【幅跳び】~①構造の違い編~ナイキvsアディダスvsアシックスvsミズノ 幅スパを並べて比較!

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Twitterもありまぁす↓

幅跳びを専門にするなら必要なのが幅跳び用のスパイク【通称:幅スパ】です。幅スパはプレートが硬くて高反発なだけでなく、短距離用と比べると安定感が高く、踏み切り板に力を加えやすい構造をしてるため、初めて幅スパを履くとその跳びやすさに感動することでしょう。
幅スパは各メーカーが1モデルずつラインナップしているため、習熟度などに関係なく「どのメーカーにするか?」で選ぶことになりますが…結局どのスパイクがいいんでしょうかね?

ってことで今回は
【幅跳び】ナイキ・アディダス・アシックス・ミズノの幅跳びスパイクを比較!
その1~構造の違いを比べてみた編~

をテーマにご紹介。
長いので2回に分けて、各メーカーのスパイクを比較していきます。

  • 第1回(今ココ):~構造の違いを比べてみた編~
  • 第2回:~実際に使って違いを比べてみた編(仮)~

1回目の今回は各モデルを並べて構造的な違いとそれに伴う違いを中心にみていきます。2回目では実際に跳躍で使ってみてその違いをレビュー形式でみていきます。

2025年秋の執筆時点の各メーカーのラインナップは
ナイキ:エアズームLJエリート
アディダス:アディゼロLJ
アシックス:ソニックスカイプロ
ミズノ:フィールドジオLJ JAPAN
プーマ:エヴォスピードLJニトロ2


管理人はこのうちプーマ以外の4つが手元にあるのです…
スパイクって普通は買ったら1年は使い続けるので、いろんなスパイクを比べらる機会ってあんまりないですよね。短距離スパイクなら友達にちょっと借りてみたりってこともあるでしょうが、幅スパだと試せる機会もそう多くはないはず。そこで管理人です。ブログのパワーでいろんなスパイクを履いてみてその特徴や違いをご紹介!

今回は、各メーカーの幅スパを集めてそれぞれどこがどう違うのかを比べてみよう!という企画です。ただし、プーマはいません。なぜなら値段が高いから。

それぞれのスパイクについては詳しいレビューについては別記事で書いています(執筆中多し)ので、個別の細かいことはそちらをご覧ください。
・エアズームLJエリート:執筆中!
・アディゼロLJ:現行型は執筆中!ほぼ変わらない旧モデルはこちら↓

・ソニックスカイプロ
・フィールドジオLJ-C:執筆中!ほぼ変わらない旧モデル(LJ-B)はこちら

また、幅スパレビューは他にもアシックスの旧モデル「LJプロ3」、ナイキの旧モデル「ズームLJ4」の記事もあるのでそちらもどうぞ↓

 

 

幅跳び用スパイクを比較!プーマ以外が集結


画像:今回比較する4モデル!みんな違ってみんなイイ

今回用意したのは画像の4モデル。プーマ以外の日本で主に流通している大手メーカーの現行モデル(執筆:2025年秋時点)がここに集結!!

メーカー モデル名 発売年 厚底 カーボン 高反発ミッドソール材 実測重量 前モデルとの違い
ナイキ エアズームLJエリート 2021 エアユニット 262g
(27.5cm)
完全新型。エア+カーボン搭載
アディダス アディゼロLJ 2022 × ライトストライクプロ 275g
(29cm)
ミッドソール素材が高反発材に変更された
ミズノ フィールドジオLJ JAPAN 2021
(2024秋冬)
× × × 229g
(28.0cm)
ミッドソール変更で約3mm薄くなった(!!)
アシックス ソニックスカイプロ 2024
(23年12月)
× FFブラスト 235g
(28.0cm)
完全新型。厚底化
発売年は微妙に違うかも!

