【背面跳びのやりかた】基本とポイントをおさえれば簡単!?

陸上の基礎とフォーム

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走り高跳びのフォームは「背面跳び」が主流です。
空中動作は大きく3種類あり、一番簡単なのがバーをまたぐように越える『はさみ跳び』。そして理論上、はさみ跳びよりもバーを超えやすいのが『ベリーロール』『背面跳び』で、両社では背面跳びの方が有利なので現在はベリーロールを使うトップ選手はほぼいません。
しかし、背面跳びはやりかたがわかりにくい!!
「背面」の名の通りバーに背中を向けてジャンプするのが背面跳びで、うまい人のマネをして見よう見まねでやってもなかなかうまくできるものではありません。

ってことで今回は
これで簡単!?『背面跳び』のやり方
をテーマにご紹介。
複雑すぎて何をやっているのわからなくなりがちな背面跳びですが、ポイントさえ押さえてコツさえつかめばむしろ他の方法より跳びやすい!かも。
一度コツをつかんでしまえば、「それっぽい背面跳び」ができるようになるはず!

 

 

背面跳びの基本

いつものように、まずは豆知識です。面倒くさかったら飛ばして下さい。

背面跳びを英語にするとFosbury Flop(フォズベリーフロップ)といいます。フォズベリーっていう選手がやり始めた跳び方だからそんな名前なのですが、背中から飛ぶので日本語では「背面」跳び。
背面跳びの誕生まではオリンピックなんかでもみんな「ベリーロール」だったのですが、1968年のメキシコ五輪でフォズベリーが優勝すると、10年足らずでベリーロールは駆逐されました。
ちなみに、むか~しむかしは走高跳びにはマットがなて砂場で着地をしていました。そのため、そもそも背中から着地するなんて危なくてむりだったんですね。フォズベリーの頃にはすでにマットはありましたが、ベリーロールが多かったのは足から着地していた名残なのでしょう。今でも背面跳びは危険だってことで小学生の大会では禁止されています。

背面跳びのメリット


絵:赤い点が体の重心、黒い点がバーです!わかりにくい!

まず、なぜわざわざ背面跳びをする必要があるのか?
についてちゃんと考えておきましょう。初心者のうちはまだはさみ跳びの方が跳べる可能性もあります。

背面跳びをするメリットは『背面跳びが一番クリアランスに余裕があるフォーム』と言う点に尽きます。
つまり、現実的に人間が出来る動きのなかでバーを一番超えやすいのが背面跳びとされています。

はさみ跳びの場合は自分の重心より高いバー越えることはできません
しかし、背面跳びは体を『反る』ことで腰を一時的に持ち上げて重心より高い位置にあるバーをクリアできるのです!!
つまり、背面跳びだと重心が体よりも下にくるということ。体の外に重心が来るなんて不思議ですね。っていうか、意味分からないですよね。
意味はわからなくても跳べればそれでOKです。

管理人が昔何かで見たデータ(何かは忘れたし正確な数字は違うかも)では、はさみ跳びより20cm程、ベリーロールより5cm程、背面跳びの方が理論的にはクリアランスがあって理論上は背面は有利なんだとか。
ただし、はさみ跳びで160cmしか跳べない人が背面跳びにしたところで180cmを跳べるようにはなりませんし、背面で2mを目指すならはさみ跳びで180cmを跳べるくらいの跳躍の基礎技術が必要です。
目安として、まずは肩の高さまではさみ跳びで跳べるように練習しましょう。そしたら目線の高さが背面で跳べるはず。
ちなみに、1964年東京五輪ではベリーロールで2m18の記録が出ていますので、2m以上なら絶対に背面跳びが必要というわけではありません。

踏み切りで生じる回転力を利用する


跳躍種目は踏み切った足でブレーキをかけてその反動で跳びます。
高跳びの場合も踏み切りによって足を支点とした『前方回転力』が発生します。いわゆる『起こし回転』です。
この起こし回転(足はブレーキがかかるのに頭は慣性で進もうとする力)が働くため、高跳びではので体が回転しようとする状態で跳ぶことになります。

