【アディダス】中距離用スパイクで幅跳びに出て8m40跳んだテントグルーの記録が取り消しに!!
ヴェイパーに端を発する『厚底問題』ですが、近年はさらにややこしさが増して誰も特しない状況になっています。
ザックリ言うと、トラックでは24年までは短距離が20mm以下、中・長距離が25mm以下、フィールドが20mm以下で三段跳びは25mm以下のシューズが許可されています。
ややこしい…
で、この規制がかかる前の設計のスパイクは20mmを超えているものもあったり、三段のスパイクを幅跳びで使うと失格になったりなんてことが世界のトップレベルですら起こっています。
そして、先日室内で8m40という超高記録を叩きだしたテントグルーもまたこのルールの犠牲となったのです。
ってことで今回は
長距離スパイクで8m40を跳んだテントグルーの記録が取り消しに!
をテーマにご紹介。
スパイクは世界陸連(WA)が公表しているシューズリスト(ここのWorld Athletics Approved Shoe List)に載っているものなら使えるわけですが、現場の審判が把握できてないのか大会後に記録が取り消されることが結構あって、昨年は女子三段跳のロハスが幅跳びで世界陸上の標準を突破したにもかかわらず後に失格になって出場権を失った事件も。
ロハスやらかす‼️
この試合で世陸の出場権を得ていましたが、まさかの三段用スパイクだったため規定に引っかかって無効に!
これで出場できなくなった…三段跳では25mmまで認められていますがナイキのTJエリート2は20mmを超えているので幅跳びではアウト!
先代モデルは幅でも使えます。 https://t.co/5IWkLZrkLo
— 陸上ch.com (@rikujo_ch) July 8, 2022
そしてそもそもこのリストがわりと変わるので信用ならんところもある。
アディゼロアンビジョン2で8m40を跳んだテントグルーの記録が取り消しに!!
事件は2023年2月8日、ポーランドの取るんで行われた室内大会で起こりました。
幅跳び東京五輪金メダリストのテントグルー(ギリシャ)が『アディゼロアンビジョン2』という中距離用スパイクを履いて8m40を跳んだのです!!
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これには管理人も、5本ピンで跳んでもこれだけの記録が出る厚底のすごさに感心したのですが…
なんと、大会終了後にアンビジョン2は幅跳びでは使用禁止ってことで失格になってしまったのです!!
ちなみに、アディゼロアンビジョンは1から2になった際にカラーチェンジだけのはず。しかし、1ではリストでもOKだったものが2ではNOに変更されていたのです!!
WAのリストから抜粋
リストでは、アンビジョン2(Ambition2)はフィールドではNOになっているのがわかります。
そのためルールに従ってアンビジョン2で跳んだテントグルーのリザルトは『DQ TR5.5(シューズ規則の違反で失格)』となってしまいました。
厚さだけじゃない!!前足部分とかかと部分の厚さによってはフィールドで使えない!?
リストをみて、短距離でも800m以上でも”YES”になっているのにフィールドでは”NO”になっているのに気付きましたか?
なんと、厚底規程は「厚さ」だけじゃなくて前足部とかかとの厚みの差も制限されているんです!
フィールドのシューズの規程には…
「靴の前の部分の中心点の靴底の厚さは、踵の中心点の靴底の厚さを超えてはならない。」っていう一文があるんです。
つまり、短距離で使える(20mm以下)シューズでも幅跳びでは使えないことがある!!
知ってた?
フィールドでは厚みが20mm以下であっても、かかとより前足部が厚いスパイクは使用禁止なんです。
サイバーブレードもフィールドでは使えないぞ!!
実は、アシックスのサイバー/SPブレードもこの規程にひっかかるのでフィールドでは使えないんです!
WAのリストから抜粋
サイバーブレードは厚さは20mm以下なので短距離でも長距離でも”OK”なのですが、フィールドは”NO”なんですね。同じソールのSPブレードも当然”NO”です。
中学・高校では厳密にはやっていないこともありますが、短距離選手が幅跳びに出る時には失格になる可能性があるんです。
ちなみに、リコールですぐ廃盤になったアシックスのLJプロ2もこれにひっかかるので、幅跳び用にもかかわらず合幅跳びで使えません。
テントグルーは『不公平!!』と不満たっぷり
このルール、誰のためなのか?誰にもメリットがない無駄なルールですよね。
失格になったテントグルー本人もインスタで不満つらつら↓
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要約すると
『WAでは何も分かってない奴がルールを作ってる!厚いのがいいものだと思ってるみたいだけど、厚さなんて実際は役立たずで重くなるだけだよ。
だけど1枚目のスパイクを履いていただけで失格だ。スポーツやったことある奴にルールつくらせろよ!
1枚目と2枚目は色が違うだけで同じスパイクだよ!なんで1枚目はダメなの?
8m40が取り消しになったのはまた跳べばいいからどうでもいいけど、不公平だろ!!
来週は「色違い」を履いて出るつもりだけど、これは承認されるんだってさ。
ドーピングテストを3回回避しても良いのに、このスパイクを履くと失格ってどういうこと!?
ブラックパンサー強すぎだろw』
まあ、そりゃそうですよね。他の選手達もみんなそう思ってますよきっと。
20mmってのも無駄なルールだと思うけど、特に「前足部とかかと部の…」っていうルールに関してはマジで意味不明ですよね。スポーツやったことない人が想像で作ったと言われてもしょうがないと思います。
今回のまとめ
今回は
テントグルーが中距離スパイクで8m40跳んだのに厚底規程にひっかかって失格になった!
という話題をご紹介しました。
厚底規程で20mmやら25mmっていうのはすでに当ブログでも何度も出ていた話題ですが、今回は厚底規程の中の「靴の前の部分の中心点の靴底の厚さは、踵の中心点の靴底の厚さを超えてはならない。」っていう部分での犠牲者です。
ロハスに続き、テントグルーまでもが厚底規程の犠牲になるとは…オリンピック優勝者ですらやらかすんだから、これはもはやルールの欠陥では?
この話、自分には関係ないと思ったら大間違い。
実は身近なサイバー/SPブレードも同じルールで幅跳びでは使えないんですよ!
「短距離専門だけど試しに幅跳びも出てみる」っていう中学・高校の部活生も多いでしょうが、実は失格のリスクがあるんです。
気を付けろ!!
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