フィールドジオLJは21年にLJ-B→LJ-Cへの変更がありました。(25年モデル24年秋冬)では色と名前が変わって『LJ-JAPAN』になりましたが、中身はLJ-Cと一緒なので21年発売としました。(BタイプからCタイプへの変更箇所について詳しくはこちら)
どうして発売年を並べたのかっていうと、それぞれのスパイク登場の背景がわかっていた方がそのスパイクの性格がわかるかなと思ったから。そんなわけで、まずはそれぞれのスパイクの成り立ちについて簡単にご紹介します。

最初の『厚底』はナイキ!今となっては薄底はミズノだけ


画像:それぞれ特徴的なソール形状だねぇ

幅スパはミズノ以外はみんな厚底スパイクになっていますが、今回比較する4モデルのなかで【厚底】として新設計されているのはナイキとアシックスの2モデルだけです。
幅スパで最初に【厚底】として出てきたのはナイキの『エアズームLJエリート』(2021年)です。短距離に革命を起こしたマックスフライとほぼ同時に登場し、「エア+カーボンプレート」を備えた跳躍版マックスフライと言えるモデルです。それに遅れること数年、続いて厚底になったのはアシックスの『ソニックスカイプロ』(2024)です。

アディダスも厚底でしょ!
その通りで、『アディゼロLJ』は2022年にマイナーチェンジして高反発材を搭載しました。
ただ、アディダスは旧型(少なくとも2012年にはあった)から形状を変えずにミッドソールを高反発材に変更したモデルのため、厚底ではあるものの基本設計はまだ【厚底スパイク】という概念が生まれる前のものです。まあそれでも厚底スパイクではあるのですが、厚底といえばの装備である「カーボンプレート」は非搭載です。

唯一、薄底のまま残っているのがミズノの『フィールドジオLJ』です。
初代登場から20年以上(正確な発売年は知らん)、現行モデルまでプレートが変更されずに続いている超ロングセラーモデルで、まだ高校生だった管理人が初めて買った幅スパもフィールドジオLJでした。当時も今もアッパーがちょっと変わったくらいでほとんど変化がなく、21年のCタイプへのマイナーチェンジでは厚底化どころか逆にソールが3mm薄くなっています…
薄底であることにもメリットがあって、フィールドジオLJの重量は一番ピンが多くて長いにもかかわらず最軽量となっています。

また、アシックスが厚底に参入するのにナイキから3年も遅れをとったのには理由があって、当時のアシックスはピンレスの『メタスプリント』を頂点としたフラット形状のスパイクを展開していたんです。その流れで2021年には超フラットの『ロングジャンププロ3』っていう迷スパイクをリリースしてしまい…
それもあって、ナイキ・アディダスによって世間に厚底スプリントスパイクが完全に普及した後に、だいぶ遅れての厚底市場への本格参戦となりました。

 

 

ミッドソールの高反発材はエア、FFブラスト、ライトストライクプロと様々。弾むのはアディダス


画像:どう見てもアディダスが一番分厚いけど、アシックスもルール上限の20mmの厚さがあるから厚さは一緒。マジか。

【厚底スパイク】はミッドソールが厚いから厚底なわけで、各社それぞれが独自の高反発材を使っています。
反発材は…

  • ナイキ:エアユニット
  • アディダス:ライトストライクプロ
  • アシックス:FFブラスト

各メーカーでそれぞれ感触が違いますが、反発材のバウンド感が強いのはアディダスで、ナイキ・アシックスは反発材よりもプレートの硬さによる反発が大きいという印象です。
比べてみると、一番バウンド感があるのは間違いなくライトストライクプロです。踏み込むとムニュっと沈み込んでポニンと弾むため、これぞ厚底スパイクという反発感。思ってるよりバウンドします。
ナイキとアシックスは厚底なのにあんまりバウンド感がありません。アシックスのFFブラストはブニョっとはするけど柔らかすぎるのかあんまり跳ね返ってこない感じで、ナイキのエアはそこにあるのかどうかすらよくわからなくて、マックスフライのようなポニンはありません。
当然、ミズノは薄底なので高反発材ではなくてただの極薄クッション。ダイレクトに地面を感じます。

カーボンプレート搭載はナイキ(とプーマ)だけ!


