしては旧型の中足部には梯子型の構造物があり、全体に横方向の補強バーが多く使われていました。新型でもごちゃごちゃ感は残っているものの、横方向のバーがなくなり、その代わりにプレート全体に三角形の凹凸(これで剛性を出しているのでかな?)が配置されていて、無駄が省かれた印象です。中足部の立体的な縦溝は旧型から引き続き採用されていることで中足部はより硬く、スピードを出したときでも剛性感が高く、旧型よりもスピードは出しやすくなったと思います。

ピン配置はオーソドックスな2-2-4


画像:後列4本は同じながら、新型のピン配置は一般的な配置になった!

新型プレートではピン配置も見直されました。
旧型は固定ピンを組み合わせていて、設計が古いためつま先には「バイパーピン」(知ってる??)が取り付け可能な昔のアシックス特有の独特なピン配置でした。(最後の瞬間まで地面を押せるようにつま先までピンがあるんです。)
新型はメタスピードSPに準じた(SPは後列3本なので厳密にはソニックスカイプロと同じ)2-2-4のオーソドックスなピン配置に変更されていて、「ピンの抜き差しが抵抗になる!」っていう現代的な思想が反映されてのことでしょう。母指球で踏む感じは残っているものの、点ではなく面で捉える系のピン配置です。

後列ピンがグっと地面を掴む高い力感は旧型から引き続き感じられて、それでいて接地後期でヌケが良くなっているので足離れは間違いなく新型の方が良くなっています。2-2-4はnikeのスーパーフライエリート2などでも採用されているピン配置で、管理人も力がかけやすいからこの後列4本がお気に入り。
また、プレート自体が硬くなっているためか、管理人が旧型で気になっていた「ピンの突き上げ」は全くなくなり、どこにもストレスを感じない非常にプレーンな走り心地になりました。短ダッシュからロングスプリントまで、どうやって走っても『普通』に走れて汎用性の高さは健在です。むしろ汎用性はさらに高くなったと思います。

③【アッパー】
ベルトが改良されてフィット感はかなり良くなった!

画像:上段ベルトにスリーブ状のベロがついてフィット感は劇的に向上!

サイバーブレード最大の特徴は、【サイバーフィット】と呼ばれるベルトフィッティングが採用されていることです。(他のサイバーシリーズについては旧型のレビューで触れているので今回は省略。)
一見すると旧型と同じように見えるベルトタイプのアッパーですが、新型には大きな改良ポイントが2つあって…
・上段ベルトにスリーブ状のベロがついた。
・中段ベルトの取り付け方向が逆になった。
この改良によって新型ではベルトフィッティング特有の圧迫感がかなり緩和されているので、これまで「フィット感が悪い」とベルトタイプを避けていた人でも問題なく履けるようになったかもしれません。ガッチリ感は薄いけど、反発に対しては十分な強度だと思います。

メッシュ生地が新型のTPUメッシュになったというのも変更点としてはありますが、それは別にどうでもいいかな…肉抜きアッパーだし。

スリーブの感触はかなりイイ!だけど重くなってない?


画像:靴底から生えた伸縮性のあるベロがグルっと足を包み込む!

旧型を使っている管理人が感じる新型のアッパーの最も大きく変わった点は上段ベルトに大きなベロがついたことです。これはもう明らかに効果があってフィット感が劇的に良くなってる!

新型ではロングジャンププロ3に採用されていた「モノソックデザイン」やアディダスのアンビションのベロと同じような、靴底からつながった伸縮性のあるスリーブが上段ベルトと一体になっています。旧型はT型の細い帯を引っ張るだけでスカスカだった上段ベルトですが、新型では足を入れるとこのスリーブが中足部をぐるっと包み込んでくれるため、ベルトを無理にきつく締めつけなくても十分なフィット感が得られるようになりました。
旧型より足を入れずらくはなっているので、サイバーフィットのメリットである『5秒で履ける!』が若干損なわれていますが、8秒あれば履けると思います。

このスリーブによって間違いなくフィット感は向上しています。ただ、アッパーが2重になってるのは重量的に不利なんじゃない!?ってのは思う。
アシックスではサイバーブレードに限らず、LJプロ3のモノソックデザインもHL-メッシュについてたダイナラップでもアッパーが2重構造になっちゃってたんだけど、2重にするんなら外側はアディダスみたいな弱くて軽いメッシュで良いような気がします…
まあ、1gとか2gの違いなんだろうし靴下の方が重そうだけど。

中段ベルトの取り付け方向が逆になって、強く締められるようになった!