幅跳びでは空中動作でこの力を相殺するのですが、高跳びの場合はこの力をそのまま使ってバク宙して頭を下にして落ちていきます。これが背面跳び。ベリーロールの場合は体を横向きにするので横向きに回転します。
背面跳びは、起こし回転によって空中で回ろうとする体の動きに逆らうことのないフォームのため、強い踏み切りをしても空中で乱れにくいというのもメリットと言えるでしょう。
逆に言えば、起こし回転を感じないレベルの踏み切り技術であれば背面跳びのメリットは薄くなります。

 

 

カーブしながら踏み切って体を反転させる

背面跳びの助走は『J字助走』と言って、助走の途中から内傾してカーブしながら踏み切ります。
左踏み切りであれば左に曲がりながら踏み切って右肩からバーを越える感じ。
カーブしながら踏み切ることで、体が勝手に横方向に回転して背中からバーを越える姿勢となります。
初心者のうちは真っ直ぐに助走して無理やり後ろ向きに跳ぼうとしがちですが、そうではなくてJ字にカーブする遠心力で体が背中方向に投げ出されるイメージです。
助走のカーブによって体が回転する力を使って自然に後ろ向きになるように回る力を感じながら跳びましょう。

クリアランスはリードレッグをしっかりと引きつけてから!!

幅跳びでも高跳びでも、空中動作はちゃんと踏み切っていることが前提の技術です。踏み切りがちゃんと出来ていなければどんなに上手な空中動作をやっても記録は出ません。
背面跳びは空中動作が複雑なのでどうしても空中に意識が行きがちですが、まずはちゃんと踏み切ってリードレッグをグイっと引きつけて体を浮かせてからクリアランスの動作に入りましょう!!
背中を反るのは体がしっかりと空中に上がってから!!
そういう点でも背面跳びの基本ははさみ跳びで、踏み切ってからバーを越えるところまでははさみ跳びと同じ動きだと考えた方がいいでしょう。
背面跳びにしたら記録が落ちたなんて場合は、背面跳びが下手なわけではなくて空中動作を意識しすぎたせいで踏み切りやリードレッグの引きつけがおろそかになっているのが原因かもしれません。

 

 

これで簡単?
「背面跳び」のポイント

ここからが本題。難しそうに見える背面跳びですが…
とりあえず背面跳びの形にするだけならポイントをおさえておけば意外と簡単!!かもしれません。

前提として、踏み切ってちゃんと体が持ち上がってからクリアランスに入って下さい。
それができないならまずははさみ跳びをちゃんと練習して、ある程度それっぽくできるようになってから背面跳びをはじめましょう。

【空中は2段階】
①ブリッジはバーをかわすイメージでクイっ!
②足じゃなくて顎を引け!

背面跳びと言えば空中の複雑な動きが一番難しいところだと思いますが、ここは2段階で考えるとそれっぽくなります。
まずは①ブリッジの局面。
そして②足を引く局面。
この二つだけ意識すれば、とりあえずバーをクイっと越えられるはず。

まず、背面跳びでバーに当たりやすいのは背中や腰で、それを回避する動作が『ブリッジ』です!!
背面跳びのハイライトはやはり空中でのブリッジ動作で、これができなきゃ背面のメリットはありません。
背中からバーを越えていく背面跳びでは腰やお尻がバーに当たるため、それを回避する為に空中でブリッジをすることになります。
ただ、背面跳びのブリッジは地面でやるブリッジとちょっと意味が違い、反ることではなくてバーを避けること目的です。
『体を反る』のではなく、『バーを避ける』イメージでブリッジ動作をするだけで腰が当たりにくくなるはず!!

っというのも、高跳びのクリアランスは重心をどうコントロールするか?というのが重要になります。
ただ『反る』意識だけだとぬるーっとした動作になって重心はあまり動かないのですが、バーを『避ける』ように反るとクイっとした動きになって瞬間的に腰が上がって頭・足が下がるので重心をごまかせます。
地上でブリッジの練習をするのも有効ではあるのですが、実際にはもっと瞬間的な動きです。

足がバーを越える瞬間に顎を引け!!

