冬季練習ではスパイク?シューズ?どちらで練習するべき?
陸上ではだいたい12月~3月を「冬季練習」として鍛練期と位置付けて練習します。
ザックリいうと冬季練習っていうのは走り込みがメインで質を落としてでも量を重視する期間。ただ、冬季練習と一口で言っても1月ごろと3月ではやることが変わるし、レベルによってもメニューは変わります。
冬季練習(幅跳びメインですが)については別記事で書いてますので、そちらに目を通しておくとだいたいどんな感じかわかると思うのでご参考下さい↓
そして、どんな冬季練習にもついてまわる話題が『冬季練習ではスパイクを履くか?シューズを履くか?』っという問題。場合によってはコーチからスパイク禁止令がでることも。
ってことで今回は
冬季練習はでスパイクとシューズどちらを履いて練習するべき?
をテーマにご紹介。
今回は練習の内容ではなくて何を履くか?って話です。
多くの指導者が冬季練習ではシューズを推奨しているし、名門校では半年近くスパイクを履かないこともあります。
一方で、冬季であってもシーズン中と変わらない練習メニューをこなすチームもあるし、メニューは距離を踏むものになっているけどスパイクを履き続けるチームもあります。
では、冬季練習ではシューズで走るべきなのか?それともスパイクを履き続けるべきなのか?っと言うのが今回のテーマです。
冬季練習はスパイクとシューズどっちがいい??
最初に今回の結論からいうと…
スパイクだろうがシューズだろうがどっちでもいい!!
これです。
そもそも、環境や走力は人によって違うので正解はないっちゃない。ザックリすぎる結論にはなるのですが、スパイクを履いたからと言って冬季練習が積めないわけではないし、シューズを履いたからと言って良い冬季練習ができるわけでもありません。
結局のところ、スパイクでもシューズでも自分の目指す練習をするのに最適な方を履くべき。
シューズで練習したほうが効果的な場合もあれば、スパイクの方が効果的な場合もある。「冬季だから」と何も考えずにシューズを履くのではなくて、まずはそれぞれのメリットを考えて、自分の目指す練習にはどちらが合っているのかを考えましょう。
今回の話題を考えるうえで一番大事なのは、あなたが冬季練習で何を目指しているのか?です。
ちなみに管理人は冬季でもずっとスパイクを履いてました。
シューズで練習するメリット
現実として、トップ選手も含めて多くのチームが冬季ではシューズを履いています。スピードはスパイクに比べれば確実に落ちるため「質」で考えれば下がるはずですが、あえてシューズを履くのはメリットがあるから。
冬季でシューズを履くメリットは…
・体への負担が少ない(ケガしにくい)
・走り技術の向上に期待できる
主に上記の2点がシューズのメリットだと思います。
まず、ケガのリスクを下げるというのはシューズを使う大きなメリットで、なんならケガをしないために冬季ではシューズを使うと言っても過言ではないでしょう。気温が低いほどケガのリスクは高まりますからね。
長い距離を走り込む冬季練習ではどれだけの練習量をこなせるかが大切。量をこなすことで春以降のパフォーマンスの底上げができますので、ケガなく冬季を乗り切ることは最重要ポイントといえます。
そして、シューズを使うことの技術的メリットも重要です。
シューズは正しい方向に力を加えないとうまく走ることができません。そのため、スパイクよりも正確な動きが要求されます。接地・乗り込み・キックの動作が雑であれば速く走ることが出来ないため、シューズを使うことで冬季の走り込みを通して技術を見直すことができるはず。
ただし、あんまり厚底のシューズだと感覚が変わっちゃうので、技術を考えるとドリルシューズや薄底シューズを使うのがおすすめです。
スピードは落ちるけどゆっくり走るわけじゃない!!
シューズを履くとスパイクよりも結構タイムが落ちます。200mで1秒くらい変わるかも。
ただ、タイムが落ちてもいいけどゆっくり走るわけじゃない!
シューズだと反発が少なくなるので雑に走っていると全然前に進まない感覚になることがあります。そんなときに「300mだから後半上げればいいや」と言ってのんびり走っちゃダメ。
一歩一歩をしっかり踏んで、使える反発をしっかりと受け止めながら走るように意識しましょう。同じタイムでも1本1本の内容は大きく変わってきます。
シューズで雑にゆっくり走っちゃうくらいならスパイクを履いてスピード出した方が良い練習になる。シューズを履くなら踏みしめながら走りましょう。
っとはいえ、300mを5本もやっていれば技術どころじゃなくなってがむしゃらに走ることになるはず。
そんなときに生きて来るのが『基本技術』です。基本技術が身につけば、いっぱいいっぱいのときでもしっかり進むことができるようになります。
接地感覚や反発の使い方を冬季の間に見直して、ひと冬を通して体が勝手にうまいこと走ってくれるようになりましょう。
そんな技術を身に付けるために、シューズで感覚を磨くことが重要です。
スパイクで練習するメリット
真冬でもスパイクを履いている選手も結構います。もちろん環境的にスパイクが使えない場合もあるでしょうが、南関東やそれくらいの気温の地域であれば冬季でもタータンをスパイクで走ることは可能。
冬季でスパイクを履くメリットは…
・高いスピードで練習できる
・シーズン中と同じ感覚で走れる
シューズよりもスパイクの方が速く走ることができるというのが一番のポイント。
考え方次第ではありますが、試合では速く走る必要があるんだから、練習でもスピードを落としたくないっていうならスパイクを履くべきでしょう。
スピードが出るってことは動きもそれなりなので、技術的にも高い状態を維持できるはず。
また、スパイクを履き続けることでシーズン中と近い技術で走ることができるため、夏から秋にかけて積み上げてきた感覚を忘れずに春までいきたいならスパイクを使うメリットはあります。長い間シューズだけを履いていると動きが変わっちゃいますからね。
そんなわけで、冬季であってもシャープな動きを忘れないようにしたい、あるいはスパイクを履くことで陸上的な動きを身に付けたいっていうならスパイクを使って「質」を維持した方が合っていると言えます。
スパイクは雑に走りがちだから丁寧に!!