画像:旧型は強く締めると痛いんだ!!

中段ベルトもDカンの取り付け位置が逆向きに変更されていて、新型では内側から生えたベルトを外側のDカンを通して引っ張り上げる構造になりました。これは地味にかなり嬉しい改良ポイントで、旧型はギューっと締めるとDカンが土踏まずに食い込んで走りずらいっていうか痛くなっちゃうんです。だから緩めで履く必要があって、そのせいでフィット感が悪かった。
新型ではギューっと強く締めても問題なくなったので、より強くフィッティングさせることができるようになりました。ちなみに、この中段ベルトの向きは初代のサイバーゼロと同じです。

かかとが高くなった!ヒールカップはなんかゆるめ?


画像:かかとの形状が結構変わっていて、壁が高くなった!

アシックスはどのスパイクもでっかいヒールカップがあってそれがかかとにカポっとはまるようになっているのですが、サイバーブレード17にもガッチリめのヒールカップが入っています。が、旧型と比べるとヒールカップ自体はなんかゆるくなったかも?あんまり変わらない気もしますが、カポって感じが微妙に和らいだ気がします。その代わり、かかとの壁がかなり高く変わっていて、ナイキのように摩擦でかかとをはめている感じが強くなりました。
そのせいか管理人のかかとには靴擦れが…いろんなスパイクを履いていても靴擦れなんかめったにしないんですけど、久しぶりに皮がむけました。
良くも悪くも、新型はベルトのデメリットであるフィット感についてかなり色々と考えて作っているようです。

④【重量】
実測で195g!旧型から約30g重くなった!


画像:旧型が167gだったので28gアップ。ポテチ1枚が約2gなのでポテチ14枚分重くなっています。

参考までに、管理人の他のスパイクのサイズ感と重量はこちら↓

メーカー モデル サイズ サイズ感 実測重量

アディダス
フィネス(厚底) 28.0 ジャスト 189g
アンビション(厚底) 28.5 ちょいゆる 178g
アクセラレータ 28.0 ジャスト 182g 
アディゼロLJ 28.0 ちょいゆる 250g
アシックス

メタスプリント 28.5 ゆるい 144g
ジェットスプリント2 28.5 ジャスト 154g
サイバーブレード(薄底) 28.0 ジャスト 167g
サイバーブレード(厚底) 28.0 ジャスト 195g
LJプロ3 28.5 ちょいキツ 245g
ソニックスカイプロ(厚底) 28.0 ジャスト 235g

ミズノ
クロノインクス9 28.0 ジャスト 164g
Xブラストネオ(厚底) 28.0 ジャスト 194g
Xレーザーエリート2 28.0 ジャスト 170g

ナイキ

マックスフライ2(厚底) 28.0 ジャスト 193g
ドラゴンフライ(厚底) 28.0 ジャスト 145g
ビクトリー(厚底) 28.0 ジャスト 143g
スーパーフライエリート2 28.5 ゆるい 170g
JAフライ3 28.0 キツい 160g

ミッドソールの「FF BLAST PLUS」が軽量性をどの程度重視しているものかわからないのですが、厚底スパイクとしてはギリ一般的な重量に収まっていると言えます。(肉抜きアッパーの見た目からすると思ったより重い?)
ただ、実測値でほぼ同じのマックスフライ2は反発が強いので走ると実重量よりも軽く感じるのですが、サイバーブレード17は反発が強くないので重量なりの重さを感じます。
旧型は兼用スパイク(エフォート)から履き替えると明らかに軽くてそれだけで「足が勝手に回っちゃうぅぅ!」っていう感じが得られたし、軽さゆえに足運びがしやすかったのですが、新型ではそういう感動は得られないと思いますね。まあこれは厚底化の宿命です。
管理人としてはデメリットに感じるほどの重さではないものの、速い選手になるほど重量がネックになるかもしれません。

新型のアッパーになって「軽量感」は薄れたかも…?


