陸上で速くなるために大切なのは『ミスをしない』ことだ!!
スポーツではメンタルも非常に重要です。陸上では他の競技と比べてもメンタルが記録に与える影響は強いと思われます。
いろいろありますが、1つだけ、一番大切な考え方をあげるとすれば『失敗しないようにする』ことでしょう。
今回は
陸上で速くなるために大切な考え方
についてご紹介。大会の時に限らず、普段の練習でも軸になるメンタルがあるかどうかで結果が変わってくるはず。
陸上競技は『敗者のゲーム』だ!!
何を考えながら陸上競技をやっていますか?
長所を伸ばす
短所をつぶす
他人よりも多く練習する
などなど、自己記録を伸ばすためあるいは大会で上位に入るために何かしらの考えをもって競技していることと思います。
それはそれでいいのですが、もしかするともっと根本的な部分をスルーしていやしませんか?
それが『勝者のゲーム』と『敗者のゲーム』という考え方。
陸上でもこの考え方を取り入れることでなにかしら得られるものがあるはずです。
敗者のゲームではミスをしなければ勝てる!?
そもそも勝者のゲームと敗者のゲームとは何なのかを簡単に解説しよう。
敗者のゲームとは、資産運用のバイブルとして紹介されることの多い『敗者のゲーム』という本の中で紹介されている考え方である。
(資産運用と聞くと怪しく感じるかもしれないが、全米累計100万部以上売れていて、日本でも日経新聞出版からでている真面目な本なので安心して欲しい。)
この本の中ではテニスを例に紹介されているのだが、ザックリ言うと以下の通りだ。
- テニスにはプロと一部の天才的アマによるゲームと、アマチュアのゲームの2種類がある。
- 同じ道具や服装を使っているにもかかわらず、この2つは全く異質のゲームであり、『勝者のゲーム』と『敗者のゲーム』と言うことができる。
- プロは得点を勝ち取るが、アマはミスによって得点を失う。
- 『勝者のゲーム』ではめったにミス起こらずにウイニングショットによって試合が決まる。
- 『敗者のゲーム』ではミスによって試合が決まる。
敗者のゲームでは
『強いボールを返すことよりも、来たボールをただ返すことを考えるべき。ボールを返しさえすれば、相手がミスをして得点でき、最後には勝つことができる。』
というわけだ。言われてみれば確かにその通りだろう。
私も数年だけテニスの経験があるが、強いボールを返して得点することよりも、ミスショットで失点することの方が何倍も多かった。
陸上競技における勝者のゲームと敗者のゲーム
本ではテニスを例に出しているが、陸上でもまったく同じことが言える。
勝者のゲームと敗者のゲームを陸上に当てはめるとこんな感じの差があるのではないかということを表にしてみた。
勝者のゲームで重要な事 | 敗者のゲームで重要な事 | |
接地 | フォアフットかフラット接地か | ちゃんと地面を蹴れているか |
筋力 | 余計な筋肉はいらない | 筋肉がないと走れない |
スパイク | ピンの抵抗をなくすために ピンレススパイク |
長めのピンの方が力が伝わる |
練習 | ドリルを中心に走るのは数本だけ | 基本的なメニューをこなすべき |
幅跳び | 空中動作が勝敗を分ける | 踏み切り技術で順位が決まる |
モモ上げ | 上げている意識ではなく 踏んでいるだけ |
足を回すために意識して 引き上げる必要がある |
100m | スタートで勝負が決まる | トップスピードで勝負が決まる |
腕振り | 振っている意識はない | 意識して大きく振る |
メーカー | 海外メーカーでも契約次第 | ミズノかアシックスを使え |
トップ選手がフラット接地というスマッシュを打っているからといって、自分が同じスマッシュを打とうとすればネットにかかるか最悪空振りだ。
勝者のゲームではどれだけ強烈なショットを打てるかで勝負が決まるが、敗者のゲームでは強烈なショットよりも「地面をしっかり蹴る」というショットで勝負が決まる。
また、100mのスタートがいくら上手になっても、トップスピードがなければ勝つことは出来ない。スタート練習もいいが、走力を付ける方が優先度は高いはずだ。
このように、勝者のゲームと敗者のゲームとでは同じ競技でありながら勝負を決めるポイントが全く違うというのが、『敗者のゲーム』の考え方だ。
基本の追求こそがミスをしないということ
どのレベルからが勝者のゲームになるのかはわからないが、高校ではインターハイ、大学では関東インカレ出場くらいのレベルが勝者のゲームと敗者のゲームの切り替わる点ではないかと思う。(管理人経験則)
高校の都道府県大会出場を目指すレベルであれば、フラットかフォアかにこだわるよりも、まずは地面を強く蹴ることを考えるべきなのだ。
陸上での『勝負を分けるミス』とは?