スパイクは七難を隠す!!
冬季練習では基礎的な動きをブラッシュアップすることが一つの目的になるはずですが、スパイクだと雑に走っても速く走れてしまいます。
スパイクだと力の方向がちょっとずれていてもピンがグリップするのでスピードが出ちゃうのですが、そういう小さいズレがシーズンになると大きなひずみになってしまいます。
シーズン中にはスピードさえ出ればまあいいのですが、冬季は速く走る必要はないので「雑な走り」は問題アリ。冬の間に修正できないと、春になって思ったほど記録が出ないなんてことになりかねません。
冬の間にしかできない「見直し作業」にはシューズの方が向いているので、スピードが出たとしても雑に走っちゃうのであれば、遅くてもシューズを使った方がいい。
寒さと負荷によるケガに要注意!!
スパイクはシューズに比べると負荷が格段に高くなるのでケガに注意!
冬季練習はスピードこそ遅いものの、走行距離はシーズン中の倍くらいにもなるので負荷はけっこう高いです。特にスパイクを履いていると関節への負担が大きいため、膝や腰に不安があるのであればシューズを使った方がいいでしょう。
また、ひと桁台の気温だと筋肉系のケガのリスクがかなりあります。寒いとアップで体が温まりにくいのはもちろんですが、タータンも硬くなっているので思った以上に負荷がかかることを考えましょう。
スパイクを使う場合にはケアにはより一層気を使うべきで、たとえば、シーズン中よりもピンを短くしたり、クッションがあって軟らかいスパイクを使うなどしてリスクを下げるようにしましょう。
シューズは「ドリルシューズ」を使うべき?
ランニングシューズにもいろいろあって、冬季では「ドリルシューズ」をスパイク代わりに使うのが良いとされています。ただ、ドリルシューズは用途が狭いのでコスパは悪い。
そのため、普段から使っているランシューで走れば大丈夫とも言われます。しかし、シューズが厚くなるほどはスパイクとの差が大きくなるので感覚が変わってきちゃう…
そんなわけで、シューズで走るとしてもドリルシューズにするか?普通のランシューにするか?って問題が出て来ちゃうんですね。
ここでも結論は一緒。
ドリルシューズでも普通のランシューでもどれ履いてもいい!!
好きなシューズを履きましょう。
冬季用にウインドスプリントかビルトトレーナーを買って損なし!
「ドリルシューズ」なんていう言い方をしていますが、要するにウインドスプリントとビルトトレーナーのことです。
ドリルシューズは…
・ソールが真っ平ら(感覚が伝わりやすい)
・クッションがほぼない(地面が近い)
っというのが特徴のシューズ。スパイクに非常に近い作りのため、接地感覚が非常に優れています。
なんていうか、シューズで冬季練習をするならドリルシューズを買って損はない!!
陸上競技の練習において、ドリルシューズほど良いものはありません。
結構な値段するので買うのをためらう気持ちはわかりますが、これを使うと使わないとでは接地の意識にかなりの差が生まれるでしょう。
まあ、履いたからといって速く走れるという保証はないのですが、練習のなかで接地や蹴り出しの感覚を探求するのであれば、ドリルシューズは必須と言って過言ではない。
ちなみに、ウインドスプリントは薄くてビルトトレーナーはちょっと厚め。スピード系が多いならウインドスプリントで、ジャンプ系が多いならビルトトレーナーかな?
まあ、どっちを履いても同じような感じです。
感覚を鍛えるならドリルシューズが最適!!だけど高い。
ドリルシューズは傾斜がなくフラットなので接地感覚がスパイクっぽいのですが、プレートは入っていないし軟らかいので裸足のような感覚でもあります。
拇指球で踏めばタータンが沈み込む感触が伝わるし、フラットに叩けばダイレクトに反発が来ます。
いろんな動かし方をしてもケガのリスクが少ないため、スパイクに頼らない「自力」を付けるのには最適です。
ただし、1万円はするのでそのお金でスパイクが買えちゃう。
もし、試合でも古いスパイクを使っているのであれば、ドリルシューズを買うのではなくそのお金でシーズンごとにスパイクを買い変えた方が記録は狙えると思う。
ジョグはできないしアスファルトで使うと結構滑るぞ
ドリルシューズは感覚を磨くには最高なのですが、最大の欠点は用途が狭すぎること!!