画像:旧型はスカスカで軽量感があったけど、新型でそれは感じない。

新型のアッパーは、上段ベルトに付いているスリーブの包み込みによるフィット感の向上が特に大きなトピックだと思います。これによってフィット感は間違いなく向上しています。
しかし…旧型にあった「足裏にプレートがくっ付いているだけ!」みたいな軽量感はなくなっちゃった!!

実測で約30g重くなってるから当然ではありますが、スッカスカだったアッパーがガッチリしたことでアッパーの存在感が増して軽量感は薄れています。なんていうか、ベルトフィットの個性が薄れて普通のスパイクになっちゃった感じがします。
新旧でアッパー自体の重さがどれだけ変わったのかはわかりませんが、新型はほぼ普通のシューズです。

 

 

 

ってことでここまでが概要紹介でした!!
ここからは管理人が実際に履いた感触をレビューしていきます!!

 

【実走レビュー】
サイバーブレード17は反発が弱いけど走りやすいさはピカイチ!
練習用としては最高だと思う


画像:実際に走るとかなり走りやすい!これはいいぞぉ…

プレートの項目で紹介したように、新型はかなり硬くなって旧型のような柔軟性はなくなってしまいました。
厚底時代になってもあえて薄型のブレードを選ぶ人がいたのにはそれなりの理由があったはずですが、新型が厚く硬くなってしまったことで『サイバーブレード』の良さは消えてしまったのか…!?

…大丈夫だ!
『地面に力を伝える感触がわかりやすい』というアイデンティティーは残っていて、新型は厚底なりにちゃんと「サイバーブレード」だぞ!

新旧でサイバーブレードは完全に別モノになっています。でも、概念としての『サイバーブレード』は変わっていない!厚底化によって柔軟性が消えたことは間違いなくて、それに伴って旧型にあった地面に吸い付くような感触や、スタートで地面をグリップしてグイグイ押し進む感触は薄くなりました。でも、厚底になったサイバーブレードは厚底時スパイクとしての『扱いやすさ』をもったかなり走りやすいスパイクになっています。
ここからのレビューを見てもらえれば「硬くなったけどこれはこれで良いか!」っと思えるはず。思えなかったら今のうちに旧型を買っておきましょう。

サイバーブレード17はプレーンでめちゃくちゃ走りやすい!「扱いやすさ」は群を抜いてる!

まず、サイバーブレード17がどういう感触のスパイクか?っていうところからいうと…
サイバーブレード17の扱いやすさはピカイチです!!
管理人は数十足のスパイクを持っているんですが、そのなかでもサイバーブレード17は一番走りやすいと思っています。旧型は汎用性の高さがメリットでしたが、新型の扱いやすさはそれを上回っていて、汎用性については新型の方がワンランク高いと感じています。
硬く厚くなったので感触が大きく変わったのは間違いないのですが、それによって新型は【厚底スパイク】の中でのサイバーブレード的ポジションにちゃんと入り込みました。もしあなたが旧型に存在意義を感じていたのであれば、新型もうまいこと解釈して同じように意義を見出せるはず。

大事なことなのでさらに言うと、旧型に良さを感じていた選手が新型サイバーブレードに履き替えても後悔はしないはず!!それだけの汎用性の高さを持っています。別モノになってはいるものの、迷うなら買っていいと思います。
唯一、ミスマッチがあるとすれば「反発が欲しい」と思っている場合で、硬くなってもサイバーブレードの反発は相対的に弱いです。反発が欲しければ似たような感覚でもっと高反発な『フィネス』を買った方が幸せになれるはず。サイバーブレードは旧型から変わらず反発で走るスパイクではなく、バランスの良さでタイムを出すスパイクだと思います。

『厚底化』によるメリットは硬くても扱いやすいこと


画像:プレートは硬くなった。だけど『扱いやすさ』はむしろレベルアップした!