テニスと陸上の違いは、ショットの成功と失敗が目に見えるかどうかだ。テニスではミスをすればボールがネットにかかったりアウトになるので誰の目にも明らかだが、陸上ではミスをしても目に見えてはわからない。
陸上における『試合の結果を決めるミス』とは、ひとつひとつの動きの意識と言える。これが最終的な結果に大きく影響するからだ。
陸上で速くなりたいのであれば、接地の方法にこだわるというミスをしてはいけない。フラットに着くことを意識しているとすれば、それは一部の人を除いてはミスショットになっている。
どう接地するかではなく、どうすれば地面を強く押し出せるかを意識することがミスをしないショットといえる。接地方法にこだわって勝負が決まるのはもっと先の世界のことで、敗者のゲームでは実際に地面を強く押せているかどうが勝負を分ける。
陸上競技においては、『基本技術を愚直に追求すること』こそが、敗者のゲームで重要な『ミスをしない』ということになるのだ。
自信過剰バイアスの罠にはまるな!!
『自信過剰バイアス』というのもまた、投資用語の一つだ。自らの知識や能力を過大に評価し、その過信によって正確な判断ができなくなるというバイアスのことです。
先に述べた、『長所を伸ばす』という考え方は悪くない。しかし、本当にそれはあなたの長所なのだろうか?
たとえば、跳躍種目っていうのは跳躍力がある人が集まっている。自分では跳躍力が長所だと思っていても、跳躍選手のなかでは並みかそれ以下の可能性すらあるのだ。そんな状況でも自分のバネに自信があるのであれば、それは長所だ。
あるいは、『人より練習している』という自信がバイアスとなってしまい、本当に必要な練習を選択出来ていない人もいるかもしれない。
自分が本当に『勝者のゲーム』をするレベルにあるのか、それとも敗者のゲームのなかで過剰な自信を付けてしまっているだけなのか、その差を正確に把握しなくてはなりません。
勝ちたければとにかく走れ!!
敗者のゲームで勝つためにはなにをすればいいのかは、陸上競技においては非常に分かりにくい。テニスであれば来たボールをとにかく相手に返せばいいのだが、陸上ではいったいなにをすればいいのか?
答えは簡単
とにかくいっぱい走って筋力と技術を身に付ける
これが敗者のゲームのなかで勝ち残る唯一の方法だ。
細かい事を気にするよりも練習!!
接地方法を考えるよりも、200mを5本走って一番速く走れる感覚を探した方が良い。
ごちゃごちゃ考えて勝負が左右されるのは勝者のゲームだけで、敗者のゲームでは愚直に練習を重ねられるかどうかで勝負が決まる。
専門とか関係なく『足が速い人が勝つ』のが陸上
『自分は跳躍だから瞬発力に特化した練習をした方が良い』と考えているのであれば、それは自意識過剰バイアスがかかっていて正常な判断が出来なくなっていると言える。
一定以上のレベルで勝ちたいと思うのであれば、跳躍選手であっても200mを23秒台くらいでは走れる走力は最低でも必要で、跳躍とはいえ総合的な走力が必要不可欠であることは俯瞰でみれば明らかであろう。
同じように、100m選手であっても400mを50秒くらいで走れる総合力がなければ勝負できない。
陸上競技っていうのは結局のところ『足の速いやつが勝つ』競技で、投擲以外の選手は速く走ることを第一に考えて練習するべきだ。そのためには、『自分は~~だから』とか考えずにとにかく走ることが重要で、敗者のゲームでミスを犯さない唯一の方法だ。
今日も明日も200m×5だ!!
つまり、200m×5をひたすら続けていればそのうち勝てるようになるのです。
120mに変えてみたくなる気持ちはわかるけど、それはミスショットだぞ!!
飛んできたボールをひたすら相手のコートに返す、来る日も来る日も200mを走る…
雨の日も風の日も、愚直に200m×5だ!!
とはいえ、陸上競技は考えた選手が勝つ競技。
15年前と今とでは手に入る情報量の違いに伴って技術も大きく進歩しています。技術を得るためには、いろんなことをやってみることがなによりも大切でしょう。
しかし、いろいろ考えて、逆になにも考えないということに行きついたのであればこの『敗者のゲーム』に参加してみることをおすすめします…
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