画像:隙間に見える黒い板がカーボンプレート!カッチカチでとっても硬いぞ

【厚底スパイク】というのは単にソールが厚いというだけでなく、『高反発材+カーボンプレート』を組み合わせることで従来の薄底スパイクよりも強い反発を得ることができるのが特徴です。(例外あり)
しかし、幅跳びスパイクで『カーボンプレート』を採用しているのはナイキ(とプーマ)だけ!
短距離よりも反発が必要であろう幅跳びですが、意外にもカーボンプレートの搭載は遅れています。
アシックスも発売当初は「カーボン樹脂プレート」を謳っていたのですが…実際にはカーボンじゃない『樹脂プレート』だったので消費者庁からリコールが出て回収になりました。(詳しくはアシックスHPで

なぜ各社がカーボンを採用しないのかは知る由もありませんが、短距離の場合はマックスフライの登場によって革命がおこり他社もカーボンを使わざるを得ない状況になった一方で、幅跳びの場合はまだカーボンに変更する必要に迫られていないのでしょう。実際、世陸東京で優勝したフルラーニ選手はアディゼロLJを使っていました。
幅跳びスパイクは樹脂であっても元々屈曲が硬く、『薄底』の尺度で考えるとCタイプで柔らかくなったフィールドジオLJでもかなりの硬さと反発があります。比べてみても、カーボンを採用したナイキとそれ以外とでプレートの硬さや反発がそれほど大きく違うか?っというとそんなこともないのが現状です。
っとはいえ、2025年はプーマ(カーボン採用)を履くトップ選手が突然増えたため、そろそろカーボン必須の時代に入るのかも…?

そんなわけで、2025年現在の幅跳びスパイクは厚底化の過渡期と言った感じです。これから数年内に各社がカーボン搭載の本格的な厚底跳躍スパイクを出して状況が一変するかもしれません。

 

4モデルの外観的と違いと比べてわかる特徴

それぞれのスパイクの外観的な違いをご紹介!構造が違えば特性もかわるので、自分がどのスパイクに合うのかは外観からなんとなく推測できるはず。
【ピン配置】【プレート】【傾斜】【アッパー】【足型】の違いに注目して見ていきましょう。それによって感触がどう違うのかってのは第2回で詳しくレビューします

【ピン配置】3-2-2,4-2-2、4-3-2どれが良いかは好み次第


画像:ナイキ・アディダスは7本、アシックスは8本、ミズノは9本ピンを採用

基本的なピン配置は共通していてるものの、ピンの本数と種類が違います。

  • ナイキ、アディダス:3-2-2の7本ピン(ニードル)
  • アシックス:4-2-2の8本ピン(7mm二段平行)
  • ミズノ:4-3-2の9本ピン(9mm二段平行)

ニードルピンか平行ピンかによる違いもあるのかもしれませんが、出荷時のピンも含めてそのスパイクの性格としてレビューしていきます。ただ、ソニックスカイプロは平行ピンと相性が悪いような感じがしていて、もしかするとニードルピンにした方が反発材を潰しやすいかもしれません。

ピン配置は画像を見ての通りで、ピンに注目して比べると大きな違いは2つ…

  • 後列4本ピンは踏み切りの前半局面(接地から乗り込みまで)のガッチリ感がある。
  • 中列2本ピンは踏み切りの中盤局面以降(乗り込みから跳び出し)がスムーズ

単体で使っていると調子の問題かな?っと思って修正するようなところなのですが、比べてみると同じように踏み切っても明らかに跳躍の高さやスピード感に違いがあります。どう違うかは第2回の【踏み切り】の項目で詳しく解説します。
ザックリいうと、踏み切りやすいのはミズノで、スピード感が高いのはアディダスとナイキです。アシックスは中間的な性格。また、ピンが少ないほどブレるし踏み切りが難しくなります。
どのピン配置が一番跳びやすいかは人によると思うのですが、要求される筋力と踏み切り技術が高いのはナイキだと思います。

【プレート】1枚,2枚の違いはあれど、どれも硬くてフラット


画像:どれもフラットでかかと入ってつま先まで転がしやすい

プレートとミッドソールに注目して比較した感触の違いは…

  • ナイキ:エアのバウンドはほぼ感じない。硬くてシャープな反発感。
  • アディダス:足裏の感触はプニプニ柔らかくてバウンド感も大きい。屈曲が硬いから押し出される感があるのに硬さは感じず足に優しい。
  • アシックス:厚底のブニュっとした感じがあってちょっとラグい。プレートの硬さがあってスプリントスパイクっぽい反発感。
  • ミズノ:十分硬いけど比較すると一番柔らかくてダイレクトな感触。反発を感じやすい。

【厚底スパイク】というのはプレートが2枚使われているものが多く、外側のプレート(建前上はピン取り付け用の板)と内側のプレート(カーボン等)の間に高反発材を挟み込んだ構造をしています。4モデルのうち、プレート2枚で高反発材を挟む構造をしているのはナイキとアシックスの2つで、この2つは足裏直下に硬い板があるので足底へのダメージがけっこうあります。