ブリッジで腰がバーを越えたら残った「足」をどうにかしないと引っかかっちゃいます。
そこでポイントとしては顎を引くと足をシュっと持ち上げる!!
腰は越えるのに足が引っ掛かる…というひとは顎が上がりっぱなしになっているかも!?

足が引っ掛かるからといって『足を上げる』イメージをしても多分問題は解決できません。足を意識しちゃうと腰が落ちてバーを落とすと思う。そこで、足を動かすために意識するポイントは『顎』です。
背面跳びでは跳び出したら顎を上げてバーを越えて行くことで自然とブリッジの姿勢が作れます。ただ、顎を上げたまま越えていくのではなくて足がバーにかかる瞬間に顎を一気に引きましょう!!
顎を一気に引くとブリッジ状態だった体が勝手にグルっと丸まるはず。こうすると腰が落ちて足があがるため、最後に足にバーが引っ掛かることが少なくなります。あるいは、腰がバーを越えたら目線を足先に向けることでも顎が引けて足が上がります。

バーシムは足を抜くのがうまい

バーシム選手は足をピョイっと上げるのが上手なので参考になると思います。クリアランス後半の足を上げる局面に注目してみて下さい。

バーが腰のあたりにある時には顎を上げてブリッジ姿勢をとっており、足にかかる瞬間に体が丸まってうまく足が抜けて行きます。着地の瞬間には足と胸がくっつくくらい丸まっていることもわかるでしょう。

 

 

『反る』よりも『腕が先導させる』イメージ


体の使い方のイメージとして、『体を反る』のではなく『手が先導して体が付いて行く』感じにするとスムーズに跳べます。高跳びのアームアクションは上級者になるとダブルアームになるのですが、ここではシングルアーム前提で。
踏み切って体が浮いたらバーを肩が越えるはず。そしたら腕をバーの裏側に滑り込ませるようにすると体が勝手に反ってくれます。目線も手の先を見ていけば体が腕に付いて行って自然なブリッジができるはず。

家で練習するならとにかくイメトレ

家で実際に布団にダイブするのもいいですが、跳躍はイメージが大事です。
まずは複雑な動きに対してイメージをしっかりつくり、競技場で跳ぶときにイメージと実際の動きをすり合わせましょう。競技場でイメージをつくるのは時間がもったいないので、家にいるときや雨で暇なときなんかにイメージトレーニングをしておくことをおすすめします。

 

 

今回のまとめ

今回は走り高跳びの空中フォームである『背面跳び』のやり方のコツとポイントを紹介しました。
背面跳びははさみ跳びやベリーロールよりもクリアランスが有利なため、現代の走り高跳びではほとんどの選手が背面跳びを選択しています。ただし、背面跳びにしたからと言ってすぐに記録が良くなるわけではありません。まずははさみ跳びで跳躍の基礎技術を身に付け、その応用として背面跳びを取り入れることをおすすめします。
男子なら最低でも160cmくらいははさみ跳びで跳べる技術が欲しいところ。それが出来ないなら背面より先にやることが色々あります。
なにも考えずにやろうとすると非常に難しい背面跳びですが、いくつかポイントをおさえておけば案外簡単!!
背面跳びを習得するためのポイントはいくつかあって…
・バーをかわすイメージのブリッジ
・顎を引いて足を抜く
・腕を先導させて跳ぶ
っといったあたりのポイントをおさえておけばそれっぽいフォームでは跳べるようになるはず。
見た目から入るとどうしても『反る』ことを考えてしまいがちですが、反るのは結果であって体を動かすイメージはもっと別のところを意識しましょう!!
そして、繰り返しになりますが背面跳びはちゃんと踏み切って体を浮かすことができてこその空中動作です。背面跳びはバーをクリアするための技術であって、高く跳ぶためには助走から踏み切りそしてリードレッグの引きつけといった基礎動作の方が大事!!
それは忘れずに頭に置いておきましょう。






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