サイバーブレード17は新しいだけあってすごくよく出来てる。初代マックスフライ登場から約5年間蓄積された『厚底』の知見が反映されたスパイクになっていると思います。
管理人はフィネスが厚底になった時に気付いたのですが、厚底だと柔らかくて足にも優しいのでより硬いプレートを使うことができます。
薄底だと『硬いプレート=上級者向け』という図式が成り立っていたのですが、厚底だと不思議なことに硬くてもダメージや扱いにくさを感じにくくなるため、同じ感覚でもより硬いプレートを扱えます。それゆえに厚底は薄底よりもプレートが硬くなりがちで、結果的に最近のスパイクはどれも超高反発になりました。

っと管理人は思っています。

そしてこの話がサイバーブレードは硬くなったけど問題ない!っていう話に繋がります…

旧型の走りやすさが柔らかいプレートに由来していたのは間違いなくて、旧サイバーブレードを履いていた選手の多くがその『扱いやすさ』に良さを感じて選んでいたと思います。ただそれは、旧型が薄底スパイクだったから。
新型はプレートが硬くなっても『扱いやすさ』は旧型から変わっていません。それどころか、旧型よりも足に優しくなったのでさらに走りやすくなっています。
なぜなら新型は【厚底】だから。新型はプレートがただ硬くなったわけではなくて、厚みを増したミッドソールに対してバランスのいい硬さのプレートになったという風に見るのが良いと思います。アシックスはすごい。

走り心地はとにかくプレーン。全くクセがなくて安定感が非常に高い!


画像:後列4本ピンの安定感はすごい。

サイバーブレード17を購入後すぐに、短ダッシュ、100m、200m、400mを試してみました。さらに、かかとで接地してみたり、ドフラットで踏んでみたり、思いっきりフォアで踏んでみたり、足を流してみたりと思いつく限り色々な走り方を試してみたのですが、サイバーブレード17の走り心地はものすごくプレーンでクセが全くないと言っていいと思います。

特に感じるのは安定性の高さです。後列ピンで地面を掴んでパワーを加える感触が分かりやすく、どんな走り方をしてもコントロール性が高くて、ちゃんと地面に力を加えることができます。だからこそ、クセに感じるようなグラっとしたところがない。

スプリントスパイクはだいたい何かしらクセがあって、『反発のスイートスポット』があります。例えばマックスフライのエアを潰す感覚や、アディダスのフォアで踏む感覚がそうなんですが、スイートスポットを外しやすいピーキーなスパイクほどハマればタイムが出たりします。
そんななかにあって、サイバーブレードはどうやって走っても外れることがない!どんなときでも後列ピンがしっかりグリップしていて強く踏める感覚があります。ただし、一発を感じさせる強烈な反発もないですが。

旧型に比べて硬くなってはいるので、特性は厚底らしくそれなりに変わってはいます。例えばスタート局面では他の厚底スパイクがそうであるように、レスポンスが早いがゆえに踏み込みが甘くなって上に浮きがちです。厚底の中では柔らかいので踏み込みやすくはあるものの、ロケットスタートを目指すなら薄底も含めて検討しても良いかもしれません。

 

欠点は『反発が弱い』こと。十分だけど物足りない


画像:反発力は10段階中6くらいな感じ。十分ではあるけど強くはない。

欠点を挙げるとすれば反発の弱さで、他の厚底スパイクと比べるとサイバーブレード17の反発はまあまあ弱いです。
プレートはそれなりに硬いものの、反発力はそれほど大きくはないので、中間疾走では少しだけ物足りなさを感じます。トップスピード付近ではもうひと押し、ふた押しが欲しいところです。