クッションがほとんどないっていうか、硬いのでアスファルトを走るとメチャクチャ痛い。ジョグで使ってたら多分そのうちケガします。
また、ソールはかなり滑りやすいので、坂ダッシュなんかで力をかけると結構滑ります。特に雨の日は全くグリップしないので、移動で使うにもちょっと難がある。
つまり、スパイクの代わりにセカンドシューズとして使うしかないのがドリルシューズ。練習では普段使うランシューでアップをして、途中でドリルシューズに履きかえるっていう使い方になります。
冬季練習は普通のランシューを使っても全く問題なし!!
別にドリルシューズなんてなくても大丈夫です!
ライトレーサーで冬季練習を積んでも練習効果もほとんど変わらないと思います。
陸上は重箱の隅をつつくような競技なのでドリルシューズの方がいいのはその通り。しかし、ドリルシューズじゃなきゃだめってわけではない。
前述のように、ドリルシューズ買うならスパイク買った方が結果は出ると思う。(両方買うのがベスト)
特に雪が降りやすい地域だとドリルシューズなんか使う機会がないと思うし、わざわざドリルシューズに履きかえるのが面倒なら普通のランシューで走れば良いと思います。
厚底よりもライトレーサーくらいがちょうどいい
「普通のランシュー」ってなに?それは、ちょっと薄めだけどちゃんとクッションもあるモデル。
つまり、ライトレーサーくらいのシューズです。
当ブログではことあるごとにこのライトレーサーをおすすめしていますが、冬季練習でもライトレーサーはおすすめ。
・坂ダッシュやロング走でも使えるクッション性
・300mを走ってもイヤにならない軽量性
・ガンガン使い込んでも大丈夫な耐久性
・それなりに薄くて接地感覚も悪くはない
こんな感じで、ライトレーサーは誰がどんな冬季練習で使っても不満なく使えるシューズです。
他にもウエーブエンペラー、ウエーブデュエル系は冬季でも使いやすいのでおすすめです。
これらのシューズであれば、1足あれば冬季で使ってそのままシーズン中にも使うことが出来るので非常にコスパが良い。
じゃあ、超薄底のソーティマジックや厚めのウエーブライダーはダメか?っていうと、ダメじゃないけど冬季用シューズとしてはちょっと使いにくいかな?とは思う。
ソーティだとひと冬でヘタっちゃうからドリルシューズ買った方がいいし、ウエーブライダーは重くてデカイからシーズン中に使いにくい。
色々考えると、ライトレーサー、エンペラー、デュエルのどれかいいかな?
~まとめ~冬季練習は好きなの履いてやればいい!!
今回は、冬季練習はでスパイクとシューズどちらを履いて練習するべき?をテーマにご紹介しました。
冬季練習は鍛練期のため、スピードを出す必要はありません。そのため、練習効果を狙ってあえてシューズを使う選手やチームが多くあり、冬季と言えばスパイクを履かないってのは常識。
しかしその一方で、管理人もそうでしたが冬季だろうと普通にスパイクを履いている選手もいます。
じゃあ、スパイクとシューズはどっちがいいの?っていうと…
どっちでもいい!!
これが結論になります。
でもそれじゃあ何の解決にもならないのでもうちょっと掘り下げていくと、スパイク・シューズにそれぞれメリットがあり、練習で何を狙うかによって履くべきものが変わるのです。
シューズのメリットはケガのリスクを減らせることと、技術習得の期待が出来ること。特にケガについては長い冬季を乗り越えるために非常に重要です。
シューズは反発が少ないため、速く走ることはできません。しかし、使える力や反発を最大限使って長い距離をこなすことで効率的な動きを習得するっというのが冬季練習をシューズで行う目的になりえます。そのため、ダラダラ走るくらいならシューズよりもスパイクでガンガン走った方がいい。
次にスパイクのメリットはスピードや技術をシーズンから変えずに維持できること。
寒いしメニューが変わるので全く同じスピードとはいかないものの、冬季でも高い質を維持することで能力向上を狙うことが出来ます。
ただし、ケガのリスクが大きいのと、雑な走りでもスピードが出てしまう点には注意が必要。スパイクは七難を隠します。
そして、シューズにするにしても、ドリルシューズか普通のシューズかって言う問題が出て来るんです。
金があるならドリルシューズを買った方がいい!!
でも、ライトレーサーくらいのシューズで練習するのが一番コスパはいい。
ちなみに管理人は冬季だろうが普通にスパイク使ってたし、週1.2回は砂場で跳躍練習してました。
冬季練習は辛く苦しい練習ですが、陸上は『頑張れば強くなれる!』っていうものじゃないのでうまいこと効率的にやりましょう。
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