【プレートの硬さ】を比べると…
①ナイキ≧②アディダス≧③アシックス>④ミズノ
こんな感じ。
旧型のミズノはアシックスより硬いくらいだったんだけど、Cタイプになって屈曲は柔らかくなりました。
どれもかなり硬いからナイキがずば抜けて硬いというわけではないんだけど、比べてみるとミズノだけは明らかに柔らかいです。とはいえ、ミズノでも十分硬いので8mでも跳ぼうっていう人でない限り硬さが不足っていうことはほとんどないはず。
むしろ、ナイキ・アディダスは硬いことで反発のタイミングが早くなりすぎて、踏み切りで力をかけ切れないことがあるので、アシックス・ミズノくらいの硬さの方が思った通りの動きができると思います。

 

【傾斜】どれもフラット!だけどフラットで使いたいなら日本メーカーかな?


画像:傾斜や形状はどれも似てる。だけど海外2つはフォアで踏んだ方が進む

スプリントスパイクだとメーカーごとに『傾斜』が大きく違うのですが、幅スパではどのメーカーも似たような傾斜でどれもフラットです!それぞれつま先に向けて反り上がる形状も共通しているので、アウトソールの形状は大体一緒。
幅スパは「かかとから入ってつま先まで転がす重心移動」がしやすい構造をしているため、傾斜が合う合わないってのはあんまり考えなくていいと思います。

ただ、アディダスはカクンとするライン(詳しくはアンビションのレビューで)があるため、一見するとフラットに見えても助走ではフォアで踏んだ方がよく進みます。また、ナイキは見た目の通りフォアで踏まないとエアが潰れないので、ナイキ・アディダスは性能を引き出すにはフォアで使う必要がありそうです。(この辺は第2回の【助走】の項目で詳しく書きます)
とはいえ、スプリントスパイクのようにフォアを強要されるっていう程ではないので、フォアだフラットだってのはあんまり気にする必要はないかと思います。それでも『扱いやすさ』という意味では、日本メーカーの2つはフォアでもフラットでも使えるので分があるのは間違いありません。

そんなわけで、傾斜はどれもフラットだけど、助走をフォアで走るかフラットで走るかで最適なスパイクが変わりそう!

アシックスだけプレート幅が狭い!表面ツルツルだしなんか滑るような気がしなくもない


画像:アシックスは中足部でキュッとしていて接地面が細い

アウトソールの接地面に注目すると、アシックスだけソールの中足部がキュっと細くなっていて不安定で、結構グラつきます。歩くだけでもグラグラします。
特に助走の1歩目2歩目がブレるので多少気を使うのですが、一方で走り出してしまえばアシックスはスプリントスパイクに近い接地感覚で…というか、アウトソールの形状は『メタスピードSP』とほぼ共通なのでかなり走りやすいです。
それでも後列4本ピンなのでスプリントスパイクと比べれば安定感はあるため、単体でみれば不安定だからどうということもないです。あくまで、幅スパを並べて比較すると不安定が目立つという感じ。

また、アシックスのプレートは表面に凹凸がなくてツルツルしています。そのせいか、なんとなくアシックスは若干滑るような気がしなくはないのですが…多分気のせいです。
逆にプレート表面のグリップが一番良さそうなのはアディダスで、表面にシャークスキン(トゲトゲ)がついています。ただ、だからどいってグリップ力に差がある感じはしません。
かかとはアシックスが細くて不安定なことを除けばどれもトゲトゲしていて似たようなものですね。ナイキは尖っていますがただのデザインです。

そのほかの違いとしては、ピンの土台がナイキ・アディダスは盛り上がっていてアシックス・ミズノは埋め込まれているようですが、だからといってピンが長く感じるとかはないです。

 

 

【アッパー】アディダス以外はガッチリ感〇 質感はミズノだけが別格!