硬さなりに反発はあるので多くの選手にとってはこれだけの反発があれば十分ではあると思いますが、もっと高反発なスパイクがいくらでも手に入る現代に、わざわざ反発の弱いサイバーブレード17を試合用の1足として選ぶか?ってなると迷う人も多いでしょう。管理人も反発の弱さを理由に試合用にはしないつもりです。1発を狙うならやっぱりマックスフライやフィネスを使いたい。
また、反発材によるバウンド感はほとんどないので、薄底から履き替えても「厚底ってこんなものかぁ…」とがっかりするかもしれません。ポニンという反発感が欲しければ、ジェットスプリント3の方が良いでしょう。

だからこそ、『走りやすさ』、『扱いやすさ』というサイバーブレード17の長所も考慮して、自分がどんなスパイクを求めているのかをちゃんと考えた方が良いです。サイバーブレード17はこれはこれでイイスパイクですが、反発を求めるなら別の選択肢がある。

ただ、サイバーブレード17でも【厚底スプリントスパイク】としてそれなりの反発はあるので、11秒前半の選手が履いても腰砕けになることはないはずです。マックスフライのような超高反発厚底スパイクに慣れてしまっていると「なんか普通だなぁ」と感じますが、エフォートから履き替えたらめちゃくちゃ進むと思います。また、反発力は『扱いやすさ』とトレードオフなもので、その点でいうとサイバーブレード17は扱いやすい割には反発がしっかりあると言えると思います。

重心移動はあんまり感じない。後列ピンで踏んでる感触

サイバーブレード17は傾斜と硬さを感じる走り心地(後述)で、足裏を転がして走る感覚は薄いです。これはアディダスに通じるものがあって、マックスフライ2やミズノのXシリーズにあるような『重心移動』はほとんど感じられません。
優しく接地して足裏を転がしていくような接地感ではなくて、後列ピンのあたりあるいはもっとフォア気味に接地をして、前足部は面としてとらえてグリップを生かしてグっと押していくような走りが合うスパイクだと思います。傾斜はそれほど強くないのでフラットでも全然走れるものの、どちらかと言えばフォアなスパイクかと思います。
アディダスとの違いは、サイバーブレード17は後列ピンで踏んでいる感触があって、反発で推進するっていうよりもしっかりと地面に力を加えて走る感覚が強いこと。その分ブレが少ないので走りやすいです。

クッション性はかなり高い!足に優しいから練習に最適

画像:厚底だから足に優しい。

管理人が反発が弱くて試合で使わないであろうサイバーブレード17を買った一番の理由は「練習用に良さそう」だからです。実際、厚底時代の練習機としてこれ以上のものはないと思います。全員練習用に1足持っていて損はない!

厚底最大のメリットと言えるのがクッション性の高さで、サイバーブレード17はかなり足に優しいスパイクになっています。プレートもカーボンではないので足への衝撃はかなりマイルドで、練習でガンガン使うならこれはかなりイイと思います。
厚底特有の股関節やハムへの負担はそれなりにあるものの、特にふくらはぎや足裏へのダメージが少ない印象があって、筋力が弱い選手が履いても衝撃に負けにくいはず。

ミッドソールに使われている『FF BLAST PLUS』は管理人の履いているマジックスピード2(ランシュー)のソールに使われているものと同じ反発材で、踏んだ感触としては沈み込みが小さくて安定性が高い印象です。プラスのつかない『FF BLAST』が使われている幅跳び用のソニックスカイプロはもっとグニュっと潰れる感触があって左右のグラつきが多少あるのですが、それと比較するとサイバーブレード17の安定感はかなり高く、コーナーをたくさん走っても足首に優しそう。

そしてなにより、8秒で脱着できるから練習で使うならサイバーブレードは最高だよ!
管理人は練習中はセット間で紐を緩めるのでサイバーフィットの脱着性の良さはかなり嬉しくて、そのために買ったと言っても過言ではない。練習ではフィット感より脱着性が優先!!

フィネスと似てる!『傾斜と硬さで走るタイプ』でフィネスを安定性に振った感じ


画像:プレートの形状はフィネスと似てる!走った感覚も似てるぞ!