画像:ベルト形状によって締め付け感は違うけど、だからどうということはない。

跳躍スパイクはほとんどがベルトを装備していて、踏み切りでの大きな力に耐えられるようにできています。今回比較したモデルもアディダス以外はベルトが装備されています。ベルトの位置や太さの違いは画像を見ての通り。
ベルトの締め付け感はそれぞれ見た目から想像する通りの感じでベルト付きの3モデルはアッパーのブレにそれほどの違いはないかと思います。締め付け方に多少の違いはあれど、どれもガッチリと力を受け止めてくれます。特に良し悪しはないというか、好みの問題だと思いますね。ただ、ナイキはベルトがちょっと短いので甲高の人だと長さが足りずに履けない可能性はありますので注意。

唯一、アディダスだけはベルトがなくて全助走で踏み切るとブレるし足首に負担がかかる感じがします。プレートの反発に対してアッパーが負けている感じはありますね。なんでベルトを着けないのかはわかりませんが(多分重量?)、踏み切りでガッツリいきたいならアディダス以外を選んだ方が良いと思います。

質感はミズノが別格!意外にもアシックスは履き心地が悪い


画像:質感で選ぶならミズノ!履き心地がめちゃくちゃ良い

4つを比較すると、ミズノの質感がズバ抜けて良い!
正直、質感で比べちゃったらとミズノ一択です。足を入れた瞬間から柔らかく包み込むようなフィット感で、これ履いた後にはもう他のを履きたくなくなる(から比べるときは最後に履いてた)
三軸織物、イザナステープといった高品質な部材を使っているのはもちろん、『YAMASAKI RUNBIRD FACTORY』っていう工場で手作りされたメイドインジャパンの質感は他のモデルと比べると別格です。見ればわかるんだけど、他のは圧着してるところもミズノは縫ってあって、しわの寄り方とかが一目瞭然で違います。
この質感の高さはフィールドジオを選ぶ理由になると思うのですが、ミズノはあんまり質の高さをアピールできていない気がします。せっかく名前がJAPANになったんだから、youtubeとかでこれの製造工程を出してもっと宣伝すればいいのに。
フィールドジオLJと比べたら他3社のアッパーの質感はどれも似たようなもんで、もう特に何かを言う気にはならないです。どのスパイクもホールド感はあるので機能としてはどれでも十分なのですが、良いスパイクを履いてる感じがするのは唯一ミズノだけ。

逆に、履き心地が一番悪いのはどれか?っというと…意外にもアシックスは足当たりが悪くて履き心地は悪いです。
この世代のアシックスのアッパーは『モーションラップアッパー』っていう薄くてパリパリのメッシュ生地を使っているのですが、伸縮性が全くないのでパツパツ感があって、強く力をかけて足が広がると指が壁に当たる感じがします。もしかするとワンサイズ上げた方が良かったかも?なんて気になっちゃう足当たりです。
まあ、単体で使う分にはそれほど気にはならないのですが、ミズノの後に履くと嫌になる。
ナイキ・アディダスは別に普通。

かかとの形状は合う合わないがあるかも


画像:アシックスはヒールカップがしっかり。ナイキはくるぶしがえぐれてる。

管理人は全然気にならないのですが、かかとの形状がメーカーごとに違うのでフィット感が気になるという人もいます。
足首周りの感触を比べてみると…

  • ナイキ:くるぶしが低くて後ろの壁の摩擦で引っかける感じ
  • アディダス:全体にゆるめでクッションが分厚くフワフワ
  • アシックス:ヒールカップにカポっとはまる
  • ミズノ:柔らかくてクッションがあり包み込まれる感じ

入口が広いのはミズノとアディダスで、この2つは足当たりも柔らかいのでスポっと足が入って紐を締めることでフィットします。
アシックスはヒールカップがしっかりしていて、かかとの骨をカポっとはめる感じ。ナイキは後ろの高い壁に摩擦で引っかける感じです。


画像:履き口のクッションの入り方もそれぞれ違う

足首周りのクッションが一番厚いのはアディダスで、かなりフカフカした感触です。ナイキ・アシックスは同じような感じで淵に沿ってクッションが入っていて、感触としては硬いです。ミズノは合皮の肌さわりが良いので柔らかく感じるのですが、クッションの厚さとしてはナイキ・アシックスと同じくらいかと思います。

【足型】アディダスはつま先が妙に広がっていてユルい!ナイキは甲高や幅広だと履けないかも?