管理人お気に入りのスパイクに『アディゼロフィネス』ってのがあります。フィネスの特徴を超ザックリ言うと、プレートの硬さを生かして強い傾斜でグイグイ押し出して進む感覚のスパイクです。
詳しくはレビューで…


で、フィネスをもっと柔らかくして傾斜を緩くしてピンを増やしたらサイバーブレード17になります!(ならない)

サイバーブレード17は『プレートの硬さと傾斜で走る系のスパイク』になっていて、後列ピンのあたりを軸(カクンてするライン)にして重心がこれより前足部側に行くとプレートの傾斜と硬さによってかかとが押されて推進力を得られるようになっています。反発材を潰してバウンドする感覚はほとんどなくて、早いレスポンスでプレートの硬さによって走る感覚。
これはフィネスとかなり似ていて(っていうかほぼ一緒で)、サイバーブレードを履いて走った最初の印象は「マイルドになったフィネス」でした。ただ、サイバーブレードはどこで踏んでも進むからフィネスより走りやすいものの、ここを踏めば反発するよ!っていうポイントがないので反発感は弱いです。

実際に履き比べると、サイバーブレードは硬くなったとはいえフィネスに比べるとかなり柔らかいです。サイバーブレードの方が足裏へのダメージはかなり少なと思います。その分反発感も弱いので、スパイクに何を求めるのかによってどちらが合うのかは変わってくるでしょう。
練習ではサイバーブレード、試合ではフィネスっていう履き分けはかなりおすすめできますね。
感覚は似ていても、性能を反発性に振ったのがフィネスで、安定性に振ったのがサイバーブレードという感じで、高校生の男子が100mで使うならたぶんフィネスの方がタイムが出るとは思うのですが、筋力が弱い選手やロングスプリントだとサイバーブレードの方が速く走れるかもしれません。

 

【まとめ】
サイバーブレード17は厚底スパイク入門として最適!
フィネス的な厚底感で、走りやすさは群を抜いて良い!!

今回は、厚底になったサイバーブレード17のレビューをご紹介しました。
アシックス最後の薄底スパイクで、その柔軟性からくる扱いやすさに定評があったサイバーブレードがいよいよ厚底化。プレートが硬くなったことで「ステップアップのスパイクはどうすれば…?」っという不安もありました。でも大丈夫、新型サイバーブレードはさらに走りやすくなって、【厚底スパイク入門】としてかなり良くできたスパイクになっています!

サイバーブレード17はプレートが硬くなっても走りやすさは健在で、どんな使い方でもプレーンで力をかけやすく、その高い安定性が特徴です。さらに旧型の欠点であったフィット感の悪さはベルト構造の改良によってかなり改善していて、これまでフィット感を理由にSPブレードを選んでいた選手でも、脱着性の良いサイバーブレードを履けるようになったかもしれません。
厚底スパイクとしては相対的に『反発性』が低いものの、トータルバランスが良いので、筋力が弱い選手やロングスプリントでは高反発スパイクよりも良い記録が出せると思います。
走った感覚はアディダスのフィネスに近く、『硬さと傾斜で走るタイプのスパイク』という印象で、踏み込めばプレートが押し出してくれるので楽に推進力を得ることができます。厚底的なバウンド感は感じず、クセがないこともサイバーブレードの特徴でしょう。

サイバーブレード17は薄底っぽい厚底ではなく、【厚底スパイク】の感触がしっかりあります。
厚底の特徴をマイルドにして備えたベーシックなスパイクとして、
スプリントスパイク=厚底の現代においては『中級者向け』や『兼用スパイクからのステップアップ』としてのサイバーブレードのおすすめ度合いがさらに高くなったと思います。厚底入門機としてこれ以上のものは他にはない!!

ってことで、サイバーブレード17は買って損なし!!

100m10秒台の試合用ならもっと反発が欲しくなるかもしれませんが、ステップアップ勢、ロングスプリンター、練習用など様々なシチュエーションでベストなスパイクになると思います。SPブレードも似たようなもんでしょう。

高反発なスパイクを試合用に温存して、練習用にもう一足買うなら間違いなくこれよ。






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