画像:アディダスはつま先が広い

アッパーの良し悪し以前の問題として、ナイキとアディダスは人によっては足型が合わない可能性があります。

  • ナイキ:幅狭でベルトが短いから甲高幅広は足が入らないかも
  • アディダス:つま先の幅が妙に広い
  • アシックス・ミズノ:普通

アディダスは全体にクッションが強いのでゆったりした感じなのですが、基本的には紐を締めればフィットします。ただし、つま先のボックスが妙にデカいです。なんでこんな構造なのかは不明ですが、指が動くので慣れないうちはゆるく感じると思います。ぴっちりしたフィット感が好きな人はアディダスはダメでしょう。
ちなみにサイズは
最初の表に書いた通りでアディダスだけ28.5cmでそれ以外は28.0cmで比較をしているのですが、本当はアディダスも28.0がジャストサイズです。なぜ大きいのを買ったのかというと、5000円だかだったから。

ナイキは甲が低くて幅が狭い感じがします。前作『ズームLJ4』ではチャックがきつくて幅広だと履くことすらできなかったのですが、LJエリートはそれほどではないにしても相変わらず横幅は狭いと思います。特に、ベルトが特殊な巻き方をしていて両側から締めあげられる構造のため、足幅が狭い人はベルトの長さが足りずに履けない可能性があります。
足が入らない場合は拡張器具『シューズストレッチャー』を使うと履けるかもしれないので、買っちゃったけど幅が合わないっていう人は拡張でなんとかなるかもしれません。

 

【まとめ①】4メーカーの幅スパの違い

今回は、ナイキ・アディダス・アシックス・ミズノの幅跳びスパイクを比較する企画の第1回~構造の違いを比べてみた編~をご紹介しました。
ザックリと表にするとこんな感じ↓

幅跳びスパイク4モデル比較まとめ表①~構造編~
項目 ナイキ
ズームLJエリート
アディダス
アディゼロLJ
アシックス
ソニックスカイプロ
ミズノ
フィールドジオLJ JAPAN
プレート構造 カーボンプレート 樹脂1枚プレート(硬め) 樹脂プレート 樹脂プレート(柔らかめ)
ミッドソール材 エア ライトストライクプロ FFブラスト
反発感 硬くてシャープな反発 柔らかくバウンド感強め 柔らかくバンド感弱め ダイレクトで自然な反発
ピン配置・本数 3-2-2(7本、ニードル) 3-2-2(7本、ニードル) 4-2-2(8本、二段平行) 4-3-2(9本、二段平行)
傾斜・接地感 フラット
フォアで潰す必要あり
フラット
フォア踏み向き
フラット
スプリント寄り
フラット
扱いやすい
安定感 〇(普通) 〇(前足部広い) △(ソールが細く不安定) ◎(最安定)
アッパー 普通
〇ガッチリ
ベルトなし
△足首にダメージ
生地が硬い
△履き心地悪い
高品質な包まれ感
◎履き心地レベチ
履き心地 〇普通(狭め) 〇普通(ゆったりめ) △パツパツ感あり ◎抜群
足型傾向 幅狭・甲低向き 普通(つま先広め) 標準(サイズ感タイトめ) 標準
おすすめタイプ スピード型
短い接地で扱える人
スピード型
弾むような反発を好む人
バランス型
スプリント寄りで走りたい人
踏み切り型
安定重視・踏み切り重視の人

今回は構造的な違いを中心に比較したのですが、ザっとあげるだけでもこれだけの違いがありました。まあ、見りゃわかるっちゃその通りなのですが、構造が違うことによるミスマッチはこれを見ておけばある程度は避けることができると思います。それぞれの良さがあるのでどれを履いても単体であればいいスパイクだなぁって思うのですが、比べてみると『最適』の難しさがわかります。

例えば、カーボンの硬さが欲しければナイキです。

厚底的なバウンド感を求めるならアシックスよりアディダスです。

扱いやすさと厚底特有の硬さが欲しければアシックスがベストです。

質感に妥協しない良いスパイクが欲しければミズノを買うべきです。

でも、スパイクって実際に履いて跳んでみないとその本質が見えてこないですよね…
ってことで、次回は第2回として、【実際に使って違いを比べてみた編】をお送りします!
どちらかというと第2回の方がメインというか、【助走】【踏み切り】【接地感】【反発感】などを評価軸にして、使って感じたことを書いていガシガシ書いていくつもりです。
いったい、いつ書き上がるのか!?乞うご期待!!






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